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勇者とメイドさん その32

素性がオープンな人でなければ、足跡追うのは難しいよね。

「まだ更新止まってますね……」


「お、メイドさんが雑誌なんて珍しい。何読んでるの?」


「実体験を元に、毎回面白い作品を生み出すライターさんがいたんですよ。それが目当てなのですが」


「ただ過去形ってことは」


「はい、数年前のある回を境に、忽然と姿を消してしまいまして……」



 雑誌に目を通していると、ご主人様がネジを手に寄ってきたので解説をしました。それは旅行や食事の記録など、特徴のある記事ではないのですが、飽きさせない程度の詩的な表現や、感情が直に伝わってくる情景描写など、すごい好きだったのです。なのでいつの日か戻ってくることを信じて、以降も毎月買い続けています。


「勇者の情報網使えば、人探し程度あっという間に終わると想うけど……どうする?」


「いえ、書き物から身を引いたのは、きっと何かしら理由があってのことでしょう。なので無理に暴くようなことはしません」


「ふーん。メイドさんはずっと読んでたみたいだけど、その理由に何かしら検討はついてるの?」


「それが特にはないのですが……いや、更新が止まる前に生で牛肉と豚肉を食べた記事が連続であったので、もしかしたらそれが関係しているかもしれません」


「……えっ」



 基本的に生肉は命の危険があるとして、親に禁じられて育てられたので、生肉の食事記事には背徳感のようなものを感じましたね。描写のリアルさから、さも自分が禁忌に手を出しているようで。


「いやそれじゃん。そんなんしたら普通に体壊すし」


「あっ」


「というか数年間も更新止まってるなら、そのライターさんもう死んでるんじゃ」


「…………」



 私としたことが、読んでる間の幸せさから失念していました。まあ……そりゃあそうですよね。


「しかしこれまた意外で、数年経った今もそのライターさんを待ち望んでいる層が一定数いるんですよ。もちろん私もその一人です」


「なかなか人気だね。まあ親族あたりから死亡が伝えられてたりがないあたりは、決めつけるのも早計かもね。数年経ってるけど」


「なので今回もライターさん宛のお便りを、編集部に送りつけます」




 忽然と姿を消して、以降音沙汰無しではありますが、決定的な情報が出てくるまでは、ファンとしては諦められないものです。

媒体を雑誌に変えてネタにしました。

ええ、当時から今も待ってますよ。hiyoko1129さん。

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