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勇者とメイドさん その25

解けた! ビビっときた!

「気づいたら大惨事になってるし」


「やったのはご主人様ですよ?」


「……」



 朝起きたら何か閃いた。言葉にはできないけど、ビビっときた感覚だけはあったから、それを忘れないうちにカンバスに描き殴っていたら、部屋が絵の具塗れになっていた。あとメイドさんにも少しついてる。


「その結果完成した……これは一体。色々台無しな前衛的アートということしか私には」


「衝動に突き動かされて描いてただけだから、自分でもわからん。ただ一つ言えることは、これを勇者の精神とか銘打って売りに出せば高値がつくはず」


「まあ、それは確実ですね……」



 過去の芸術家の意味のまっっっったく理解出来ないような、前衛的ぐっちゃぐちゃアートに今では大金が積まれて取引されてるんだから、まあ勇者でもそう変わらないでしょう。これ聞いたら詳しい人は激憤するだろうけど、素人から見たアートの世界なんてそんなもん。


「しかしこれだと、掃除には少し手間取りそうですね」


「じゃ手伝うよ」



 そうして立ち上がった直後、来客を知らせるベルが鳴った。玄関に出向いてみれば、そこにはいつぞやの聖女様。曰く親の許可は取ってきたらしい。庶民暮らしも問題ないから、俺に諸々を教えてもらいに来たそう。しかしだ。


「って言ってもねぇ。メイドさん」


「はい。前は追い返せると思っていたので言いませんでしたが、今のご主人様の生活から学び取れることはすごい少ないですよ。少し突飛で破天荒な性格以外は一般庶民なので」


「大事な思春期を棒に振るような真似は、正直やめた方がいいと思うけどね。聖女様なら教育は行き届いてるだろうから、現状ここで学べることはほとんどないし、もう一度自分が何をしたいのか見つめ直してみたら?」



 それでもタダでは帰れないという。めんどくさい。仕方ないから、絵の具塗れの部屋の浄化をお願いした。他者の心を綺麗にするには綺麗な空間からー、とかなんとか言って。一も二もなく承諾した聖女様に僅かな罪悪感が湧いたけど、まあ乗り気だしいっかって。部屋に入った途端顔真っ赤にしてた。なんの意味があったかは知らないけど、汚れひとつなく浄化してくれたから特に問題なし。


 その後、街は聖女様の巡回によって綺麗になっていくが、それはまた別の話。




 その日の夕飯はうどんだった。

都合よく追い返す。

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