第6話 二人目の部員はツンデレお嬢様でした
4人目の部員です。
「あ~、ひどい目にあった……」
理沙に引きずられて教室へ戻った志保が、ようやく意識を取り戻す。
「だから、ちゃんと謝っただろ。で、柚季ちゃんがフットサル部に入ってくれるって本当なのか?」
「うん。柚季ちゃん、入ってくれるって。条件付きだけどね」
「はあ? 条件付き?」
理沙の顔に不安が浮かぶ。だが志保は気にせず説明を続けた。
「まずね、フットサル部で新聞を作ること。記事は柚季ちゃんが書くから、部費を少し回すだけでいいって」
「まあ、それくらいなら問題ない……のか?」
「あとね、定期的に理沙の写メを送ること。ポーズとかじゃなくて、普段の理沙。これは私がやるから迷惑かけないよ」
「ふ~ん、っておい!」
「なんかね、理沙、入学式の新入生代表で人気急上昇なんだって。だから、ね?」
「“だから、ね?”じゃないだろ。私のプライバシーは?」
「いいじゃん、減るもんじゃないし~、ね?」
「ほう……どうやらお前は命がいらないらしいな」
理沙の目が据わり、不気味なオーラが漂う。
「あわわ、待って! 落ち着こう、ね、理沙!」
逃げ場を探す志保。しかし背後は壁。目の前には鬼の形相の理沙。
次の瞬間――
「痛い、痛い、痛い! ごめんなさい~!」
両頬をつねられ、志保が泣き叫んだ。
「今度はコントの練習ですか?」
そこへ現れたのは相原亜紀だった。
「なにやら『フットサル部』なんて作って、この相原亜紀との差を広げようとしているみたいですけど、所詮庶民の浅知恵ですわ」
「理沙はそんなことしないよ」
否定したのは志保だった。
「ふん。フットサルで目立って男子の気を引こうとしているのでは?」
「理沙はそんなことしなくても、めっちゃモテるから」
「いや、お前が言うなよ。って、私が言っても変だけど……で、何か用?」
理沙が仁王立ちで構える。
「あなたは私がライバルと認めた人。下策ではなく、正々堂々と勝負しましょうと言っているのですわ」
「別に認めてくれなくていいけど」
小さく呟く理沙。
その空気を察した志保が口を挟んだ。
「じゃあさ、相原さんも一緒にフットサルやらない?」
「はあ?」
「意味が分かりませんわ」
二人同時に否定。
「いいアイディアだと思ったんだけどな~」
志保が肩を落とす。
「まあ、私のような完璧な人材をスカウトしたい気持ちは分かりますけど、それなりの誠意か代価が必要ですわ」
亜紀が髪をかき上げる。
「クラスメイトに代価ってなんだよ」
理沙が呆れる。
――その時。
志保の顔がニヤリと歪んだ。
「おい、志保……何を考えてる?」
理沙が恐る恐る尋ねる。
志保は手を二回叩いた。
「お呼びかの?」
背後から声がした。
「し、しゃべった!?」
「そっちに驚くんですの!?」
驚く二人。
「……僕だって必要な時くらいは話すの」
柚季が無表情で現れる。
「また、しゃべった……やっぱり可愛い」
理沙が思わず呟く。
「ふん。で、何か用ですか? そこの小学生モドキ」
亜紀が睨む。
しかし柚季は無視して志保の隣へ。
「ご主人様、何か御用ですかの?」
「はあぁぁ~!? ご主人様!?」
理沙が顔を真っ赤にする。
「で、なんですかの?」
志保は柚季に耳打ちをする。
(コクコク)
「了解ですの。報酬は2枚で」
「オッケー」
取引成立。
「あったの。相原亜紀――」
柚季が淡々と個人情報を読み上げ始める。
「やめなさいですわぁぁぁ!」
亜紀、全力追走。
だが柚季は軽やかに回避。
教室はカオスと化した。
「さてさて、亜紀ちゃん。この辺でやめてあげてもいいよ~」
志保が笑顔で言う。
「フットサル部に入ってくれたらね」
「えぇぇ~!?」
ついに亜紀、折れる。
「……入りますわ」
「やった!」
固い握手。
「志保、たまに怖いぞ」
「僕はどっちでもいいの」
その後。
志保が送った“報酬”。
それを見た理沙の顔が一瞬で真っ赤になる。
「ほう……本気で命がいらないらしいな」
「それで私を脅しましたのね」
二人が迫る。
「ごめんなさ~い!」
志保、全力逃走。
「待てぇぇぇ~!」
理沙と亜紀、追撃。
教室から三人が飛び出していった。
ツンデレ娘は意外に書きにくいと知った今日この頃です。
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