表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
24/38

第24話 “勝つチーム”との差

何事も下調べが大事だと思う今日この頃です

あれから一か月が過ぎ、もうすぐ夏休みに入ろうとしていた。

志保たちは健の指導によって、少しずつ確実にレベルアップしている手応えを感じていた。


「これならリベンジできそうですわね」


「あまり天狗になるなよ。相手の方が経験豊富だし、あれから上手くなってるかもしれないし」


自信満々の亜紀を、理沙がたしなめる。


「でもさ、明日はスクラッチの女性陣、みんな集まってくれるのかな? 健さんの話だと、全員揃うことの方が珍しいって言ってたじゃない?」


着替え終わった舞が会話に加わる。志保と柚季も合流し、ホワイトボードの前に集まった。


毎週土曜日は、スクラッチの練習に混ぜてもらっている。フローラルだけではゲーム形式の練習ができないため、健の提案で参加させてもらっていた。


しかし、あれから一度も女性陣との試合は行われていない。


スクラッチは基本的に社会人チームであり、全員が揃うことは少ない。


健曰く――


「メンバーは全部で三十人くらいいるんじゃないかな。数えたことないからわからない」


とのことだった。


実際に練習に来るのは十〜十五人ほど。仕事や家庭の事情で参加できない人の方が多く、女性陣も一人か二人しか来ないのが現状だった。


「確かにリベンジはしたいですが、このままではいつまで経っても出来ませんわね」


「そうだよね。女性で毎回いるのは由香さんだけで、他の人は来たり来なかったり。これじゃリベンジにならないよ」


亜紀の言葉に、志保が頷く。


「夏の高校フットサル大会にも、このままじゃ間に合わないの」


タブレットを操作していた柚季が、画面を見せた。そこには大会の概要が表示されている。


現在、サッカーのように協会や高体連が主催する大規模な大会は、フットサルには存在しない。

甲子園や国立競技場のような明確な舞台もない。


だからこそ志保たちは、非公式ながら「全国大会」と銘打たれた夏高フットサル大会を目標にしていた。


「なになに……今回の女子部門は予選なし……いきなり東京? 無理でしょ! 自分たちの実力もわからないのに、東京なんて無理~」


志保が悲鳴を上げる。理沙と舞は苦笑するしかなかった。


「いいですわ。神奈川にある相原家の別荘を提供しましょう。宿泊費は無料ですし、お食事もご用意いたしますわ。これで大会は問題ありませんわね」


亜紀がドヤ顔で胸を張る。


「大会に出るの? 本当に?」


「いや、驚くのはそこじゃないだろ」


志保が食いつき、理沙が冷静にツッコむ。


「ご飯も出るなら交通費だけで済むわね」


「いや、舞さんもそこじゃないと思う」


「理沙さんは相変わらずツッコミクイーンなの」


「だからやりたくてやってるわけじゃないから。別荘は置いておいて、いきなり東京大会はまずくないか? 確かに最終目標だけど、段階は踏んだ方がいいと思う」


理沙が冷静に結論を出す。


自分たちの実力もわからないまま大会に出るのは無謀だ。レベルの高いチームが集まる中で、何も対策なしに挑むのは危険すぎる。


しかし、試合をしなければ実力も測れない。


沈黙が流れる。


その時、部室の扉が開いた。


「とりあえず、うちのチームに勝ってからだね。うちの女性陣、前に近場の大会で優勝してるよ」


そう言って入ってきたのは健だった。


「さすが健さんですわ。健さんの指導なら優勝なんて当然ですわ」


亜紀が目を輝かせて称賛する。健は少し引きつつ、全員を見渡した。


誰もが自信に満ちた表情をしている。


実際、個人技だけならスクラッチとの差はほとんどない。むしろ毎日練習しているフローラルの方が、上達のスピードは速い。


しかし――圧倒的に試合経験が足りない。


連携は試合でしか磨かれない。人数の少ないフローラルでは、それが難しかった。


土曜のスクラッチで試合形式はできるが、男性陣が本気になると歯が立たない。


健が「少し手加減してくれ」と頼んでも、最初だけ。すぐに本気になる。


健は苦笑するしかなかった。


(そういえば直弥のやつ、「任せろ」って言ってたな……)


少しだけ不安を覚える。


「健さん? おーい」


気づけば、メンバーたちが覗き込んでいた。


「ごめんごめん。何だっけ?」


「スクラッチってそんなに強いの? 技術的には負けてないと思うけど」


「お前は礼儀を覚えろ!」


理沙の拳骨が落ち、志保は言葉を失う。


それを無視して、舞が尋ねる。


「スクラッチの女性チームって強いんですか?」


「うーん……強いっていうより、“勝つ”って感じかな」


健の曖昧な答えに、全員が苦笑する。


「もっと自信を持ってくださいですわ」


「いや、それだとフローラルがメインになってるから。あの女性陣、技術はそこまででもないのに勝つんだよな」


健は首をかしげる。


「まあ、明日も全員は揃わないと思うけど、貴重な練習の機会だ。集中していこう」


そう言って、その日の練習は締められた。

ここまで読んでいた頂いてありがとうございます。


書きやすいキャラは的には志保、理沙、柚季なんですよね。

ツンデレ要素満載の亜紀、癒し系の舞が意外に物語に絡ませづらい。


得意不得意のジャンルなんですかね。これからも応援よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ