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遺伝子の小さな箱庭  作者: 妙義豊


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不帰(かえらず)の樹海①

申し訳ありません。

当初、私のミスによりこの物語には「クレール」という名前のキャラクターが二人存在していました。

・クレール・ド・モンテス(メローペ第四王女側近の一人)

・クレール・ドロワ中佐(本章時点では少尉)

現実には同じ名前の人物が存在しても不自然ではありませんが、小説という形式上、シーンによっては読者の皆様に混乱を生じさせる可能性があると判断しました。

また、クレール・ドロワの方が先に設定されていたキャラクターである為、クレール・ド・モンテスの名前を変更することにしました。

以後、クレール・ド・モンテスは「オーレリア・ド・モンテス」に変更となります。

過去エピソードについても、順次修正していく予定です。

ご迷惑をおかけしますが、今後ともよろしくお願いいたします。


暗い。


湿った土の臭いがする。


泥に沈んだ靴が、重い。


誰かが怒鳴っている。


遠い。


いや、近い。


自分の鼓動がうるさ過ぎて、何を言っているのか分からない。


喉が焼けるように乾いていた。



樹木




腐葉土


鼻の奥にまとわりつく生臭さ。


薄暗い森の中で、誰かが倒れた。


誰だ。


分からない。


いや——分かっている。


『伏せろぉっ!!』


爆音



衝撃


誰かの悲鳴。


自分も叫んでいた気がする。


耳鳴り




樹木


暗い。


暗い。


暗い。


「あ……」


ユーリイは小さく息を吐いた。


薄く開いた窓から朝の光が差し込んでいる。


汗で張り付いた髪を掻き上げ、しばらくぼんやりと天井を見上げた。


「夢か……」


いつもの夢だった。


最近は減っていた。


だが、完全に消えることはない。


特に雨の日は駄目だ。


湿った空気の臭いで、記憶が勝手に蘇る。


ユーリイはゆっくり身体を起こした。


少しだけ、心臓が速い。


窓の外から、パンを焼く香りが漂ってきた。


その匂いで、ようやく現実へ戻ってくる。


いつもの朝。


いつもの王都。


いつもの日常。


それでも


あの森の記憶だけは、今でも身体の奥にこびりついて離れない。


ユーリイは小さく息を吐き、立ち上がった。


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