44 街には危険がいっぱい
生徒たちには対処可能な失敗をくり返させる。
村では珍しがられるだけだったが、街には危険がいっぱいで気が抜けない。
賭場にハマってすっからかんになった綸堂君には、一生ギャンブルができなくなるよう強力な洗脳をかけた。
イケメンにだまされかけた女子にはあまりきつく言えなかったが、この世界はスキあれば他人をおとしいれようとする。
1人でいる所を誘拐されそうになった女子もいた。
「この世界怖いんですけど」
「うん、私たち日本人は幼く見えるから、ロリショタの餌食にならないよう注意しなくちゃね」
私含めて。
いやまさか私まで「女の子」として扱われるとは思わなかったよ。
すぐ舐められるし、ぼったくられるし、ナンパされるし。
言い返すとすぐもめごとになる。
まあ洗脳できるし負けないけどさ、ロヴェンテさんが収めてくれた時は本当に助かった。
魔物がはびこるダンジョンより、人間世界の方が怖いことが身にしみたね。
それでも少しずつ私たちは順応する。
「今日は冒険者ギルドの仕事に行ってきます」
冒険者ギルドで請けおう仕事は大半が力仕事だ。
ドブさらいとか街道の整備とか下水道の点検とか。
洗浄魔法を持っている九十九さんは引っ張りだこ。ま、本人は嫌がっているけどね。
私は大抵草むしりや荷物運びで、チマチマ実績を上げた。
ひと月が経つ頃にはもう丙ランクにアップだ。
これでギルドの仕事が月1回に減る。
「おめでとうございます。これで受けられる仕事も増えますね」
受付の職員さんによると、ここの冒険者はほとんど丙ランクか乙ランクだとか。
(ギルドの仕事は賃金が少ないから、ある程度ランクが上がったらそれ以上は目指さないのかな)
ちなみに乙ランクに上がると、3か月に一度依頼をクリアすればいいようだ。
そのためには3か月以内に丙ランクの依頼を10回こなす必要があるので、目指さない人も多いらしい。
「甲ランクに上がるには、難しい依頼を受ける必要がありますからね。乙ランクまでは上がっても、みんなそこで諦めます。ま、ワタリさんたちなら市民権も夢ではありませんよ」
職員さんにほめられてしまった。
ギルドを出ても、もう他人からは注目されない。
町に来たばかりはジャージの集団として目立ちまくったが、今は服装もほとんど町の住民と変わらないのだ。
古着はゴワゴワして最初こそ違和感を持ったが、仕立て屋ジョブの佐藤さんが体に合わせて直してくれた。
彼女の裁縫スキルはかなりレベルアップしている。
「1から作るのもたのしいですよ」
街で布を買って来ては、この世界の流行とは少し違うデザインの服まで作っている。
「新しい流行が作れたらいいですよね。私、将来店を継ぐかどうか迷っていたんですけど、この仕事好きみたいです」
佐藤さんの進路も決まった。
初めから強かったメンバーはダンジョンにもぐって、魔物の素材や魔力をおびた鉱石の採取に出かけている。
「よっしゃ、乙ランククリア」
彼らはきっと、あっと言う間に市民権を得るのだろう。
私も時々ダンジョンにもぐり、活動資金を稼いでいた。
暑い夏は地下に潜った方がヒンヤリ涼しいし。
魔物と戦ってばかりなので、そこら辺のヒョロ男など歯牙にもかけなくなっている。
「へえ、女の子ばっかりじゃねえか。ぐふ、ちょうどいい」
ダンジョンでゴロツキの集団に絡まれた時もあわてないわ。
「俺たちと一緒に行こうぜ」
「手を離しなさい」
私が命令すれば、にやけ顔の男たちから表情が消え、あっという間に素直になる。
「一緒に警備兵の元に行きましょう」
洗脳状態の男たちと一緒に街へ戻り、警備兵のつめ所に連れこむ。
かどわかされそうになったしだいを説明して、男たちには自白までさせる。
「先生、無敵じゃないですか」
「あなたたちに言われるほどじゃないでしょ」
一緒にいた女生徒に感心されるが、攻撃魔法の名手たちにほめられてもねぇ。
台風すごかったですね。
メッセージを書いてすぐ我が家の周りは静かになりました。
力を貸してくれた方、ありがとうございます。
ただよその被害が甚大すぎるので、次からはもっと早く助けを求めます。 (-_-;)




