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外れスキルなどない! オタク担任は洗脳してでも生徒全員生還を目指す  作者: ノーネアユミ
2章 地上の世界

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35 村の夜

 私たちは石を集めてかまどをつくり、たき火でスープを温める。


「いい匂いだ。問題はなさそうだね」


 村のおかみさんが夕食を持って来てくれた。

 ミルクとパンとチーズに、肉入りパイまで。


「丸いパンだ」


 もらったパンは、最初に渡されたカチコチでマズいパンとは形が違った。


「お、それなりにいける」


 ナイフで1切れ切り口に入れると、ちゃんと小麦の風味があるじゃん。

 固いは固いけど、歯ごたえがあると思えば良い。


 久しぶりにあごが筋肉痛になりそうだが、おいしく食べてなるなら文句はない。



「こっちの世界のパンもおいしいのがあるんですね」


「もちろんだ。ワタリが出していたのは日持ちがいいだけの旅人用のパンだからな」


 ロヴェンテさんが教えてくれて、やっと納得した。



 肉入りパイは子どもたちにも好評で、あっという間に消える。

 しかしチーズの風味は独特すぎたようで、生徒陣はほとんど口にしない。


(これはそのまま食べるより、あぶった方がおいしいかな)


 ナイフでけずってパンにかけ、直火であぶってみた。

 トロけてきたのにかぶりついたら、顔がにやけちゃう。


「うっま。みんな食べてみなって」



 異世界で初めに渡された食料のまずさを思い出せば、ここの食事は上等の部類。

 ミルクはおいしかった。

 拠点からティーバッグを持って来ていたから、お茶を入れてミルクティーにしてみる。



(落ち着く‥)




 翌日は、朝日と共に目が覚めた。


「うわ、日光まぶしい!」


 しばらく太陽に起こされるなんてなかったから、日の出に感動しちゃったよ。



「魔法の事故にあったんだって?」


 私は今、農家のおかみさんの紹介で村の村長と向かい合っている。

 深いしわが刻まれている男だが表情と体はしっかりしていた。


「はい、ものすごく遠くから飛ばされてしまったので、慣れるためここでしばらく過ごしたいんです」


 村長さんは私たちに物件を貸すことを渋っている。


「うーん、あんたたち人数多いんだよな。今は他に客もいるし貸し切りはできない」


 人に貸せる空き家は他の冒険者も宿として使っているようだ。

 確かに朝食を食べていたら、武装した男たちが数人で山へ登っているのを見かけた。


「それでも本当に借りたいんなら、貸せるのは本当にボロ屋だぞ」



 とりあえず家を見て決めることにする。どうしても泊まれそうになかったら、テント生活だってかまわないのだ。




 最初に案内されたのは納屋だった。

 本当にボロ。壁は三方にしかないし、屋根も所々壊れている。


「う~ん、直せば使えるけど」



 次に見せてもらった家は納屋より狭いが、人が住んだ形跡がある。

 かまどもあるし煙突もある。


「二階だってあるぞ。床さえ張ればな」


 問題は、天井板が腐って空まで丸見えなことだった。屋根の骨組みは焦げている。


「藁ぶきだったからな。火事で燃えちまった。家主がいなくなって替えるやつもいねえ。ここは人気がねえから、近所のモンも気にしなかったのさ」


 確かに集落からは離れている。畑があったであろう場所には草が生えまくっていた。


「木が多いから燃料には困らないだろうな」


 急斜面が近いので、雑木が生い茂っている。


「こんな辺鄙な場所しか空いてねえのよ」




 それ以降案内された場所もほとんど家の役目をはたしていない。


 基礎の石組みだけはしっかりしているが壁が壊されていたり、屋根はあっても斜めに傾いていて押すとグラグラするのとかばっかりだ。


「使わなくなった家なんて、ただの資材置き場だ。必要な時適当にはぎ取るためのな」

「そうなんですか。はあ~じゃあ2件目の家にします。雨が降ったらテント張ればいいし」


 銀貨2枚で5日分を借りた。




 とにもかくにも、無事壁に囲まれた場所でホテルの扉を出す。


「ここでしばらく落ち着こう」


 生徒たちはホテルや大浴場へ入って行く。


 私は和田さんと坂本君に声をかけ、しばらく席を外すことを伝えた。



 必要な仕事があるのだ。



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