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外れスキルなどない! オタク担任は洗脳してでも生徒全員生還を目指す  作者: ノーネアユミ


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3/33

3 情報収集

「とにかく君たち3人はスキルを使って色々(ため)すように」


 (はず)れスキルは絶対役に立つはずなんだよ。


 そして1軍の強キャラを半分に分け、2軍から回復魔法や補助(ほじょ)魔法の使い手を(まぜ)ぜる。


「こっちはA(はん)付近(ふきん)探索(たんさく)をすること。こっちのB班は(のこ)ってみんなを(まも)って」

「先生は?」

「私は残る組」

「ずりい」

「これは必要なことなの」


 私はこのクラスのリーダーだ。指揮官(しきかん)は本隊から(はな)れてはいけない。

 斥候(せっこう)は2番手に(まか)せる仕事だと『ツバメ号とアマゾン号』に書いてあった。


「探索組が(まよ)わないように、高橋さんは定期的(ていきてき)に風魔法を送って。A班は風が()いてくる方に(もど)ること」


 そうすれば帰る方向も分かりやすいだろう。



 探索組は出発したが、残った全員は不安を(かく)せていない。


「こっちが正解って、本当なんですか?」

「先生のせいですからね、こんなところに落とされるなんて」


 生徒からは(うら)みがましくにらまれてしまった。


(はあ、私だって異世界に召喚(しょうかん)されてすぐ最適解(さいてきかい)は分からないよ。こんなに大変なのに無給(むきゅう)だなんて。せめて出してよ出張(しゅっちょう)手当(てあて)!)


 手の(こう)文様(もんよう)が光った。

 不審(ふしん)に思ってステータス画面を起動(きどう)させれば『新スキルを獲得(かくとく)しました』と表示されている。


 新しく手に入れたスキルはそのまんま『出張手当』だった。



 さっそく(とな)えたら、手の中に硬貨(こうか)が数枚出現する。


「それってこの世界のお金ですよね」

「今出せても使えないじゃん」


 うん。町に出られさえすれば役に立つのにね。



 それでも収穫(しゅうかく)は大きい。


「ねえ聞いて」


 スキル『能弁』を意識しながら生徒に疑問を投げかけた。


「もしかして、欲しいって(ねが)ったスキルが手に入るかもしれない」



 生徒たちはそこらへんでアロハロ波とかガムガムのとか(さけ)ぶが、何もおきない。

 他にも発動(はつどう)条件があるのだろうか?


 私は考えながらウロウロ歩き回る。

 プチ。足裏(あしうら)(いや)な音が。(おそ)る恐る足元を()らすと虫がつぶれていた。

 ダンゴムシやグソクムシみたいなやつ。


「うげ」


 後ろに下がったらまたプチプチ音が‥

 最悪な気分になったが、同時に目はステータス画面の変化をとらえた。

 経験値が()えているのだ!


(もしかして‥)


 足元を確認して虫をつぶすと、画面の経験値が1増えていた。



「うお、虫殺しただけで経験値が上がった」


 この虫、あのゲームに出て来るスライム的な存在だ。



「嫌ァ、そんなんで経験値なんて欲しくない!」


 女子が(さわ)いでいるが、私は無視してスキル洗脳(せんのう)を発動させたった。


「みんなー、経験値(かせ)ごうね!」


 斥候(せっこう)組が帰ってくるまでチマチマと経験値を()める。




「先生、僕のスキルがレベルアップしました」


 (あかつき)君が(とびら)から体を出し、スキルを解除(かいじょ)し扉を消す。


「一回解除しないといけないらしくて」


 もう一度彼がスキルを発動させると、(あらわ)れた扉が2枚に増えている。


「あ、やっぱり」


 暁君が新しい扉に入って出て来ると、水の流れる音がした

 それはトイレのドアだったのだ!



「1名だけなら自分以外を入れられるらしいです」


 暁君がステータス画面を読み取る。

 つまり順番であれば全員が使用可能なのだ。


「うおおお、インフラ確保(かくほ)!」


 私は歓喜(かんき)した。

 (あな)()っただけのトイレは現代人にはキッツいのだよ。


「スキルを使っていた方がレベルアップしやすいんじゃないですか」


 矢島さんが錠剤(じょうざい)を作り出しながらつぶやく。


整腸剤(せいちょうざい)を出してたら胃薬も出せました」


 戦闘系のキャラを(のぞ)いた子たちにMPを使い切るまでスキルを練習させた。


 

「ああ腹減(はらへ)った」


 後藤君がお(なか)をかかえている。

 食料調達(ちょうたつ)必須(ひっす)課題(かだい)だ。


(だれ)か食べ物系のスキルは出せない?」


 そこまで都合(つごう)よくは行かないらしい。




「死ぬかと思った‥」


 1時間ほどして斥候組のA班が戻って来た。


「モンスターには遭遇(そうぐう)するわ、道に迷うわ、散々(さんざん)でしたよ~」

「ステータス画面でマッピングできるようになって、やっと戻れました」


 おおゲームっぽい。


「食べられそうな物あった?」


 私の質問に勇者の坂本君は目をそらしている。


「え‥モンスターは(たお)したんですけど、その‥」

「死体が気持(きも)ち悪くて‥」


 賢者(けんじゃ)の和田さんと剣士の日暮(ひぐれ)君がぼそぼそ教えてくれた。


(そりゃ一介(いっかい)の高校生が死骸(しがい)さばいて肉にするとか無理じゃん)


 倒して(そく)素材に変換(へんかん)はしてくれない世界らしい。


「じゃあ、新しいスキルがあったら教えて」


 私はみんなの情報をノートに書きとる。

 文房具は暁君の部屋から持ってきてもらった。


 みんながそろったら食事だ。

 食べるのは(かた)いパンと水だけ。

 渡されたパンはボソボソしていてひたすらマズかった。

 大した量を食べていないのにあごが疲れる。


(トイレがあるのは助かるけれど、寝る場所がないのもキツイね)


 みんな体育すわりをして数人ずつ固まって寝た。

 暁君だけは自室のベッドだ。うらやましい。



 見つけてくれた20人ほどの読者様、ありがとうございます。

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