7 レベルアップで環境改善
そして異世界転移は2週目に突入する、黙々と虫を殺しレベル上げを続けたことにより、私はコッペパンを16個出せるようになった。
「そろそろ、固いパンにさよならできるか」
10日目、探索組を送り出した私はステータス画面をチェックする。栄養をとりしっかり眠ったからレベルアップできたようだ。お弁当スキルに変化が。
近所のスーパーで1番安い弁当が出せるようになっていた!
(MPは5ポイントも消費するけど、食べたい!)
油がギトギトで給料日前以外では買わなかったシロモノなのに、今はあまりの良い匂いで意識が飛びそうになる。
生徒の目が一斉に私を凝視した。
「みんな1口ずつだよ」
弁当をもう3個出し、炭水化物多めの中身を箸で分け、1人1人に渡した。
(とほほ、レベル上げで増えた分のMPがゼロだよ‥)
おかずはひと口大に分けてから、アレルギーの有無を確認してからジャンケンで早い者勝ちにした。
もちろん私も一緒にジャンケンするよ、生徒に全部譲るなんて殊勝なことしないから。
「うま」
たくあんと米の飯がここまで合うとは思わなかった。里イモの煮物なんて今までバカにしていてすみません!
問題は、余計にお腹がすいたこと。
そして一粒残さず食べ終わった後、暁君が扉から出てきたこと。
(う、しまった忘れていた。教師失格じゃん)
いつも彼だけはみんなより3・4時間多く寝ているのだ。
自己嫌悪でワタワタうろたえる私に、暁君はのんびり声をかける。
「おはようございます。先生、僕またレベルアップしましたよ」
「おおおおはよう、そうなんだ、見せて見せて」
挙動不審になりながら彼に合わせる。
「さあ、朝ごはんにしようね」
もうすでに何か食べてたのは内緒だ。
「なんかいい匂いしますよね」
「い、いつものコッペパンの匂いだよ?」
私はキッチンに飛びこんで卵を割り出した。
(後でMPが回復した時に、探索組と一緒にお弁当あげなきゃ。それで帳尻を合わせよう、うん)
スクランブルエッグを暁君だけ多めにあげたけど、他の子から文句は出なかった。
探索は交代制で行い、順番に暁家の居間で休憩を取らせる。
体力の減少が少なくなれば、みんなそれぞれ頭を働かせだした。
絵描きの半藤さんが絵具セットを魔法で生み出し、壁に絵を描いている。
花の絵だ。
すっごいリアルに描くなあと感心していたら、壁に花が現れていた。
「魔法って素敵ですね」
それは見えるだけで触れないけれど、立体映像が描くだけで作れるならすごいこと。
「ってことは‥ねえ半藤さん、描いて欲しい絵があるんだけど」
私が頼んだのは空の絵だ。
洞窟の壁にぽっかり空が現れた。
今までどれだけ空が恋しかったか。せまい空間に閉じこめられて気分が鬱屈していたのだ。
(ニセモノでも嬉しい)
他の子たちも簡易窓の側に集まる。
鈴木君と後藤君は2人で洞窟の奥に行っていたら、大モグラを見事に解体して持って来た。
「解体スキルを覚えた!」
「おお偉い」
食料はまだ全然たりていない。私以外でも解体を覚えれば、もっとたくさんの肉を食べられる。
後藤君の鑑定スキルも食べられるかどうかだけではなく、おいしいかマズいかの判断が可能になった。
「この巨大芋虫が一番うまいらしいですよ」
見た目はグロいが、調理してしまえば分からない。
そして今ならキッチンも調理道具も調味料もある。
スパイスをたっぷり効かせた肉は以前とは別物に仕上がった。
「これなら十分おいしいね」
探索組には芋虫の捕獲を優先するよう頼む。
そして冷蔵庫の中身が少しずつ増え、私のお弁当スキルも上がって、コンビニのサンドイッチが一度に10個出せるようになった。
(食糧事情が解決するまであと少しだね)




