4 洞窟での生活が始まります
2日目、時間は‥目が覚めてステータス画面を確認したら朝の6時。分からないけれどこの世界も1日は24時間らしい。
「お腹減った‥」
後藤君じゃなくてもみんな空腹に悩まされている。
パンの塊はまだ残っているけれどバターもジャムもない。
飲み物だって水だけだ。
昨夜よりカチコチに固まったパンをなんとか水でふやかして食べる。
あごは本格的に筋肉痛。
暁君の部屋の扉は閉まっていた。
多分彼だけ快適に眠っているのだろう。
「あ~昨日しとめたモンスター? 見てみたいから持って来てくれる?」
「無理です、今日は休ませて下さい」
味気ない朝食の後でA班の子たちに無理を言ったら即断られた。
なので今日はB班の子を探索に向かわせる。
昨日の経験を活かし、無理なく帰還できるように目印をつけさせて。
小林君が光り魔法を使えたから、小石を光らせ通った場所に置かせたのだ。
まるでヘンゼルとグレーテル。お菓子の家はないけれど。
「お早うございます」
暁君が起きて来た。
「良かった。暁君の部屋で役に立ちそうな物あったら欲しいんだ。いい?」
一応確認は取る。ダメだったら洗脳するしかないけれど、彼はうなずいてくれた。
「あのう、昨日先生にノートとシャーペンあげたじゃないですか、あれ‥寝たら戻っていたんですけど」
「ん? 別にまだ手元にあるよ?」
確認するため扉に体を寄せたら、昨日とは違って私の体は部屋に入る。
「トイレだけじゃなくてこっちにも入れるんだね。 ステータス画面はどうなってるの?」
暁君のステータスを見せてもらうと、『MPの消費により状態回復済』と新しく表記が増えていた。収容人数は『本人と本人が許可した者2名』とある。
「これレベルアップした成果じゃん」
始めの状態に戻すのかどれだけMPを使うのかは検証していないが、とりあえず彼の部屋から服や寝具を取り出した。
昨夜は気温こそ寒くなかったが、眠ると体が冷えた。少なくとも今晩は寝る時寒さに震えなくて済むだろう。
私は昨日たくさん魔法を使ったメンバーのステータスをチェックする。
A班の勇者たちが攻撃魔法を獲得していたのは予想通りだけど、高橋さんはスキル温風を獲得していた。
(ここから考察すると、欲しいと願ってなおかつ自分の特性に合ったスキルを覚えそうだな)
出張手当が出たのは職業である『導く者』との相性が良かったからかも。
仮説を立証するため、私は叫んだ。
「出でよ、ホテル!」
『導く者』の効果で現実世界と同じように出張手当が出るなら、宿泊のためのホテルが出てもおかしくない。
何も出なかったが、ステータス画面には『レベルが足りません』との表記が。
(これレベル上げれば出るってことだね!)
私は生徒たちに急いでこのことを教える。
「みんな自分の職業に合ったスキルを考えて! 衣食住に関わる魔法を優先で!」
授業中は考えられないくらい真剣に、生徒は私の言葉を聞いた。
「キャンプセットぉ!」
冒険者の鈴木君が叫んでいる。
「くっそ、レベルが足りない」
肩を落とす彼に私は語りかける。
「全部を出そうとしないで、食料だけ願ってみたら?」
「そっか、よしカレーライス! ダメか、カップラーメン! なんで出て来ないんだよぉ」
カレーとかラーメンとか聞くだけでお腹がすいてくる。
とりあえず調理のための小鍋だけゲットだ。
服屋の娘だからか、ジョブが仕立て屋の佐藤さんはスキル着替えを習得した。まだ出せるのは格安の下着だけだがめっちゃ助かる。
いつもおしゃれな九十九さんはきれい好きと言うか潔癖症だったらしく、洗浄魔法を覚えてくれた。
「良かった‥これで衛生面が最低限クリアだよ」
遠征隊が得物を持って帰って来た。
正確には得物を引きずって、だ。死骸には触りたくないようツタでくくってある。
ツタもスキルで出せたらしい。
で、動物が手に入ったからと言ってすぐ食べられるわけではないのですわ。
「食べられるかどうか鑑定魔法かけて見てよ」
鑑定持ちの半藤さんと渡辺君に頼んだけれど、『最深部モグラ・死骸』としか出なかった。
「あ、オレがやってもいいですか?」
後藤君が近づいて来た。
「なんかできそうな気がするんすよ。スキル『鑑定』ぃ、あ、できた。食えるっぽいですね」
餓鬼のジョブは食べることに特化したスキルが使えるのかもしれない。
‥まあ、ここからが大変なのだけど。
固いパンであごが筋肉痛は実際に経験済みです。
さすがに味はおいしいパンでした。また食べたいですね。歯ごたえがある食べ物好きなんですよ。
福島のお煎餅とか。




