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外れスキルなどない! オタク担任は洗脳してでも生徒全員生還を目指す  作者: ノーネアユミ


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26/33

26 特訓 1

「あーー、死ぬかと思った」

「生きてる、良かった~」

「は、全員いる? 出席番号1番」

「はい」


 

 拠点(きょてん)に無事(もど)った私は、大急(おおいそ)ぎで点呼(てんこ)を取る。


「あははは、全員無事だね。良かった良かった」


 ドリンクバーでお茶を飲み、ちょっとだけ落ち着く。そして何が起こったかを待機組に話した。


「そんな無理ゲーだったなんて」

「ずっと‥ここにいます? 生きていくだけなら問題ないんで」



 しかし地上にはどうしても行きたい。かっかした頭で考える。


「鈴木君、あの空間の出口は分かる?」

「えっと、マップを出しますね」


 探索(たんさく)スキルを持つ鈴木君のマップなら、あの空間からの脱出法も分かるかもしれない。


「あ、あった。これだと、今日行った場所から400mくらいで‥上層への坂はそこから200mくらいで色が変わります」


 私が作ったマップで高低差を色分けしていたら、鈴木君のステータス画面もそれに合わせた表示になったらしい。


 彼のマップを消えない内に写し取る。



「それ以上、上に行けば大丈夫なのかな? それとももっと上に行く必要があったり?」


 大体、みんな(かわ)の防具を身に着けているのだ。10分弱で走りきれるのだろうか?


「竜の鼓動(こどう)が100か‥俺だけなら、走りぬけるのも可能だが」


 ロヴェンテさんはつぶやいているが、転送陣を設置できないことには1人だけ通り抜けられても解決しない。



 いくら私たちのレベルがカンストしていても、身体能力はそこまで人間離れしていないのだ。


(レベルが上がったら100mを5秒とか夢見ていたけど、無理なんだよね)



 だったら足の速いメンバーを先行させ、転送陣だけ作ってもらえば良いかな?


 私は間宮さんと目が合った。

 バッとそらされたところを見るに、走りは得意じゃないのだろう。時間内で間に合うかは分からない。



「まあ、どうするかはしばらく考えることにする」


 興奮(こうふん)状態で考えていても、ろくな思考はできないだろう。とりあえず寝ることにした。




 しかし次の日になっても、画期的(かっきてき)なアイデアなど浮かばぬがな。

 ま、どうせ時間はある。作戦を立てるのはノンビリで良い。


素早(すばや)く移動できるようにした方がいいのは分かっているんだけど)

 

 自分の足だって遅いのだ。人のことをとやかくは言えない。


「特訓、するしかないんだよねえ‥」



 それからは訓練の時間を半分、短距離走(たんきょりそう)の特訓にあてる。


 土魔法が使える勢を動員し、まあまあ平らにまっすぐならした道を200mほど作ってもらった。

 ストップウォッチは陸上部の合宿所にあったやつ。全員のタイムを計った。


 レベルが上がったおかげか、運動部はほとんどインターハイで活躍(かつやく)できる速さ。

 間宮さんの走る速さは‥高校生女子の平均(へいきん)だろう。


「転送陣のスキル覚えた子がいたら申告してね」


 そう言っても、都合よく運動神経の良い子に転送スキルなんて現れない。



「素早さを上げる補助魔法ならありますよ」

「浮遊魔法で浮かせて、風で送れば‥」


 色々案は出る。


 素早さを強化すると、間宮さんでも200mを40秒で走れることが分かった。


(よろい)がなければもっと早く行けそうです」

 

 ジャージだけにしたら34秒のタイムが出せた。

 その状態で浮遊魔法をかけてもらい、走らせたら20秒を切る。

 絵面(えづら)は月面を走る感じ。


 走る距離を400mに増やしても、1分を切った。


「すごい、これなら時間内に走り切れるよ!」



 問題があるとすれば‥浮遊魔法だ。和田さんも高橋さんもロヴェンテさんも、自分にかけるだけで精一杯(せいいっぱい)らしい。


「強風で飛ばすならできそうですけど、危険だし」


 風魔法使いの高橋さんはうつむいている。


「まあ、浮かせるだけならできる子いるし、何とかなるよ」




 その、他人に浮遊魔法をかけられる才能ある術師は‥江崎さんだった。

 

「ふ、あたしがクラスで浮いているから浮遊魔法が得意なんだろうって? ウケる―。クソが‥」


 ブツブツつぶやく彼女の(かた)を、私は両手でガっとつかんだ。


「一緒にボス部屋まで行こうね!」



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