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理解不能な間宮君  作者: 春美月
4/8

秘密ですよ春香ちゃん





それはある日のお昼休みの事でした。




「ねぇ。」


ピクッ。

思わず身を揺らしてしてその場に固まる春香。


なんであたし話しかけられちゃったの?!

あれかな、ガン見しすぎたからかな。


ヤバイ、あたしも梨沙子ちゃん同様彼の餌食に…。



そんな狼狽える春香に、再び「ねぇ。」と、声をかける間宮君。


春香は慌てて「何でしょう?!」

と答える。

そんな春香に間宮君はくすりと笑った。


あぁ、今の笑方は…怒ってない、のかな。

あの時の恐ろしい笑顔とは違うので一安心。



「なんでこの間から僕に怯えてるのかな。」


「………。」


「身に覚えが無い事で避けられるのも悲しいんですけど。」


眉をひそめる間宮君。



一方春香は…


身に覚えが無い?

思わず復唱しそうになったがなんとか堪える。

頑張った、あたし。思わず自分を讃えてしまった。


彼は律儀にも、サボリ部屋に持参した折りたたみ式の椅子とクッションの上に腰を降ろし、

お腹の上に本を開いたまま乗せてこちらの様子を伺っている。



「………さぁ?あたしにもなんの事だか。」


しらばっくれてみせましょう。


「大島さんは僕を自意識過剰だと?」


ふふっと笑っているけど………

黒い。めちゃくちゃ笑顔が黒いよ間宮君。


「…っ、そんな事言ってません。人間誰にでも間違いはあります。」


結局耐えきれずに視線をそらしてしまう。


「ふぅん。ね、なんで僕に対して敬語なの?」


「く、癖です。」


「初対面の時はそんな事無かったよね?」


「………。」


「出会って三日目ぐらいからかな?」


"僕何かしたかな?"

天使の微笑みで訪ねて来る間宮君に、あたしはついに負けました。











「梨沙子ちゃんとのやり取りで…。」


「梨沙子ちゃん?」


"誰それ?"と、首を傾げる間宮君。

まさか……。


「ねぇ、その心底驚きましたって顔、不愉快なんだけど。」


「……っ、だって。」


「大島さんだって同類のくせに。僕はクラスの女子の名前は大島さん以外知らないけど、大島さんだってクラスの男子の名前殆ど知らないでしょ?」


馬鹿にした様に言う間宮君になにも言い返せない春香。

確かにあたしも殆ど男子の名前なんてわからないや。

せわしなく指をキュッと握った。


「なんで、あたしの名前は知ってるの?」


「内緒。」


「え、なんで内緒?」


「……内緒。」


「…………。」


「……で、梨沙子ちゃんとやらがどうしたの?」


しゃべる気はさらさらないようで。

再び本を開いた間宮君はチラリとこちらに視線を向けた後。

あたしは目ヂカラで早く言えよと促さられる。




「眼球の解剖の実験の事で、梨沙子ちゃんが話しかけたら間宮君が反撃に出て……。」


「あぁ…解剖ね。」


「梨沙子ちゃん泣いちゃって。でも正直間宮君が言ってる事も正論だと思ったんだけど。」


「(…ん?)」

なんだか話がそれてきてないか?と、思いつつも黙って目の前の彼女の話に耳を傾ける。


「いや、だってね?サボってるあたしが言うのもなんだけど、梨沙子ちゃん怖がって何もしない事多いじゃない。誰か言ってあげないのかなって思ってたから間宮君が言った事は正しいと思うし。あたしも割と本読む方だから読書中に話しかけられるイライラは共感できるし…。」


「ごめん、大島さん。結局何が原因で俺避けられてたの?」


「えっ?あぁ。梨沙子ちゃんの一件で間宮君が怒ったらどうしようってなんか無条件にちょっとビクビクしちゃってさ。あたし無自覚で余分な事するから間宮君に嫌がられてないかなぁって…。」



"ごめんね?間宮君"

恐る恐る目だけて彼を見上げる春香。

今のもよぶんなことじゃなかったかなぁ。と不安気な表情だった。



一方の間宮君は目を隠す様に手を当てて何かに耐えている様だ。

「(…っ、この子は。)」


無自覚にも程がある。仮にも男なんですが。

密室に二人でいて上目遣いとか勘弁して欲しい。


はあ、とため息をついて視線を春香へと向ける。



「わかった。」


「え。何が…。」


「僕は大島さんには絶対怒らないって約束する。」


「本当にそんな事できる?てか、無理はやめてね。」


「……………じゃあ、怒る前に何か一言忠告する。」


それでどう?

と、首を傾けて来るから思わず春香は困惑してしまう。




「何もそこまで……。」


「大島さんに嫌われると困るからね。」


……ん?


「…君に嫌われたら折角の居心地いいこの場所が居心地悪くなるからって意味。」


「成る程。」


「なに?…期待しちゃったの。」


クスッと意地悪く言うから思わず春香はふっと笑った。


「だってそう勘違いする言葉だったわ。思わずドキッとしちゃった。」


照れた様な表情を浮かべる春香に一瞬間宮君の表情が固まった。


あれ?

まさかあたしまたなんか余計な事いったかしら。




「間宮君?」


「一つだけ…。」


ん?


「一つだけ大島さんも約束して。」


その目が真剣だからか、

春香は条件反射的に頷く。


「ここの事は俺と大島さんとの秘密ね。」


「えっ?あぁ…うん。」


はなからそのつもりだったんだけど。

そもそも誰にもいうつもりが無かったのだが、たまたま間宮君には見つかってしまったのだ。


「でも…なんで?」


「…内緒。」


「また内緒?」


「そう内緒。」


ふふっ。

内緒が好きだねぇ。と春香が笑えば間宮君も小さく笑ってから再び読書に戻った。

きっと談話はこれで終わりという意思表情だろう。


確かに誰にも言う気はなかったけど…。

今となっては間宮君にばれてよかったかもしれないと思う春香だった。











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