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外れスキルなどない! オタク担任は洗脳してでも生徒全員生還を目指す  作者: ノーネアユミ


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25/33

25 地竜

「ここを(のぼ)ればボス部屋だろう」


 強敵を(たお)し、帰還(きかん)のために転送陣を設置する。それをくり返すこと十数度。

 

「俺もこれ以上の敵には遭遇(そうぐう)したことがない」


 つまり、ロヴェンテさんが落ちたゾーンと私たちの到達(とうたつ)した間が、最強になる予定。



「そう言えばボスってどんな形態(けいたい)でしょう」

「言い伝えによると、羽がない竜らしい」

「ってことは地竜ですね。今の私たちに勝てるかどうか‥」


 不安はあるが、相手と対峙(たいじ)してみてみなくては分からない。

 この世界に攻略本などないのだ。



 私たちは上げられるだけのレベルを上げ、武器や装備を最上(さいじょう)のものにする。

 職人の野上君と仕立て屋の佐藤さんだけじゃなく、全員で。

 (かわ)の防具はけっこう本格的なのができ上った。


「いつ地竜と遭遇するか分からないから、気を引きしめて行こう」


 武器は手作り感満載(まんさい)でショボいが、私たちは強い。

 集団でかかればなんとか、と思ってはいた。




「先生、向こうがすっごい広いです」


 鈴木君の探索スキルで、未踏破(みとうは)の地がある程度(ていど)分かる。転送陣の出口を設置した場所から、200mほど行った場所だ。


「いよいよボス戦か」





 しかし鎮座(ちんざ)する敵を見て、勝利への希望はすぐに()(くだ)かれた。




(だめだ、勝てない)



 私は無力感に(おそ)われる。


 そこはドーム球場くらい広い空間。つまりそんな場所を住処(すみか)にしている生物が巨体でないわけがない。



 竜は細長い姿で、(へび)やトカゲに似ていた。まっ黒い(うろこ)のすき間から赤いマグマみたいなのが(かがや)いている。


 胴体は巨大で、直径だけで3メートル以上あった。全長は50メートルを()えるんじゃないか?




 こんなのとどう戦えばいいんだ!


 竜がこちらを向く。首を動かすだけで音がきしむ。



『ヒトか』



 竜は口を開いた。



「さすが竜。話せるんだ」


 男子の誰かがつぶやくと。竜は軽く(ほのお)をはく。

 (はな)れていても熱い。



『我のなわばりに侵入した下等生物が、何をほざく』



 竜からはイメージの奔流(ほんりゅう)が押し寄せてくる。テレパシーか?


 ともかく私はそれで悟った。

 今まで探索して来た洞窟(どうくつ)の迷宮は、この竜が()った穴であることに。




「俺たちは女神に落とされただけだ」


 坂本君が叫んだ。さすが勇者、勇気あるな。いや蛮勇(ばんゆう)か?



最奥(さいおう)で大人しくしていれば見すごしてやったが、ここまでくるのなら逃がしはしない』



 竜はにぶい音を立てながら、ゆっくり体を持ち上げる。

 本気で炎とかはいたら、絶対ここまで届く。こわいこわいこわい。




「足を踏み入れてしまい、申しわけございません」


 私は決意した、人語が通じるなら、徹底的(てっていてき)下手(したて)に出てしまえ!


「こちらの通過を許可していただければ、満足(まんぞく)いくまでごちそうを用意いたします」


 私は手から名物駅弁をポンポン出しながら頭を下げた。レッツ土下座(どげざ)

 あの巨体では満足しないかもしれないが、打てる手は打たないと。




『そんなもの、我は食わぬ』


 ぐふ、速効(そっこう)(ことわ)られてしまった。



『しかしそちらが何でもするというのなら、魔力を()こせ。それこそが我の(にえ)じゃ』



 良かった。代替案(だいたいあん)を出してもらえた。


「魔力ですね分かりました。‥ってどうやればいいですか?」」


 魔力をそそぐのは(かま)わないが、竜の近くには行きたくない。

 ちょこっと体を(ふる)わせるだけでつぶされそうだ。



『大地に手を当て、魔力をそそげば良い』



 あ、良かった。


 私は土下座態勢のまま、ステータス画面に流す時と同じように魔力を流す。



『うまい、だがたりぬな』



「み、みんなも、ほら」


 その場にいる全員で魔力を注入(ちゅうにゅう)する。




『これくらいか』



 やっと地竜が満足したようだ。

 私の魔力はほぼ(から)

 どうにかこのエリアから立ち去りたい。



『我の鼓動(こどう)が‥そうだな、100打つ間は見逃(みのが)してやろう』



「みじか!」


 それじゃ転送陣にたどり着く前に殺されちゃうじゃん。



『ふふ、我の鼓動はお前たちより遅い。そうだな、5倍くらいか』



 それでも10分弱じゃん!



『逃げ帰るくらいはあるだろう』



 たしかに。

 急ぎUターンして下層に向かえば、転送陣まで十分(じゅうぶん)もった。


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