始めまして間宮君
………。
数秒間。
いきなり現れた目の前の男と無言で視線を交わす。
この人見たことあるんだけどなぁ……。
バレてしまった物は仕方がない。
慌てた所でどうにもならないし、この寝そべった格好も見られてもたいして気にならない。
問題はあたしがこの人の事を思い出せないってこと。
そんな物怖気しない彼女の視線が功を奏してか、
突如部屋に入ってきた男は騒ぎもせず、ただただ視線をこちらに向けて来るだけ。
変な人だなぁ…。
だが不思議と恐怖心はない。
あれかな、この人の容姿のおかげかな。
うんうん。と、1人納得する。
色素の薄い細い髪の毛が癖っ毛なのか軽くカールしていて、整った顔立ちなのに何処か覇気が感じられ無い。容姿はまるで、儚い美少年。
…ん?儚い美少年?
待てよ、どこかで……。
ーーっ、あぁっ!
「間宮春彦君か…。」
「あぁ、…同じクラスの大島春香さん。」
二人とも納得して少々スッキリした表情になる。
いやいや、同じクラスなんだから。
ここに千明がいれば直ぐに突っこまれただろうに。
生憎彼女は目の解剖中であった。
「間宮君は何しにここに?」
寝そべったまま、瞳だけをそちらに向ければ間宮君は目を細めてこちらをみた。
「君はここに目の解剖をしに来ると思う?」
「………あぁ、うん。」
つまりサボりってことか。
真面目に授業受けてそうなのになぁ。
人は見かけによら無いものだ。
そんな事を考えていれば間宮君の眉間に深いシワがよっていく。
「君も人の事言えない見た目してるくせに。それに僕のはサボりじゃない。」
容姿からでは想像でき無い様な不機嫌な声。
何か気に障ったのだろうか。
突然の事に春香は小さく目を見開いた。
…なによりも人の胸の内を読まないでください。
的確な返答が返されて心臓が跳ねたではないか。
ヒヤヒヤする一方、
ではなんの為にここにいるんだろうと気になってしまう。
「…じゃあ何で?」
結局、
探究心には逆らえ無い。
そんなあたしに間宮君は初めて顔に笑みをうかべた。
へぇ……やっぱり笑うと可愛い顔してる。
そんな事を思っていた時だ。
「僕は……面倒臭い授業を受けずにかつ有意義に過ごせる場所を求めていたんだ。」
ありがとう、やっと見つかったよ。
そう言って握手を求めて来るから自然な流れで手を取った。
思ったよりも大きくて厚い手に少しばかり驚いてしまう。
てか、それよりも…
ここに居座るつもり?
「それって、間宮君も時々ここに来るってこと?」
「何か不都合でもあるのかな大島さん。」
「うん。あたしの気が休まらない。」
ポツリと呟けば、
一瞬驚いた表情の間宮君だったが直ぐに笑顔に戻る。
「大島さんって変わってるね。」
「うん?」
「普通そこは戸惑いながら『別に…』って答える所だよ。」
「そうしたら『ありがとう』って言われてやむおえず受け入れる事になるじゃない。」
「うん。それが狙いだからね。」
「じゃあやっぱりやだ。」
「でも君の所有物じゃないよねここ。」
間宮君には再びあの余裕の笑み。
ーーーーゔっ。
その言い分に思わず口吃る。
「…じゃああたしに聞かないでよ。」
学校は皆のものです。その一般常識を出されたらいい応えなんてできないじゃない。
少しばかり拗ねながらソッポを向けば気配で彼が笑っている事がわかる。
「マナーだよ、大島さん。じゃあ僕も勝手に出入りさせてもらうからね。」
間宮君にはかなう気がしない。
これからどうなるんだろうかと不安になる。
なにはともあれわかった事は一つ。
……間宮君はとっても変わった人だ。




