表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
28/38

第28話 一人じゃ勝てない

今回は亜紀にスポットを当ててみました

理沙がボールを奪い、そのまま前線へと走り出していた亜紀へパスを送る。


しかし――


トラップはわずかに乱れ、ボールはそのままコートの外へと転がっていった。


(せっかく……みんなが舞台を整えてくれているのに)


この試合、亜紀のシュートはすでに4本。

だが、そのどれもがゴールには結びついていない。


方向を外したシュート。

当たり損ないの弱いボール。


とても“エース”とは呼べない内容だった。


(私はこのチームのストライカーなのに……)


練習では通用していた。

速いボールも蹴れるし、競り合いでも負ける気はない。


だからこそ、このポジションを任されたはずだった。


それなのに――


試合になると、すべてが噛み合わない。


簡単なトラップすらミスをする。


それでも。


(それでも……みんなは、私にパスをくれる)


何度ミスをしても。

何度失敗しても。


仲間は、信じてボールを預けてくれる。


(……ありえませんわ)


相原財閥の人間として。

これまで、結果を出して当たり前の人生を歩んできた。


勉強も、作法も、習い事も。


期待され、結果で応え続けてきた。


(それなのに……期待に応えられないなんて)


そんな自分が、許せなかった。


「こっち!」


前線で動き続ける。

少しでも良い体勢でボールを受けるために。


守備でも手を抜かない。

ボールを奪った瞬間、誰よりも早くゴール前へ走る。


その動きは、明らかにオーバーワークだった。


だが――誰も止めない。


むしろ。


亜紀の前線プレスがあるからこそ、守備が成立している。


その事実を、全員が理解していた。


(点が取れないなら……せめて守備で)


(私の価値を……証明しなければ)


しかし――


その想いが、さらに空回りを生む。


焦り。

力み。

判断の遅れ。


すべてが悪循環だった。


(どうして……こんな)


そんな時、ふと頭をよぎる。


フローラルのメンバーの顔。


誰一人として、自分を特別扱いしない。


肩書きではなく、“相原亜紀”として接してくれる。


それが――嬉しかった。


(だからこそ……応えたいのに)


思いが強くなるほど、空回りしていく。


気づけば、7分が経過していた。


ハーフタイムのブザーが鳴り響く。


ベンチへ戻る亜紀の足は、明らかに重かった。


すぐに志保が駆け寄る。


「亜紀ちゃん、頑張りすぎだよ。もっと私たちを頼って」


「そうだぞ。全部一人で背負うな」


理沙と舞も続く。


優しい言葉。


だが――


「な、何のことですの? 私はいつも通りですわ」


強がりでしか返せない。


そんな亜紀を、柚季がじっと見つめる。


「そんなことないの。膝、笑ってるの」


即答だった。


言い逃れは、できなかった。


「亜紀ちゃんは、一人でやりすぎなの」


「僕たちは仲間じゃないの?」


その言葉には、いつもとは違う重みがあった。


「一人で勝っても嬉しくない」


「勝つなら、みんなでなの」


静かだが、強い言葉。


亜紀は、何も言い返せなかった。


沈黙のあと――


ゆっくりと口を開く。


「……分かりましたわ」


「ボールはキープします。フォロー、お願いしますわ」


「もちろん、チャンスがあれば決めますけど」


強がり混じりの言葉。


だが、その顔は赤くなっていた。


その様子に、志保たちが思わず笑う。


「な、なんですの!?」


「失礼ですわ!」


さらに顔を赤くする亜紀。


だが、その空気は――明らかに軽くなっていた。


「大丈夫、絶対フォローするから」


「私も守る。だから無理しすぎないで」


(コクコク)


仲間の言葉が、胸に染みる。


(……そっか)


(私は、一人じゃない)


「行くぞ、フローラル!」


理沙の声に、全員が応える。


「おぉー!」


再び、コートへ――

読んでくれてありがとう!


ぜひ続きも見てください!


応援もらえるとめちゃくちゃ嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ