表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
25/38

第25話 新たな強敵、オレンジマジック

新しいライバルを登場させたことに少し後悔。

次の日。

スクラッチの練習に参加するため、志保たちは体育館へ向かっていた。


「今日は奈央さん、来てくれるかな? 今度こそ個人的にリベンジしたいんだけどな」


志保は、試合で奈央に完全に封じられたことを今でも悔やんでいる。

事あるごとに「リベンジする」と息巻いていた。


あの試合の後、一度だけ奈央が練習に来たことがある。だが、その時も志保はマークを外せず、何もできなかった。


スクラッチの男性メンバーに聞いても、奈央のディフェンス能力は折り紙付き。健でさえ嫌がるほどだ。


――だからこそ、志保は奈央に勝ちたかった。


「奈央さん、保育士の資格を取るために忙しいって言ってたよな。今日も来ないんじゃないかな?」


「残念ですが、その可能性が高いと思われますわ」


(コクコク)


理沙の意見に、亜紀と柚季も同意する。


大学で保育士資格を目指している奈央は、アルバイトもしているため、練習参加率が激減していた。

あの試合以降、メンバーが奈央と会えたのは一度きりだった。


「でも、優勝経験のあるスクラッチには勝ちたいよね。私も負けっぱなしは嫌だし」


「だよね、だよね。自分たちのレベルの基準にもなるし」


珍しく舞が熱を込めて語る。志保も同じ気持ちだった。


スクラッチに勝てれば、自分たちにもそれだけの実力がある証明になる。

逆に言えば、そこに届かなければ全国大会優勝など夢のまた夢だ。


個人技、連携、戦術――すべてを高めなければならない。


しかし現状、女性陣と試合できる機会は少なく、男性陣との試合ばかり。

それはそれで意味はあるが、やはり本番を想定した試合がしたい。


その想いが志保の表情に滲んでいた。


「でも、しょうがない。あの人たちは仕事もあるし、家庭もある。そのうち試合できるだろ。その日までレベルを上げてリベンジすればいい」


理沙が部長らしく、皆を落ち着かせる。


「そうですわね。同じ相手に二度負けるなんて、私の人生にはありませんわ」


「その割には定期テストでまた理沙さんに負けているの。説得力がないの」


「何で貴方はそうやって人の揚げ足を取りますの!」


亜紀と柚季のやり取りに、恒例の鬼ごっこが始まる。


それを見て、理沙と舞がため息をついた。


「ねえ、遅刻しちゃうよ。早く行こう」


志保が走り出す。


「遅刻常習犯のお前が言うな!」


理沙も走り出し、舞も笑顔で後に続いた。


体育館に到着し、ドアを開けた瞬間――


メンバーたちは驚愕した。


「なに、この人数……女の人がたくさんいる。なんで?」


「し、しかもかなり上手いですわ……志保さんと同じくらい」


コートには女性が八人。

しかも全員、サッカーではなく“フットサル”の動きだった。


そのレベルも明らかに高い。


その中の一人が、志保たちに歩み寄ってくる。


「あなたたちがフローラル? 私はチーム【オレンジマジック】のキャプテン、堀江千絵。今日の試合、よろしくね」


「はい~?」


突然の試合宣言に、フローラルのメンバーは声を揃えて驚いた。


そこへ健が入ってくる。


「え、千絵ちゃん? どうしたの? 今日オレンジ来るって聞いてないけど」


「直哉さんに“メンバー集めて来い”って言われたから。試合するんでしょ?」


二人の親しげな様子に、亜紀が明らかにそわそわし始める。


それを察した理沙が口を挟む。


「健さん、今日は女性だけで試合なんですか?」


千絵が答えた。


「そう。今日は私たちオレンジマジックとフローラルで試合。同じスクラッチに負けた者同士、仲良くやりましょう」


(負けた者同士?)


理沙はその言葉を聞き逃さなかった。


だが、その前に志保が口を開く。


「あの~、負けた者同士って、オレンジマジックもスクラッチに負けたの?」


「だからお前は礼儀を覚えろ!」


理沙のツッコミが炸裂する。


「すいません。この子、変な子なんで」


「とてもとても変な子なんです」


「誰よりも何よりも変なんですわ」


(コクコク)


満場一致だった。


千絵は笑いながら答える。


「うん、そう。大会ではスクラッチに負けてる。でも練習試合では何回か勝ってるよ」


「そんなにスクラッチって強いんですか?」


理沙がさらに踏み込む。


技術的にはオレンジマジックの方が上に見える。

それでも勝てない理由があるはずだった。


だが千絵は意味深に笑う。


「その答えは、私たちと試合すれば分かるよ。今日はよろしくね」


そう言って去っていった。


取り残されたフローラル。


最初に我に返ったのは志保だった。


「とりあえず試合だよ、試合! 女子だけの試合! しかもスクラッチのライバルチーム! こんな機会なかなかないよ! そんなわけで――いつ勝つの?」


「今でしょ!」


舞だけが即答し、顔を真っ赤にする。


「えっ、私だけ?」


「古いし」


「私にそんな庶民的なことを期待するなんてありえませんわ」


「さすがの僕でもそれは無理なの」


三人の冷たい反応。


志保が再び気合いを入れようとしたが、理沙がそれを制した。


「志保、分かってる。これはスクラッチへの挑戦権を得るための試合だ。やるからには勝つぞ」


理沙が力強く言う。


「行くぞ、フローラル!」


「おぉー!」


体育館に、五人の声が響き渡った。

ここまで読んでいただきありがとうございます!


物語も終盤に入りつつあります。

フローラルにとって大事な展開になるので、ぜひ続きを見てください。


引き続き応援よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ