22 転送陣と新しい扉
21話をちょこっと手直ししました。
「あいつ、先生の洗脳がかからなかったな」
「ああ、精神攻撃に耐性があった」
「動きを止めるのが難しいんだったら、もっと単純な命令で威力を増せば効くかしら」
作戦を練り直し、扉を開く。
「こっちに注目!」
敵には私へ視線を集めさせ、他の生徒たちが攻撃に飛び出した。
「オレ、いっきまーす!」
攻めては退き、をくり返せば、誰一人かけることなくギリギリ勝利。
「やっぱり強いね」
強敵は撃破できたが、私たちもクタクタだ。
「あんなのがたくさん出てきたらマズイですよ」
「あー魔王城の手前って感じだ」
「地表に戻れる転移陣ってないの?」
拠点に戻っても悶々としていたら、スキル『Wi-Fi』を発動させた間宮さんが手を上げた。
「そう言えば私のスキルに転送陣って書いてあるんすけど‥」
はあ? と目を丸くする。
「なんに使えるか知らなかったからぁ、聞こうと思っていたところで‥あれ、どしたの、みんな?」
そう言えば間宮さんのジョブは『つなぎ手』だった。
早く報告して欲しかったけど、ゲームやラノベに不慣れな子はしょうがない。
『つなぎ手』の彼女が使えるなら、『伝道者』の加藤君や『導く者』である私にも使えるかもしれなかった。
「移動に時間と体力を取られなければ、もっと上まで行けそうだな」
ロヴェンテさんも喜んでいる。
そして私はいよいよ新スキルの披露だ。
「出でよ、大浴場」
現れたのは特徴的な暖簾がかかった入り口が2つ。
「ま、まじっすか」
そう、急激なレベルアップにより、私は温泉宿の大浴場の入り口が出せるようになったのだ。
「お風呂に入りたい放題じゃん!」
シャワーは漫喫でも可能だが、湯船に入りたい子はいつもいる。
暁家にもバスタブはあるが、使用できるのが1人ずつだったから湯につかれるのは週に1度くらいだった。
暁君が遠征時はシャワーオンリーだったし。
しかしこれなら男女しっかり分けられる。リラックスし放題よ。
「すごい‥」
ロヴェンテさんも口を開けていた。
生徒が交代で風呂に入っている間、私はこれまでの地図の整理をする。絵描きの半藤さんが画材ならいくらでも出せるようになったので、大きめのスケッチブックを出してもらっていた。
(ゲームと違って高低差もあるんだよね)
明らかに階層が違うのなら次のページに変えるが、多少の起伏は色分けで表す。
クレヨンで色を塗っているだけでずいぶん時間が経過した。
女子全員が風呂を終えたので、私も入る。
湯船のお湯は浄化魔法を持った九十九さんや消毒スキルを手に入れた矢島さんがきれいにしてくれるおかげで、最後に入ってもそこまで汚れていない。(*男風呂は知らない)
「ロヴェンテさん、男風呂に誰もいないかの確認、お願いできますか?」
「‥はい」
全員の入浴が終わったことを確認して、スキルを解除。ビジネスホテルの扉を出す。
ロヴェンテさんはそそくさとテントに入っていた。
彼は魔法で出した扉に入ることはあっても、そこで寝るのは落ち着かないのだそうだ。
冒険者鈴木君の出したテントと寝袋で十分らしい。
髪をふき寝間着に着がえる。ビジネスホテルにたいてい用意されている着心地が良いやつ。拠点にいる間は全員に用意してある。
「あたしたちもいいですか?」
江崎さんと中村さんが声をかけて来た。最近この2人は仲がいい。
江崎さんの出す満喫は、ステータス画面に魔力をそそげば、出した本人が離れても持つ。
私が出すホテルに時々やってきて眠ることがあった。
(江崎さんも時々はベッドで寝たいんだよね)
気持ちは分かるから気軽に扉を増やす。
他の女子や男子も来たから、マックス5枚出すことに。
ホテルのベッドにダイブし、目覚ましを8時間後にセットして私は眠りについた。




