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第36話 フローラルの守護神

熱いシーン、伝わってますかね?

(志保ちゃん、すごい責任を感じてる……。ここは、なんとか止めないと)


 ゴールマウスに立った舞は、志保の様子を見て強く思った。

 自分がここに立っているのは志保のおかげだ。

 いつも先頭に立ち、笑顔でチームを引っ張ってくれるフローラルのムードメーカー。


 そんな志保から、今は笑顔が消えている。


(今度は私が助ける。チームを救う。私は――このチームの守護神なんだから)


 大きく深呼吸をして、覚悟を決める。


 ゴールを背に構えた瞬間、審判の笛が鳴った。

 スクラッチのキッカー、由香が動き出す。


(絶対に止める!)


 舞は試合中、由香の動きを観察していた。

 ハンドボールでもフットサルでもやることは同じ。――相手の癖を見抜くこと。


 元空手部の由香は、回し蹴りのようなフォームでシュートを打つ。

 踏み込み、つま先の向き、身体の回転。


(左に来る……!)


 確信と同時に、舞は右へ跳んだ。


(どこでもいい――当たって!)


 ボールがスローモーションのように迫る。

 次の瞬間、腕に衝撃が走った。


 弾いた――。


 すぐに周囲を見渡す。


 転がるボールは、ゴールの外。


(止めた……!)


 その瞬間、志保たちが泣きそうな顔で駆け寄ってきた。


 どこかで見た光景。


(あ……夢で見たシーンだ)


 舞は小さく笑って、両手を広げた。


 志保が飛び込んでくる。


「ありがとう、舞さん。本当にありがとう!」


「ナイスです! すごいです!」


「舞さん、さすがですわ。あのシュートに飛び込む勇気、尊敬しますわ」


「すごいの、舞さん」


 歓喜の輪が広がる。


 しかし舞はすぐに表情を引き締めた。


「まだ終わってないよ。ピンチも続いてる。集中して!」


「そうだな。まだ終わってない。舞さんが防いでくれたんだ。――勝つぞ」


 理沙の言葉で、全員の表情が切り替わる。


 だが、志保だけがまだ少しだけ曇った顔をしていた。


 舞は優しく声をかける。


「次は志保ちゃんの番だよ。私はやれることをやった。今度は志保ちゃんが、私を喜ばせて」


 理沙も続く。


「志保らしくないぞ。引きずるな。点は取られてない。――あとは取るだけだ」


「……うん!」


 志保が顔を上げる。


 迷いは消え、いつもの笑顔が戻っていた。


「よーし! 残り時間、気を引き締めていくよ!」


「一番引き締めないといけないのは志保さんですわ」


(コクコク)


 亜紀のツッコミに、コート内に笑いが広がる。


 スクラッチの奈央たちまで笑っていた。


「よし! 奈央さんたちまでウケた!」


「笑いを取りに行くな! 試合中だぞ!」


「えー、試合で負けても笑いで勝てたら――」


「方向性が違う! 試合で勝つんだ!」


 そのやり取りに審判まで吹き出し、会場が笑いに包まれる。


 奈央が笑いながら言った。


「ほんと仲いいね。でも――勝つのはスクラッチだから」


 志保が即座に返す。


「絶対負けない! 勝つのはフローラル!」


 その言葉と同時に――


 コーナーキック開始の笛が鳴った。

ここまで読んでくれてありがとうございます。


このシーン、自分でもめちゃくちゃ好きです。

舞をカッコよく書きたかったので。


次回も熱いシーンを書きますので、ぜひ読んで頂けたら嬉しいです。

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