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とても怪しいラブコメ短編集  作者: 流離の風来坊


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どうして君が死なねばならなかったのか3

 私は間に合うのか? いや間に合え!!!


 約一ヶ月ぶりにメールボックスを開けると、いつも通り大量のメールが集まっていた。千通オーバーの中から、スパム依頼やエロ宣伝など、件名違いなどをゴミ箱へ放り込んでいく。慣れた作業中、気になる件名のメールが二十通ほど入っていた。「助けて」、「怖い」。


 ……そう、それはお助け相談の彼女からだった。


 メールを読み事実を確認した私は、コトの重大さに気づく。

 状況は切迫しギリギリ、急いで対処に回ろうとするが……。


 約1ヶ月間、苦しみ抜いた少女。一方の私は容赦なく来る他のリアル仕事で翻弄。

 私の力で彼女を救える可能性が残されているのか?


 実際の救える可能性はもう殆ど無かった。


 とはいえ彼女の叫びである「助けて」、「怖い」、「息が出来ない」、「苦しい」には、場合によっては放置する方が好い場合があり、助ける気持ちで手を差し伸べれば、逆に自分まで引きずられてしまい、余計にひどくさせる場合もある。


 医療現場のカウンセリングが高度化しても、脳医学が進歩しても、一日百名は自殺している日本。私の友人♂の実家が尼崎にあるのだが、あのJR尼崎線・列車事故が毎日起きてるレベルなんだ。


 慎重に対応を選ばないと、いや、上手く行くようなノウハウがあれば、自殺問題は解決している。楽に死ねるなら、この世と早くオサラバしたい人は多い。もちろん、私も考えたことはあるし。

(私の場合は自殺よりも海外出張中に撃たれて死ぬのが確率高いだろと同僚は言うけどね)


 日赤病院の救急外来で働いている友人は、自殺未遂で失敗して運ばれてくる人たちが多すぎる現実を見て、最初の1~2年は愚痴を垂れまくっていたが、今はテキパキ後輩に指示したり活躍している。「どんな方法にせよ、自然死(寿命)以外は決してラクに死ねることはないと思います」というのが、友人のセリフなので、そのまま紹介しておきます。TVの救急24時みたいな場面は毎日ですから。


 絶望の世界……今流行りの(ネット発の)ホームセンターで入手した混合作成・硫化水素を利用したアレ、毒ガス作成の手順を示した練炭サイトは話題になる直前に削除されているけど、知ってるサイトがリンクを張っていたので、前に偶然にも私は見つけていた。


 流行るとやばそうだと思いつつ、実は紹介先のテキストが軽いノリで、暗くないので正直面白かった。印象としては、他人へ害を及ぼさないよう密閉して張り紙で「毒ガス注意」みたいにドアに貼れよ、化学式を示して説明するなど、なかなか学術的でもあったので、自殺を笑い飛ばそうというような、茶化したネタサイト風だった。


 笑えたのだけど、今となっては遅いですね。


 現在は、化学式やユーモア部分が削られたコピペが出回っているようだけど、最初のサイト管理人は、ひょっとしたら私のサイトを巡回していたと思える記述もあって、まさか、今のTV報道状態が「ソコ発」だと思うと、結構、ネットでも世間は狭いと考えてしまう。


 さて、長い前置きはやめ、少女の話に戻ろう。


 昨年の秋、岡山にて電車の線路に座り込んだ同じ自殺ケースの女の子がいた。その娘は、某巨大掲示板で匿名カモフラージュしながら虐めていたリアルな仲間の仕業だった。


 本名&リアルを知ってるからこそ言葉の攻撃は強烈となり、亡くなった女子は誰が書いているのか当然分からない。匿名対実名はケンカにならないので、追い詰められ線路で自殺したのは、やはり虐めが始まってから一ヶ月後ほどだった。


 ……統計的に考えるに、どうも、苦痛を耐え抜いた一ヶ月目の頃は危険なようです。


 線路でうずくまり、電車が来るのを待つ。どんな想いがあったのだろう。


 楽しい想い出で最後を迎えようか、両親への感謝、友人とふざけあったこと、初めて男の子から告白を受けたこと、または告白したこと。漫画や映画を観て泣いた事。


 遊園地へ行ってジェットコースターに乗ったり、観覧車、水族館で腕が触れ合ったこと、サンタクロースがいないと知った時のこと、最初のプレゼントは誰から?


 電車が来て女子の体を砕くまで、全てを無くすまで、僅かな時間しかなかったはずだ。


 私へ相談依頼してきた少女も、岡山の娘と同年齢で遊びグループから嫉妬・やっかみの虐めが始まってから一ヶ月目に私が彼女のメールにて深刻さを把握したのだから、自殺してしまう猶予は全く残っていないと判断して焦った。


 ◇


 一か月出張後のメールボックスの大量のメールを整理すると、だいたい三百通ぐらいが残った。七百通は無駄。ちゃんとサイトを読んで送られてくるメールは沢山あるわけだけど、私不在でサイト運営休止中の告知・案内のおかげで少なくて良かった。


 当時は一日七万PVアクセス程度だったので、ちゃんとした読者さんなら1%で七十通という感じだからいい感じでOK。現在のように相互リンクナビ系のオートマ申し込みが多いと、雑多なメールが増えるし非常に苦労する。


 メールボックスの機能を生かして、彼女からのメールを抽出すると約二十通となった。残りは後で読む。彼女は一日一通程度の頻度で送ってくるメールだったが、私が不在と告知しているので少なくなるはずだった。実際には逆に異常に多いメール数ともいえた。


 まず、日付順に読んでいく事とする。

 私の場合、大量にメールがある時には最後の着信から読むほうが効率良い場合が多いが、相談時だけは別で最初から読まないと齟齬が生じる恐れがある。


 SOSメールの内容のメインはこうでした。


 最初のメールで「毎日、男の人が家の周囲にいる」こと、「悪く書かれた掲示板がある」こと、大まかに二つだった。掲示板のアドレスがあったので、さっそく見に行く。某巨大掲示板の内部だった。そこには、彼女の容姿についての記述や、性格が如何に悪いかが書き込まれていた。


 それは、彼女をリアルで知っている人間が書き込んでいることが判別できミエミエであった。複数の人格が読み取れるので、何人かカウントしてみると約十人ぐらいと想定した。


 内容は極めてひどく、中学三年生なら、手も足も出ずに逃避に走るはず。目に見えるほど、典型的な侮辱スレだ。


 味方らしい書き込みもあったが、純粋に味方というより”痛い味方”を演出する書き込みが殆どで、これはヤバイと感じた。彼女の精神状態が危険で、疑心暗鬼に放り込まれ、もがくしかなくなりそう。


 ひとまず、問題のスレを詳細に分析するのは後にして、関連するものを探す。通常、一スレだけではなく、様々な場所へ転載、ないしマルチポストされるからだ。その結果、十スレほどの関連スレ、ツイッター(現X)にも微妙なものがあることが分かった。


 ツイッター(現X)……そういえば、私は五年半ほど放置しているが、もう消されてしまったかもしれない。彼女のことは書いてなかったと思うけど、少し色々公開出来ないことを書いています。


 彼女はインスタグラムなどSNSで日記を書いていて、そのオフ仲間と交流を持っていた。

 SNSを覗きに行けば、コメントに応援カキコや励ましカキコが目についた。某巨大掲示板スレと対照的だ。私はそれを追って読んでいくが、もちろん、SNSでは味方と敵、悪口というものの文章のクセに注意して探しながらだから、かなりの時間が経ってしまった。自作自演を割り出すためだ。


 そこそこ絞り込んで警察へ持って行く資料にするつもりで投稿をチェック、保存していく。


 驚いたことに、彼女は書き込まれたコメントに丁寧にレスをしているので、それだけを見れば大丈夫そうだった。燃料投下、という感じで彼女が去った後は煽る係の人間が出てくる。


 彼女があまり見ていないならと、多少、ホッとしながら、おおまかなネット状況を把握したのち、次に私に届いたメールボックスへと戻り、彼女のメールをひとつひとつ開けて読んでいく。短文ではなく長文が来ていた。


 かいつまんで前半十通の内容を説明すると、こうなる。


 ・最初のオフ会の後で、現在まで交流が残ったのは八人(彼女を入れて)、男五人、女三人。


 ・知り合ってから気が合ったグループで、少人数で何回かリアルで会っていた。


 ・どんなグループだったのかと判明した。どうやらガラス装飾の同好の集いだった。


 ・男性AとBに告白され、断ったとたんに強引に迫られるようになった。Aに強姦された。


 ・男性Cに自宅や学校などで待ち伏せされたり、DとEにはSNSで酷いことを書かれた。

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