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外れスキルなどない! オタク担任は洗脳してでも生徒全員生還を目指す  作者: ノーネアユミ


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2 深淵に落とされたようです

「なんでオレが」

「せめて水と食料は下さい!」

「悪いけれど、あなたたちはいらないのよね。ゴミにあげる物は何もないの」


 女は泣きそうな彼らの体を浮かし、1番はじっこの魔法陣にぶん投げる。



「待ってください。私が面倒を見ますので、一緒にいさせて下さい」


 私は大声を上げた。

 もしここが異世界でも私には生徒を守る責任がある。


「この子らを助けたいのなら、あなたも一緒に行って(かま)わなくてよ」

「人数制限はないんですか?」


 私は()い続ける。この子たちを助けるため、そして自分が生き()びるため、情報が欲しい。


「そうね、他に助けたい方は何名でも深淵(しんえん)に送ってさし上げるわ」



 よし、何人でも行けるんだな。

 私は生徒たちに向かってスキル洗脳を発動させた。


「みんな、あの魔法陣にのりなさい」


 初めてだったけど成功したようだ。1軍の子3人を(のぞ)き、ほとんどが(したが)ったから。

 私も同じ魔法陣に()る。



「は、そんなゴミを助けるため、その他大勢を犠牲(ぎせい)にするとは。何て(おろ)かな。(みちび)く者として失格(しっかく)ですよ」


 自称(じしょう)女神はあざ笑っている。

 本当に分かっていない(やつ)

 私がどれだけ異世界小説・マンガ・アニメを(あさ)ってきたと思う?



「犠牲? このパターンでは外れスキルが一番の当たりなんだよ! みんな一緒に行こうぜ、このルートが実は正解だぁ!」


 私の言葉に残った数人もこちらに向かう。



「おやめなさい! 死ぬ気ですか」


 女は美しい顔をゆがめて(さわ)いだ。



(今の子供は正解って言葉に弱いんだよ、馬鹿(ばか)め)


 ついでに日本人はみんなと外れることを極端(きょくたん)(きら)う。

 たとえどんなに優秀でもまだ高校生なのだ。知らない世界で心細(こころぼそ)い状態だったら、少数派として残されたくはないだろう。


 私は自称女神に向かい合った。


「このままどこにでも送れよ。序盤(じょばん)だけハードモードで後はヌルゲーにしてやるから」


 女は「ちっ」と(した)()ちして手をかざす。


 魔法陣が光った。




 気がつくと()(くら)で何も見えない。息も苦しい。


「先生、ここどこなんですか?」


 周りに生徒たちがいることは声で分かる。


「ステータスオープン」


 とりあえず(とな)えてみた。

 ボワンとした画面に照らされ、みんなの顔が見える。


「やっぱり。これ明かりの代わりになるね」


 MPを確認するが消費する様子はない。


「明かりの魔法を使うより(しょう)エネっぽいよ」


 みんな次々とステータス画面を出し、あたりの様子も分かってくる。



 ここは洞窟(どうくつ)の中のようだ。空気が重い。


「風魔法が使える子、風通し良くできる?」


 自称女神は深淵と言っていた。おそらくここは地下深くのはず。空気もよどんでいるのだろう。

 高橋さんと和田さんが「風よ」「空気」と叫び、呼吸(こきゅう)が楽になる。空調係の確保だ。



「みんなのスキルを確認させて」


 この生きるには(まった)(てき)さないであろう場所で、全員生存を目指すのだ。

 能力の把握(はあく)必須(ひっす)事項(じこう)


 私は1軍に選ばれた子からチェックする。


「坂本君は勇者か」


 サッカー部のエースは魔法剣を使えた。能力のパラメーターも全体的に高い。


「和田さんは賢者ね。お、全属性魔法が使えるんだ」


 学年トップの才女は賢者だった。

 分かりやすい。


 他の1軍も文句なく強キャラだが、2軍の子たちだって使いようは絶対あるはず。



「大久保君は水魔法が使えるね。飲料水ゲットだ」


 水泳部だから水魔法なのか? 安直(あんちょく)だな。まあ人間が生きるのに水は必須。


「間宮さんは補助魔法か。絶対役に立つじゃん」


 みんなそれぞれ良いスキルを持っている。

 1人として冷遇(れいぐう)する気はおきないんだけど。




「さて、次は君たちの番だ」


 私は期待に胸をふくらませながら3軍の子たちに近づいた。

 ラノベとかの定番では外れスキルこそが大当たりである。


 虚弱(きょじゃく)な矢島さんは職業が『()める者』でスキルが『体調(たいちょう)管理(かんり)』だった。


治癒(ちゆ)魔法が使えるんじゃないの?」

「‥分かりません」


「先生、オレのジョブ読めないんです~」


 成績がクラス最下位な後藤君のジョブは『餓鬼(がき)』で、スキルはまだない。


「読み方はガキ。空腹(くうふく)で死にそうな子供って意味だね」

「そっか、オレ、すぐ腹がすくんで」


 なるほど。


 コミュ障ボッチオタクの江崎さんはジョブが『遊び人』だった。スキルは『マンガ』と分かりやすい。


「スキル発動、マンガ」


 1人で試している。単行本が1冊現れた。


退屈(たいくつ)しのぎには最適だね」



 ‥まだロクなスキルがない。



 (あかつき)君はジョブが『持たざる者』でスキルは『ひきこもり』だった。

 自称女神に(あなど)られるわけだ。


 それでも何もないはずがないだろう。



「ちょっと唱えてみてよ」


 頼んだらいやいややってくれる。


「スキル、引きこもり」


 空洞(くうどう)(とびら)(あらわ)れた。


「おお!」


 暁君は(おそ)る恐る扉を開き中を確認する。


「やっぱり‥僕の部屋です」


 つまりスキル『ひきこもり』は(かく)れる場所を提供してくれるのかな?


「私も入れる?」

「えっと‥ダメっぽいです。ステータス画面に1人用って書いてあるんで」



「お前以外に使えねーじゃん」


 周りは落胆(らくたん)しているが、確実にこの3人こそ私たちが生存できるかどうかを分けるのだ。


渡里(わたり)先生はなんのスキルですか?」


 九十九(つくも)さんにたずねられて、私はドヤ顔で答える。


洗脳(せんのう)

「うわ、それっぽい」


 そこで騒いだ鈴木君、聞こえているからね。



 暁君の出す扉は某どこでも行けるドアみたいな感じで現れます。

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