ショッピングモール
「…こ、これが…」
隣にいるアルクさんが目を見開いて唾を飲み込んだ。
驚くのも当然、異世界からきたのだから。
大量の人で溢れかえるショッピングモールは家族連れや、カップル、学生がほとんど見られた。
「さ、行きましょうよ。日用品を買わなくては。」
「はい。…申し訳ありません、私の為にわざわざ…。」
アルクさんは私に向き軽く頭を下げた。といっても、私より身長がとても高いアルクさんは頭を下げても私の身長を余裕で越している。
「大丈夫ですよ。そんなに高いものは買えませんが、私にも貯金というものがあるのですから。」
コツコツとためてきた給料だ。こうしてみると、日々の節約はしておいてよかったなと改めて感じた。そして、これからも頑張ろうと心に誓う。
「これと、これとか。」
私は服を選択し、突っ張っているアルクさんの体に合わせる。が、なにきても大抵似合うので案外早く終わってしまった。
「じゃあ、次は食材を買いにいきましょうか。」
「わかりました。」
すると、会計した服をアルクさんが私の手からさりげなく奪い取った。
…紳士すぎる!
彼氏などもう2、3年いない私にはドキドキが止まらない場面であった。こうしてみると恋人同士に見えるのかなとか考えてしまう。失恋ばかりで、諦めていたけど、恋っていいなと少し思ってしまったのだった。
少し歩いてついた食品売り場では、カートを引いて回っていく。
「こちらの世界の食べ物と結構似ていますね。」
「そうですか?」
「はい、例えばこれ。」
手に持ったのは、白菜。
「私の国では、レーファンスと言います。煮込み料理など、炒めたり、何にでも合いますね。」
「そうなんですか、こちらとも大体同じですね。煮込むと芯がトロトロになって美味しいんですよ。」
「わかります」と頷くアルクさん。
…………ん、まてよ。
「アルクさん、料理出来るんですか!?」
「…え、出来ますよ?」
ええええええ。
私は、驚いてアルクさんを見た。てっきり剣一筋とか言って家事とか苦手な人だと思っていたのだ。
「…そっか、できるんだ。」
そこで、私にはふとある事を思いついた。
「ここの食べ物はあちらの世界とにてるんですよね!?」
「………え、ええ。」
「調理器具とか教えるので、ご飯作ってくれませんか??」
この人は一体どれだけまばたきしただろうか。しばらく固まっていた。
「…アルクさん?」
「……お口にあうか分かりませんが、頑張ります。」
それから強張った顔で引き受けてくれたアルクさんは色々な食品を真剣にみていた。そして、ほとんど全部のものを私に尋ねたのだ。もちろん、私にもわからない物はある。その時はスマホを使って検索までした。スマホって素晴らしい。
そのせいか、家に帰ったのは9時前だった。