『禁忌の地をお掃除したら、歴史上初めてうるさすぎて気絶した件』
「さて、今日の仕事はここまでにしとくか」
『お疲れ様です、ご主人様。本日も「超効率のいいキッチン道具」が十点、完売いたしました。こんな僻地の魔道具店に、わざわざ王都から買い付けが来る理由が私には分かりかねますが』
「はは、売れるのはいいことじゃないか。生活には困らん。……よし、それじゃあアル、本命の実験を続けるぞ」
『普通に魔道具売り続ければ城が建つんではないですか?なぜ実験をしてるのですか?』
「城建ててどうするんだ?何分で破壊できるか実験するのか?」
『なんで破壊することが前提なんですか?!普通はいい暮らししたいとか思わないのですか?』
「いい暮らし?毎日実験し続けるだけで生活出来たら最高なんだがなぁ」
『はぁ。ご主人様の感覚は未だにわかりかねます。』
「いずれ解る時がくるさ・・・」
『わかりたくないです。』
「アルちゃん冷たいのなー」
『ゴーレムですからね』
『どうせ、またろくでもないものを開発中なんでしょ。今回は何をやるのです?』
「理論的には、これが成功すれば街を一つ消し飛ばせるミサイルが作れる」
『……聞き捨てならない単語が出ましたね。魔鉱石で炎を打ち出すのが最強ではないのですか?』
「あんなの変換効率が悪いんだよ。」
『効率ですか?魔鉱石を魔力として利用するのが普通なのでは?』
「普通はな、魔道回路の効率を極限まで高めて、この粉を加熱していくと……ほら、ジジジと針先が赤くなってきただろ」
『……ご主人様、光量が安全基準値を突破しています。熱量も異常です。加熱器を停止してください。私の外殻が溶けます』
「もう止めてるさ。なのにどんどん熱くなってる。机が燃え始めたぞ」
『緊急消火シークエンスを実行します。水、感知』
(バシャァァン!)
『……消火完了。机が炭化しました。私の耐熱塗装も剥げました。これはまたツケにしときますからね』
「いやあ実験成功だな! 一定まで熱を吸収させたが、途中から自発的に発熱し始めた。これがいわゆる『臨界』だ。これをもう少したくさんの粒子でやれば連続して反応が起きる。……予想では1キログラムでこの街は消滅するな」
『ご主人様はいつか世界をうっかり破壊してしまうと思ってましたよ。』
「(キコキコと椅子を揺らす音)……うーむ何処で実験をしようかな?少し離れたくらいじゃ街まで影響があるし・・・。いや待てよ・・・、アル。別に安全じゃなくていい場所がすぐそこにあるじゃないか」
『……不吉な予感しかいたしません』
「ほら、窓から遠くに見えるだろ。あの『死の大陸』って島がさ」
『あそこはあり得ない強さのモンスターがうじゃうじゃいる、と伝わる禁忌の地ですが』
「ふふふ。面白くなってきたな。俺の作った『核ミサイル』、あいつらに効くと思う?」
『検証のために世界を滅ぼしかねない兵器を撃ち込むのはおやめください、ご主人様』
うらぶれた港にて。網を繕っていた老船頭が、呆れたように煙管をくわえ直した。
「あのなぁ。死の大陸に近づいたら死んでしまうぞ?そもそも近づくのが禁止されてるだろう?」
「そこをなんとかならんか?取り締まるやつなんかおらんだろ?船売ってくれんか?金なら出すから」
「最近魚が採れんから、金は欲しい所だが……100万出してくれるなら……」
「よし!出そう」
「100万リルだぞ?!出せるのか?」
「アル、渡してやってくれ」
『はい。100万リルお渡ししました』
「本当だ。。よし、死の大陸に行くのは内緒にしろよ。俺まで捕まりたくないからな」
「OKOK 大丈夫大丈夫」
『ご主人様。船は残してくださいよ。私は泳げませんよ』
「まぁなんとかなるだろ。出発だアル!漕ぎだせー!」
『結局私が漕ぐんですね』
「なぁアル。だいぶ近づいて来たな?」
『これ以上近づいたら危ないのではないですか?』
「2つの意味で危ない。敵が攻撃してくるかもしれない。俺のミサイルが俺たちを焼き払うかもしれない」
『怖すぎるんですけど。威力は計算してるんですか?』
「してる。このロケットが、一番遠くに行った所で爆発してくれれば問題ない」
『行けるんですか?』
「理論上はいける。だが途中にドラゴンとかいて、そいつがくわえたりしたら、そこで爆発するからわからない」
『もう少し実験してからやりませんか?』
「だが、そのドラゴンがこっちに飛んで来たら、やっぱり死ぬんじゃないか?しらんけど」
『ドラゴンなら、ご主人様だけ食べられるんでしょ?それなら大丈夫です』
「アルちゃんひどいなー」
『もしつかんで逃げられそうなら逃げますから。泳げませんけど』
「そうなったらその時よ。そろそろ打ち込むか!」
『止めても無駄ですね。。上手に撃ってくださいよ。生物に当たらないように』
「ま、大丈夫だろ、結構上狙うからな。放物線を描いても、距離は足りるように設計してる」
『信じてますよ』
「よし『ジャスティン』発射準備!」
『そんな名前いつのまにつけたんですか?!』
「今付けた!」
俺は弾を装填し、肩に担いだ。
肩に乗せたロケットランチャーが青く光を放つ。
幾何学模様に光が走り、複雑な魔道技術を感じさせる
「よーし、発射準備!5・4・3・2・1・発射ー!」
シュゴーーーーーーーーーーーーーー!
弾が光を放ちながら、風を切って飛んでいく。
「ピカッ! ドガガガガガガガッ!!」
とんでもない爆音と衝撃があたりの物をすべて吹き飛ばす。
「うおーーーーー!!!」
『すごい光と衝撃です!』
周りが全く見えないほどの光とともに轟音が鳴り響く!
それと同時にレベルアップの音が!
【レベルアップしました!】【レベルアップしました!】【レベルアップしました!】【レベルアップしました!】【レベルアップしました!】【レベルアップしました!】【レベルアップしました!】【レベルアップしました!】【レベルアップしました!】【レベルアップしました!】【レベルアップしました!】【レベルアップしました!】【レベルアップしました!】【レベルアップしました!】【レベルアップしました!】【レベルアップしました!】【レベルアップしました!】【レベルアップしました!】【レベルアップしました!】【レベルアップしました!】【レベルアップしました!】【レベルアップしました!】【レベルアップしました!】【レベルアップしました!】【レベルアップしました!】【レベルアップしました!】【レベルアップしました!】【レベルアップしました!】【レベルアップしました!】【レベルアップしました!】【レベルアップしました!】【レベルアップしました!】【レベルアップしました!】【レベルアップしました!】【レベルアップしました!】【レベルアップしました!】【レベルアップしました!】【レベルアップしました!】【レベルアップしました!】【レベルアップしました!】【レベルアップしました!】【レベルアップしました!】【レベルアップしました!】【レベルアップしました!】【レベルアップしました!】【レベルアップしました!】【レベルアップしました!】【レベルアップしました!】【レベルアップしました!】【レベルアップしました!】【レベルアップしました!】【レベルアップしました!】【レベルアップしました!】【レベルアップしました!】【レベルアップしました!】【レベルアップしました!】【レベルアップしました!】【レベルアップしました!】【レベルアップしました!】【レベルアップしました!】【レベルアップしました!】
「うおーーうるせーーーーーー!」
レベルアップしました!が同時に鳴り響いたため、頭の中で反響し、俺は気を失った。
『ごしゅじんさまーーー!!!』
『ハッ……。ご、ご主人様、ご主人様。大丈夫ですか? 死んでしまいましたか?』
「ん?ああ。アル。残念だがまだ生きてるぞ」
『ふぅ。死んだかと思いましたよ。さすがにあの爆発の後ですから。人体には耐えられないのかと』
「耐えられなかったのかもしれないが、レベルが上がって耐えたのかもしれない。……お、ステータス画面が出たぞ。今俺のレベルはどうなったかな?」
「ふむふむ。レベルは……?おい。アル。おまえにも見せるからちょっと見てみてくれ。どうなってる?俺のレベル」
『えー?自分で見てわからなくなってしまったのですか?……5120?ご主人様。「ケイ」とあるので、名前は合ってるようですが、このステータス画面壊れてます』
「壊れてるのかな?俺、今まで国内最強と言われた剣聖のレベルが400台とか聞いたことあるんだが……」
『試しに何か魔法でも撃ってみては?』
「やってみるか。魔術なら、俺のとっておきのやつがあるぞ!」
『絶対やばいやつでしょ!ここで撃って大丈夫なんでしょうね?』
「いや、大丈夫じゃない。船ごと後ろにぶっ飛んで、元の港に突っ込むだろうな」
『馬鹿なんですか?死にますよ?自分が』
「このレベルなら死なないかも……」
『いやいや、死ななくても大ごとでしょ。船が港に降ってくるんですよ?家に直撃したら、人が死にますって』
「確かに。おまえ頭いいな」
『まぁ頭はいいですけど。ご主人様が何も考えてなさすぎるのではないかと愚考いたします』
「一旦やめとこう。一旦な」
『一生やめといてください』
「さて、残りの弾も撃ちこんでしまうか!」
『1発じゃないんですか?いくつあるんですか?』
「今回は5発。持って帰るのもアレだし、全部撃ってしまおうかな」
『どうせ撃つなら、ほかの所に撃った方がいいんではないですか?左の方とか』
「そうだな。今撃った所は敵がいなくなってるかもしれんから、ちょっと移動しよう」
「よーし。だいぶ移動したし、次!」
シュゴーーーーーーーーーーーーーー!
「ピカッ! ドガガガガガガガッ!!」
【レベルアップしました!】 【レベルアップしました!】
【レベルアップしました!】 【レベルアップしました!】
「アル。今回はうるさいだけだ。大丈夫みたいだ」
『それはよかったですけど、まだレベル上がるんですね?とんでもないレベルのモンスターがいるんでしょうね』
「ああ。やっぱり死の大陸はヤバイ場所なんだよ」
『でも、こんな殺され方するとは思ってなかったでしょうね』
「掃除だな。掃除掃除〜」
シュゴーーーーーーーーーーーーーー!
シュゴーーーーーーーーーーーーーー!
シュゴーーーーーーーーーーーーーー!
「ピカッ! ドガガガガガガガッ!!」
「ピカッ! ドガガガガガガガッ!!」
「ピカッ! ドガガガガガガガッ!!」
【レベルアップしました!】 【レベルアップしました!】
【レベルアップしました!】 【レベルアップしました!】
【レベルアップしました!】 【レベルアップしました!】
「よーし。撃ち終わった。レベルはどうなったかな?」
『6311ですか。本当にこれで合ってるみたいですね。上がり方も鈍くなってます』
「しかし、あそこから1000上がったってことは、とんでもないモンスター倒してるな」
『まだこの大陸の一部のようですから、勝てない敵がいるかもしれませんよ』
「確かに。だが、ちょっと上陸してみたいよな?」
『え?私は一瞬で壊されるんじゃないですか?』
「部品的にはそうかもしれんが、アルの体は、緊急時俺のマナを使ってシールドが張れるんだぞ。元々俺はマナそんなにないから、気休めだったけど、今なら鉄壁なんじゃないか?」
『確かに、そんな機能ありましたね。意味なかったんで忘れてました』
「そうそう。いずれな、魔鉱石を加工してマナシールドを張れるようにする予定だったんだよ」
『もうその改造いらないかもしれませんね。本当に6000もレベルがあれば、魔鉱石で代用するより硬いですよ』
「一旦上陸して、魔法撃ってみるかアルに」
『いやいやご主人様。そのレベルで撃ったらさすがに貫通すると思います』
「それはありうるな。やめとこう。悲しすぎる」
『ご主人様……じゃ上陸しましょう』
「さらっとしてるな。よし上陸だ」




