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外れスキルなどない! オタク担任は洗脳してでも生徒全員生還を目指す  作者: ノーネアユミ


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3/7

3 情報収集

「とにかく君たち3人はスキルを使って色々試すように」


 外れスキルは絶対役に立つはずなんだよ。


 そして1軍の強キャラを半分に分け、2軍から回復魔法や補助魔法の使い手を混ぜる。


「こっちはA班、付近の探索をすること。こっちのB班は残ってみんなを守って」

「先生は?」

「私は残る組」

「ずりい」

「これは必要なことなの」


 私はこのクラスのリーダーだ。指揮官は本隊から離れてはいけない。

 斥候(せっこう)は2番手に任せる仕事だと『ツバメ号とアマゾン号』に書いてあった。


「探索組が迷わないように、高橋さんは定期的に風魔法を送って。A班は風が吹いてくる方に戻ること」


 そうすれば帰る方向も分かりやすいだろう。



 探索組は出発したが、残った全員は不安を隠せていない。


「こっちが正解って、本当なんですか?」

「先生のせいですからね、こんなところに落とされるなんて」


 生徒からは恨みがましくにらまれてしまった。


(はあ、私だって異世界に召喚されてすぐ最適解は分からないよ。こんなに大変なのに無給だなんて。せめて出してよ出張手当!)


 手の甲の文様が光った。

 不審に思ってステータス画面を起動させれば『新スキルを獲得しました』と表示されている。


 新しく手に入れたスキルは『出張手当』だった。



 さっそく唱えたら、手の中に硬貨が数枚出現する。


「それってこの世界のお金ですよね」

「今出せても使えないじゃん」


 うん。町に出られさえすれば役に立つのにね。



 それでも収穫は大きい。


「ねえ聞いて」


 スキル『能弁』を意識しながら生徒に疑問を投げかけた。


「もしかして、欲しいって願ったスキルが手に入るかもしれない」



 生徒たちはそこらへんでアロハロ波とかガムガムのとか叫ぶが、何も起きない。

 他にも発動条件があるのだろうか?


 私は考えながらウロウロ歩き回る。

 プチ。足裏で嫌な音が。恐る恐る足元を照らすと虫がつぶれていた。

 ダンゴムシやグソクムシみたいなやつ。


「うげ」


 後ろに下がったらまたプチプチ音が‥

 最悪な気分になったが、同時に目はステータス画面の変化をとらえた。

 経験値が増えているのだ!


(もしかして‥)


 足元を確認して虫をつぶすと、画面の経験値が1増えていた。



「うお、虫殺しただけで経験値が上がった」


 この虫、あのゲームに出て来るスライム的な存在だ。



「嫌ァ、そんなんで経験値なんて欲しくない!」


 女子が騒いでいるが、私は無視してスキル洗脳を発動させたった。


「みんなー、経験値稼ごうね!」


 斥候組が帰ってくるまでチマチマと経験値を貯める。




「先生、僕のスキルがレベルアップしました」


 暁君が扉から体を出し、スキルを解除し扉を消す。


「一回解除しないといけないらしくて」


 もう一度彼がスキルを発動させると、現れた扉が2枚に増えている。


「あ、やっぱり」


 暁君が新しい扉に入って出て来ると、水の流れる音がした

 それはトイレのドアだったのだ!



「1名だけなら自分以外を入れられるらしいです」


 暁君がステータス画面を読み取る。

 つまり順番であれば全員が使用可能なのだ。


「うおおお、インフラ確保!」


 私は歓喜した。

 穴を掘っただけのトイレは現代人にはキッツいのだよ。


「スキルを使っていた方がレベルアップしやすいんじゃないですか」


 矢島さんが錠剤を作り出しながらつぶやく。


「整腸剤を出してたら胃薬も出せました」


 戦闘系のキャラを除いた子たちにMPを使い切るまでスキルを練習させた。


 

「ああ腹減った」


 後藤君がお腹をかかえている。

 食料調達は必須課題だ。


「誰か食べ物系のスキルは出せない?」


 そこまで都合よくは行かないらしい。




「死ぬかと思った‥」


 1時間ほどして斥候組のA班が戻って来た。


「モンスターには遭遇するわ、道に迷うわ、散々でしたよ~」

「ステータス画面でマッピングできるようになって、やっと戻れました」


 おおゲームっぽい。


「食べられそうな物あった?」


 私の質問に勇者の坂本君は目をそらしている。


「え‥モンスターは倒したんですけど、その‥」

「死体が気持ち悪くて‥」


 賢者の和田さんと剣士の日暮君がぼそぼそ教えてくれた。


(そりゃ一介の高校生が死骸さばいて肉にするとか無理じゃん)


 倒して即素材に変換はしてくれない世界らしい。


「じゃあ、新しいスキルがあったら教えて」


 私はみんなの情報をノートに書きとる。

 文房具は暁君の部屋から持ってきてもらった。


 みんながそろったら食事だ。

 食べるのは固いパンと水だけ。

 渡されたパンはボソボソしていてひたすらマズかった。

 大した量を食べていないのにあごが疲れる。


(トイレがあるのは助かるけれど、寝る場所がないのもキツイね)


 みんな体育すわりをして数人ずつ固まって寝た。

 暁君だけは自室のベッドだ。うらやましい。



 見つけてくれた20人ほどの読者様、ありがとうございます。

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