第15話 はじめての練習
書いてて思うのですが……スポーツは好きだけど、やりたいとは思わない。
次の日、授業が終わり、フットサル部の初めての活動日となった。
「理沙、亜紀ちゃん、先に行くよ」
そう言って志保はダッシュで廊下を駆けていく。そんな志保の背中を見ながら、亜紀は呆れたように呟いた。
「どうやったら、あんなロケットみたいな人間に育ちますの?」
(今日からフットサル部始動。楽しくやれるといいな)
そんなことを考えながら、志保は一番乗りで部室に到着し、着替えを始めた。やがて、メンバーたちも続々と集まってくる。
「さて、準備はオッケーだよな。じゃあ、準備運動から始めようか。五人ぴったりしかいないんだから、怪我だけはしないように。とりあえずウォーミングアップは……舞さん、仕切ってください」
理沙がキャプテンらしく指示を出す。任された舞が元気よく声を上げた。
「了解です。じゃあ、円になって~」
「声出して元気よくいこう~」
志保も音頭を取り、場を盛り上げる。元運動部の志保と舞はキビキビと動いているが、理沙、亜紀、柚季の三人はどこかぎこちない。運動神経は良いはずなのに、それを活かす生活をしてこなかったのだ。
「ほら、今日は初日だから楽しく元気よくやろう」
舞がそう言って空気を引き締める。
準備運動が終わると、志保はボールを手に取り、前に出た。
「じゃあ、パスとトラップの練習からやろうか」
サッカー経験者らしく練習を仕切り始める。ボールの蹴り方や足裏での止め方を丁寧に説明し、手本を見せる。
しかし、いざやってみると、四人ともなかなか思うようにボールを扱えない。
(まあ、これは仕方ないよね。でも、すぐ慣れると思うし)
今日は焦らず、まずはボールに慣れること。楽しさを感じてもらうこと。それが志保の狙いだった。
基本練習だけで時間はあっという間に過ぎていく。
「今日は初日だから軽めにしておいたよ。明日は土曜日だし、半日みっちりやるからね。ね、舞さん」
「そうね。今日はこれくらいにしておきましょうか」
平然と話す二人の横で、理沙、亜紀、柚季の三人は床に倒れ込んでいた。
「こ、これで軽めですって? あなたたちは今までどんな生活を送ってきたのですか?」
「志保は分かっていたが、舞さんまでここまでとは……」
「舞さんは絶対にS……データ更新なの」
「本当に軽めだよ。五人しかいないんだからスタミナ絶対必要!」
呆れながら、志保はリフティングを始める。軽やかにボールを操るその姿に、舞が目を輝かせた。
「やっぱり志保ちゃんすごいね。私も練習したらできるようになるかな?」
「舞さんなら一週間、蹴り続ければできるようになるよ」
その言葉に舞は嬉しそうにボールを拾い、見よう見まねでリフティングを始める。
だが、三回ほどでボールは落ちてしまった。それでも舞は何度も挑戦を続ける。
(さすが特待生。この姿勢が結果につながってるんだろうな)
志保はその様子に感心した。
「しかし、本当によく動けますわね。私の足はもう限界ですわ」
「僕も攣りそうなの」
「よし、身体が冷える前に着替えてミーティングにしよう」
理沙の一言で、全員が部室へ戻ることになった。
部室に戻り、着替えながらの雑談。
「そのうちシャワーが欲しいですわね。汗臭いなんて論外ですわ」
「でも実現は難しいの。どの部もシャワーなんてないの」
理沙はホワイトボードを用意しながら言った。
「昨日、ポジションの話しただろ」
「あっ、そうだったね」
全員が座ると、理沙が説明を始める。
「ゴレイロは舞さん。フィクソは志保。アラは私と柚季ちゃん。ピヴォは亜紀。理由は――」
説明を終えると、誰も反対しなかった。
「いいですわ。私が点を取れば勝ちですし」
舞が手を挙げる。
「でも、試合見たらポジション結構変わってたよ?」
志保が立ち上がる。
「将来的にはね。でも今は一つをしっかり覚えよう」
全員が納得した。
「ってわけで、明日から朝練提案であります、部長!」
志保が敬礼する。
「うん、やろう」
舞も乗る。
「えっ……」
残り三人が青ざめる。
だが結局――
「自由参加にしよう」
その一言で安堵した三人。
しかし――
「舞さん、エースになるかもね」
その一言で流れが変わる。
亜紀の闘志に火がついた。
「私も朝練参加しますわ!」
柚季も買収され、参加決定。
最後は――
「部長が参加しないわけないよね?」
四人に詰められる理沙。
「分かった! やる!」
その瞬間、部室に響いたのは――
理沙の悲鳴だった。
読んでいただきありがとうございます!
志保たちの成長や想いが少しでも伝わっていたら嬉しいです。
次回も全力で書くので、ぜひ楽しみにしていてください!




