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外れスキルなどない! オタク担任は洗脳してでも生徒全員生還を目指す  作者: ノーネアユミ


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27/33

27 特訓 2


(いや)に決まってるじゃないですかぁ!」


 本人は嫌がりまくっているが、江崎さんの走力を強化する計画が開始だ。


「いやいや、浮かせた後はすぐ逃げられるし」

「つまり走らなきゃいけないじゃないですか!」


 私はにっこりと彼女に洗脳をかける。


「走る練習、しようね」


 彼女だけにつらい思いをさせられない。私も一緒に走った。

 (あかつき)君も()きぞえに。


「僕はいらなくないですか?」

「君は絶対必要でしょう」


 泣きそうな彼にも心を鬼にして特訓させる。

 もし地竜に(おそ)われた場合、彼さえいてくれれば籠城(ろうじょう)が可能になるのだから。


 まずは平らなでまっすぐな道で練習し、その後は洞窟内(どうくつない)のごつごつした岩肌(いわはだ)をできるだけハイペースで走るのだ。全力疾走(しっそう)なんて、いつぶりだろう。



「も、もう無理。さすがに(つら)すぎ」


 踏みつけた虫に足を取られて転んだり、筋肉痛で死にそうになったり。


「先生、アミノ酸飲料です」

「回復魔法は終わりました。また走れますよ!」


 魔法のおかげでケガをしても休めるのはその日だけ。



「タ、タイムどう?」

「少しマシになりましたよ」


 江崎さんも暁君も私も、400メートルくらいなら安定した速さで走れるようになる。


「次は安定して長距離を走る練習か」


 竜を相手に逃げるのだ。どこまで走れば大丈夫なのかはさっぱり分からない。




「とりあえず、1kmから1.5kmは必要かな」


 運動部と話し合って結論づける。あんまり根拠(こんきょ)はないが、とりあえずの目標として数値があると落ち着くのだよね。


「高校生女子の平均は1kmで5分くらいか」


 ネットで調べるが、それは(へい)たんな道を走った場合。


「危険だけど、リスクを()らそう」



 私は生徒数名を連れ、転送陣をくぐる。

 地竜に襲われる危険性はあるから、危険察知(さっち)用に探索持ちの鈴木君は一緒だ。


「ここの地面をならして欲しいんだ。逃げやすいようにね」


 (はば)は1mとせまくていい。

 全力ダッシュができさえすれば。


 土魔法の園村さんと全属性魔法持ちの和田さんがメインで、転送陣から前後100メートルずつ道を造成してもらう。

 私は戦闘メンバーと一緒に、(おそ)って来る魔物の撃退(げきたい)と、ルートチェック。


「竜は動いていません。でも大型の獣が近づいています」

 

 鈴木君はマップを常に気にしながら、通常敵の対処も行っていた。




「これで、逃げやすくはなったね。次は、」


 間宮さんに頼んで転送陣の出口位置を変えてもらう。


「500mほど後退(こうたい)して、そのあたりまで舗装(ほそう)するんだ」


 本当は拠点まで全部平らにしたいが、土魔法ができるのは2人だけ。

 敵が強すぎるから人員をさくこともできない。人力での舗装はあきらめた。


 とにかく逃げるために最低必要な1kmを整備しなければ。





「はい、じゃあ200メートル走を5本ね」


 全力で走れる距離を増やすため、私は生徒を走らせる。

 運動部じゃない勢もそれなりに走れるようになってきた。


 成績最下位にいるのが江崎さんと、私。


「先生―頑張れー」


 運動神経バッチリ組がのんきに私をからかってくる。


「うるさい、ハアハアハア」


 食事もタンパク質多めを心がけた。

 具体的にはスキルで出したお弁当の肉をおかずに、狩りで獲ってきた肉を食べること。


「ご飯を、米の飯を、もっと」

「ダメです」


 私が出したお弁当なのに、すぐ取り上げられご飯が半分に減らされるのだ。


「こっちはオレたちスタッフがおいしくいただくんで、気にしないで下さいっす」


 くそ、後藤君め。地竜と対峙(たいじ)しなくてすむから他人事だな。

 いつか復讐(ふくしゅう)してやる。宿題を多めに出すとか。




 しかしまあ我慢(がまん)生活のおかげだろう、私の大腿筋(だいたいきん)とハムストリング筋はパンパンになった。


 なんとかギリギリ、1kmを5分ちょいで走れるようになる。

 30手前の体にしては頑張ったと思うぞ。自分で自分をほめてあげよう‥ご褒美(ほうび)は甘い物で‥


 お(なか)周りの余分なお肉が、そこまで()らないのは()せんがな。


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