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外れスキルなどない! オタク担任は洗脳してでも生徒全員生還を目指す  作者: ノーネアユミ
2章 地上の世界

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41/52

41 発熱


 翌日からは生徒たちに町を探索させる。

 私は宿でノンビリしながら、情報を持ち帰ってもらった。


「ワタセン、八百屋で食材買ってきた。けっこう安いんですよ」

「服を買いたかったんですけど、古着屋しかありませんでした」

「串焼きが銅貨1枚で買えました」


 この町の様子や相場(そうば)が段々分かってくる。



「武器屋を見つけました! 防具も売っています」


 とうとうやっと、ちゃんとした武器が手に入った。


「ふ、オレもやっと剣を持つ日が来たのだな」


 誰だ中二病をこじらせているのは。


 でも今までの武器が包丁や高枝切りばさみだったから、本物の剣や弓に憧(あこが)れる気持ちは分かる。




 そして生徒を町に出すと、文字が読める子と読めない子に分かれることが分かった。


「数字は何とか読めるんで買い物はできましたけど、冒険者ギルドの依頼が分からなくて」

「あ、わたしも。係の人に読んでもらっちゃった」


 文字が読める子はステータス画面に『他言語理解』のスキルが表示されている。

 これは全員が獲得できるスキルではないらしい。


「明日以降は読める子と一緒に行くといいよ」


 規則性が分かるかも。




 そして‥私の気がぬけた。


(この世界でも、みんなやっていけそうだね)


 そう油断したのがいけなかったのだろう。



 次の日、目を覚ました時にはもう頭がガンガンしていた。熱を出したらしい。


「しばらくは安静にして下さい」


 矢島さんに解熱剤を処方してもらった。

 食欲はなかったけれど、矢島さんはお粥やヨーグルトも出してくれたからありがたく受け取る。


 宿スキルを使う気力もないので、矢島さんの保健室で横になっていた。



「先生がここで寝るの初めてですよね」


 隣のベッドでは矢島さんが腰かけ、マンガを読んでいる。

 薬臭い空間だが、具合が悪い時はこの臭(にお)いも妙に心地よい。



 他の生徒たちは私のことなど気にせず出かけて行った。

 ダンジョンの時とは違うメンバーでグループができたようだ。



 コンコン、と宿屋の扉がたたかれる。


「どなたですか」


「あ、えっとその、見舞いに来た」


 ロヴェンテさんだ。



「どうぞ」


 矢島さんがカギを開け、保健室へ入って来た彼は目を泳がせている。


「不用心じゃないか? カギを開ける前に、本人かどうか確かめないなんて」


 あ、そうか。魔法もある世界なんだから成りすましも可能なんだな。


「とりあえず、これ。別にいらないだろうが」


 渡された小さな壺にはハチミツが入っていた。



「ありがとうございます」


 お礼にお弁当を出す。


 たっぷり寝たからか、人数分はちゃんと出せた。



「無理するな。それと2人きりは危ないから、今日は俺もここにいる」


 なんと警備も言い出してくれた。一応暁君も自室にこもっているのだけど、ありがたい。


 しばらくぐっすり寝て、保健室から出ると、ロヴェンテさんは、誰も使わなかったベッドにくつろいでいた。


「体調は?」

「だいぶマシです」


 薬で熱は落ち着いている。

 どうにかホテルの扉を一枚だけ出せた。


「無理はするなよ」


「これくらいなら大丈夫ですよ。汗かいたから、シャワーを浴びたくて」


 矢島さんも一緒に入って来た。アイス枕や保冷剤を冷蔵庫にしまいこんでいる。

 朝に凍らせてもらったのは全部溶けちゃったようだ。


 私はジュースを取り出す。冷えたジュースはおいしかった。


 風呂から出ると体がぐったりして、動くのが辛い。


 熱出すと入浴が体力を使うことを思い出すんだよね。


 ホテルのベッドに倒れこむ。




 目が覚めた時も、まだロヴェンテさんはいた。


「ロヴェンテさんって、先生のこと好きなんじゃ」


 保健室に薬を取りに行くと、矢島さんがポロっとこぼした。


「まさかー」

「いやいやいや、そうとしか見えないんですけど」


 まじめな矢島さんが適当言うのもおかしいので、ちょっと本気にしてみる。


(え、私異世界で彼氏できるの? ロヴェンテさんなら‥嫌じゃないし‥え、私結婚できるの? でも子供が産まれたらどうなるん? 異世界ハーフ?)



 頭がグルグルしてきた。



「寝る。このことは先送りで」


「あ、はい。おやすみなさい」


 生徒たちの帰宅も待たず、私は熟睡してしまった。


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