第12話 勝手に創部されました
新しいことをやるって結構パワー使いますよね
「そっか、五人揃ったのね。良かったわ」
志保たちの担任、篠原ゆかりが本当に嬉しそうな顔で出迎えた。
「はい、五人揃いました! これで部活としてやれるんですよね?」
志保が元気いっぱいに答える。その後ろで、他の四人も頷いた。
「そうね。あとはこの書類に必要事項を記入して、生徒会に提出するだけよ。ここで書いていく?」
「はい、書いていきます! ついでに生徒会に持っていくであります!」
志保は書類とペンを受け取ると、ゆかりの机を借りて記入を始めた。
その間、ゆかりは残りの四人に目を向ける。
「それにしても、また個性的なメンバーが揃ったわね。でも、舞ちゃんがフットサル部に入るとは思わなかったわ」
「ええ、私も思っていませんでした」
舞が少し照れながら答える。
「ゆかり先生、遠藤先輩のこと知ってるんですか?」
理沙の問いに、ゆかりは微笑んだ。
「だって去年、私が担任してた生徒だもの。よく知ってるわ」
「そうなんですね」
「舞ちゃんがハンド部を辞めるって時は、職員室でも話題になったのよ。特待生が部活を辞めるなんて、なかなかないから」
「その節はご迷惑をおかけしました……」
舞が頭を掻きながら照れる。
「いいのよ。舞ちゃんは、自分が信じた道を進めばいいの」
その言葉に、舞は小さく頷いた。
「何かあったのですか?」
今度は亜紀が尋ねる。
「まあ……ね。特待生で将来有望な選手が辞めるとなると、色々と風当たりも強くてね」
ゆかりは苦笑する。
「あの時、ゆかり先生が庇ってくれなかったら、私、学校を辞めていたかもしれません。本当にありがとうございました」
「気にしないで。それが先生の役目だから」
そこで、ゆかりの視線が柚季に向いた。
「あら、足立さんは何をしているの?」
柚季はタブレットを取り出し、黙々と入力していた。
「気にしないでほしいの」
無表情のまま答える。
亜紀が覗き込むと、今の会話が綺麗にまとめられていた。
「またプライバシーに踏み込むのですか? いい加減にした方がよろしいですわ」
「最近、ガードが固くて協力的でない人は黙っていてほしいの」
「ふん、私の情報を知るなんて百年早いですわ」
亜紀が高笑いをする。
すると珍しく、柚季が頬を膨らませた。
(……可愛い)
それを見た理沙が、思わず頭を撫でてしまう。
「あの……佐原さん? 何をしているんですか?」
舞が戸惑いながら声をかける。
我に返った理沙は真っ赤になり、
「ご、ごめん……!」
と飛び退いた。
柚季は小さく、
「気にしないでいいの」
と呟く。
そんなやり取りをよそに――
「出来た~!」
志保が書類を掲げてドヤ顔をする。
「驚かすな!」
理沙が思わず声を上げ、すぐに頭を下げた。
「すみません、お騒がせしました」
「いいのよ。書けたなら、生徒会に提出してきなさい」
ゆかりは書類を確認し、判子を押す。
「はい、これで大丈夫。行ってらっしゃい。提出したら、また来てね」
「はい!」
五人は頭を下げ、職員室を後にした。
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生徒会室の前。
五人は顔を見合わせ、頷く。
志保がドアに手をかける。
「たのも~!」
勢いよく扉を開けた。
「いや、その掛け声はどうなんだ……」
「やめた方がいいですわ」
(コクコク)
「……いつもこんな感じなんだね」
それでも志保は気にせず、
「部活の申請書を提出に来ました!」
と元気よく言った。
生徒会長は一瞬呆気にとられたが、すぐに書類を確認し始める。
「えっと……フットサル部ですね。顧問は篠原ゆかり先生。部長は佐原理沙さん、副部長は遠藤舞さん。部員が戸崎志保さん、相原亜紀さん、足立柚季さん……はい、受理します」
そして書類とともに鍵を差し出した。
「部室は体育館横のこちらを使ってください。関係書類にも目を通しておいてくださいね」
「ありがとうございます!」
志保が受け取り、振り返る。
しかし――
理沙と舞が固まっていた。
「どうしたの?」
「なんで私が部長なんだ?」
「なんで私が副部長?」
「え? ダメだった?」
志保は首をかしげる。
「もう提出しちゃったし、受理されちゃったし……」
理沙は深くため息をついた。
「……遠藤先輩、諦めましょう。志保に書類を書かせた時点で、こっちの負けです」
「え、えっと……佐原さん、それでいいの?」
「大丈夫です。こういうの、小学校から慣れてますので」
完全に諦め顔だった。
舞も苦笑する。
「まあ、副部長なら……いいかな」
亜紀が腕を組む。
「戸崎さんが部長よりはマシですわね」
(コクコク)
「ひどい!」
「じゃあ、先生のところに戻ろうか」
舞が空気を整え、五人は生徒会室を後にした。
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職員室。
「先生、部室と鍵もらえました!」
志保が元気よく報告する。
「良かったわ。じゃあ先に部室に行ってて。先生もすぐ行くから」
「はーい!」
五人は揃って返事をし、再び走り出した。
その背中を、ゆかりは優しく見送る。
(さてと……こっちも準備しないとね)
そう呟き、ゆかりも席を立った。
読んでくれてありがとう!
まだまだこのメンバーたちが動きまくります。。
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