第27話 守りきる理由
久々に舞にスポットを当ててみました。
ゴールを守る舞が、大きな声で指示を飛ばす。
「まだまだだよ。ゆっくり~!」
(守備の指示は私が出さなきゃ)
技術的にはまだ未熟なフローラル。
だからこそ、自分の役割は明確だった。
ハンドボールのゴールキーパーとして培ってきた経験。
それを活かせるのは、このポジションしかない。
(私が守りきれば、負けない)
舞は柚季の作戦を頭の中で反芻する。
――私たちの強みはスピード。
守備は3人でゾーン。ボールを奪ったら前に預ける。
確かに、オレンジマジックは全員で攻めてくる。
だが、その分、奪えれば一気にカウンターへ持ち込める。
(だからこそ、守備を崩しちゃいけない)
1試合目では、相手の流動的なポジションに対応できず、指示が遅れた。
あんな失態は二度と許されない。
「理沙、斜めに入ってくる人に注意!
柚季、後ろにも一人いる!」
全神経をコートに研ぎ澄ませる。
視線、動き出し、タイミング――
同じGKでも、競技が違えば全てが違う。
だが、それにもようやく慣れてきた。
スクラッチでの経験が、確実に自分を成長させている。
(私がフローラルの守護神なんだ)
あの時、誘ってもらえなければ――
自分はきっと、ただ流されるだけの日々を送っていた。
今は違う。
仲間がいる。笑顔がある。
(みんなの笑顔を守りたい!)
放たれたシュートを、舞は全力で弾き出した。
ゴール前では理沙、志保、柚季が必死に守る。
スペースがなく、オレンジマジックは攻めあぐねている。
(やっぱり……一人じゃ崩せない)
個の力で打開する選手はいない。
だからこそ、全員で攻めてくる。
(柚季ちゃん、すごい……)
舞は素直に感心した。
ボール保持率は相手が上。
それでも、試合の流れは明らかに違っていた。
フローラルのシュート数が増えている。
前線で待つ亜紀の存在が、大きな意味を持っていた。
(この作戦、通用してる)
柚季の作戦は、確実に流れを引き寄せていた。
ここまで読んでいただきありがとうございます!
次回、試合が大きく動きます。
フローラルにとって大事な展開になるので、ぜひ続きを見てください。
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