47 とある冒険者の悩み
三人称にしてみました。
コロコロ変えるのはダメなのは知っていますが、別に出版されるわけでもないし~と気楽に書いています。
今日のロヴェンテは久しぶりに探検から街へ戻っている。
毎度のように酒場へ足を踏み入れ、仕事の疲れを仲間とねぎらい合うためだ。
「お前さあ、いい加減ワタリちゃんに告白しろよ、好きだって」
酒場の喧騒の中、ジェイクは仲間をしかりつける。
「う、しかしだな、彼女は俺たちとは身分が違うんだよ。元いた場所では絶対にお嬢さんで」
ロヴェンテは暗い顔で酒をあおる。
ロヴェンテは家に残ったら兄にこき使われるのが嫌で故郷を飛び出した、元ならず者だ。
対してワタリはちゃんとした教育を受けている。
元知的階級の女性と、ただの冒険者では身分的につり合いなど取れない。
「それでも今この国では同じ冒険者だぞ、行けるって」
ミックが気楽にけしかける。
「ま、たしかに余計なコブが10人? いるけどさ、そろそろ家を出る年だろ」
「そうなんだよ。ワタリちゃんが独り身になるのを待っていて、他の奴にかっさらわれたらどうする」
仲間の声が大きくなってきた。
「だいたい、お前は俺たちと違ってずっと一緒だったんだろ? なんでその間に何にもしねえんだ。俺だったらとっくになぁ」
ドンが息を荒くする。
「うるせえよ」
ロヴェンテはぎろりとにらみつけた。
「その辺にしておけ」
ガイは黙々と酒を飲む。
(別に、仲のいい知り合いで十分だし)
ロヴェンテは酔い覚ましに大通りを歩く。
ワタリたちが住んでいる宿は、彼の定宿の近くだ。
期待をこめてブラブラするが、知り合いの子供1人会わなかった。
(まあ夜だしな。出歩かない方がいいだろう)
ロヴェンテは自分の宿を教えているし、何かあれば冒険者ギルドに手紙で言づけることだってできる。
だけどワタリからロヴェンテに声がかかることはなかった。
(これが脈無しってやつか‥)
彼は星空を見上げる。
「あ、ロヴェンテさんいましたね」
しかし次の日は酒場に行く前にワタリとバッタリ会えた。
彼女の方から探してくれたのだと思うと、ロヴェンテの心が浮き立つ。
「これ、作ったんですけど、甘い物食べます?」
「ん? あんたが作ったのか?」
「はい」
受け取って袋を開くと、いい匂いが鼻をくすぐる。
袋を開けると焼き菓子が入っていた。
多少不格好だったが、それも彼女の味だろう。ひとつ口に入れたら、甘さが口に広がる。
「うまい」
手が止まらない。
気がついた時には半分に減っていた。
「料理もうまかったが、菓子もこんなに得意だったんだな」
「ああ、それは私だけの力じゃなくてSHOMAさんの企業努力ですね」
(言っていることは良く分からないが、俺は彼女にとって特別になったのだろうか?)
「それでも、こんなにうまい物を作るのは大変だったんだろ」
「大丈夫ですよ、生徒にケーキ作ったついでなんですから!」
(‥俺はついでだった)
ロヴェンテはがっくりうなだれる。
しかし直後、ワタリから思ってもいない提案がされた。
「それから、あの、私がロヴェンテさんに文字を教えるのって迷惑でしょうか」
ロヴェンテはワタリと目を合わせた。
「いいのか? 俺としては助かるだけだが」
「あ、なら、会う日とか決めましょう」
ワタリとは週に1度は会う予定を立てる。
ロヴェンテの沈んだ心があっという間に浮き立った。
(単純だな、俺。市民権を取ったら‥気持ちくらいは伝えてみるか。好きだと‥)
まだ甲ランクになったばかりだから、気が早いのかもしれない。
それでも、ちゃんとした身分が手に入れば、ロヴェンテは自分に自信が持てる気がした。
SHOMA~ホットケーキ♪




