39 ランクは‥
「このカードがあればここ魔晶石の町に滞在することができる。滞在期間はランクによって変動し、現在あんたたちのテイランクでは来月の月末までしかいられない」
事務員さんが説明してくれるけど、ランクの呼び方がいまいちわからない。
「それ以上滞在したい場合はどうすれば?」
「ギルドで発注する仕事をこなせばいい。多くこなせばランクも上がる。ちなみに罪を犯すと確実に記録されてランクが下がる」
なるほど、身分が剥奪されて町から追い出される場合もあるから気をつけなくては。
「ランクはコー・オツ・ヘイ・テイの4つだな」
ランクはまさかの甲乙丙丁だった。
「カードを紛失した場合、問題をおこしていなければ再発行となるがランクは下がるぞ。カードのこの部分は日光を当てると光る。期限を過ぎても更新しない場合、反応が消える」
「甲ランク以上はあったりします?」
係員さんはニヤリと笑った。
「甲ランクに課される依頼を一定量こなすと、この町の市民権が無料で与えられるんだ。頑張れ」
つまり冒険者ギルドは余所者を選別して、役に立つ人材だけを市民として受け入れるための組織のようだ。
「ここで暮らすため家を買いたいのですが、どこに行けばよいでしょうか」
「丁ランクじゃ無理だな。金があるなら‥」
色々説明を聞いて、今夜はロヴェンテさんが紹介してくれた宿に泊まることにする。
「12人? そんな1度に泊められないよ」
宿のおかみさんには嫌がられたけど、2人部屋を3部屋借りた。1部屋でも十分なのだが、スキルを広めたくない。
「つめこんで寝られるのは迷惑なんだけど」
「人数分の料金は払うので」
「それならまあかまわないけど、食事は用意できないよ」
「はい、それで構いません」
せまい部屋の壁際に扉を出して、江崎さんの満喫にみんな入店する。
1部屋に大人数が入るのは目立ちすぎるから、他の部屋には私がホテルの扉を出した。
まだ外は日が沈み切っていないが、みんな疲れていた。
夕飯を食べたらすぐ個室に引きこもる。
朝。今日はこの町に拠点を作って、残った生徒を呼びたい。
昨夜通話した時は問題もなかったし、ゆっくり決めても大丈夫だろう。
「私は役所に行くけど、1人じゃ怖いから誰かついてきて」
「はい、オレ」
「あたしも行きまーす」
宿を出ようとすると、扉を開けてすぐの場所でにロヴェンテさんが待っていた。
「お、お早う。偶然だな。今日はどうするんだ」
「役所に行きます。家を借りられたらいいなって」
「女子供だけじゃ危ないだろ、俺も同行する」
それは心強いが、彼にガイドを頼むのも申し訳ない。
「私たち強いですよ」
「無用な争いはないほうがいいだろ?」
口ぶりは不愛想だが、彼が心配してくれるのは伝わってくる。
「それはそうです、ではお願いしますね」
素直に頼むことにした。初めての外国は怖いので、探索時みたいに固まって行動する。
キョロキョロ周りを観察しながら町を歩いた。
「‥好奇心旺盛なのは分かるが、土地勘がないことが丸分かりだぞ‥」
手練れの冒険者にあきれられてしまう。
(確かに、これじゃお上りさんだね)
向かう役所は、昨日の冒険者ギルドと同じ建物。
そこの2階で私は家を借りる相談をした。
「人数も多いので、宿ではなく家を借りたいのですが、どういった手続きが必要ですか?」
「ではまず身分証を。あ、冒険者? しかもまだ丁ランクですか。その場合街での長期契約は無理ですね。冒険者ギルドで依頼を受けて、乙ランクまであげて下さい」
「えっと、街壁の外を希望する場合は?」
「それなら家主との交渉しだいになります」
役人は私が丁ランクの身分証を見せたとたんに面倒くさそうな顔になった。
(大した情報がもらえないな)
部屋を出て階段を上る。
「上の人は親切だったのに」
「冒険者相手に優しい方が珍しいさ。冒険者ギルドの職員くらいだぞ、俺たちに慣れているのは」
そんなものなのだろうか。
丁ランクの滞在期限は1か月のみですが、初回だけ期限が翌月の月末になります。




