20 集団戦じゃあ
今まで上層の敵と相対する時は精鋭の勇者坂本・賢者和田・剣士日暮・僧侶西川を中心に暁君や他の戦士・魔法使いを加えた6~8名のチームで向かわせていた。
しかしその習慣を崩す。
きっかけはロヴェンテさんの訓練だった。
「戦士たるもの、日々の訓練を怠ってはならぬ!」
彼からしたら私たちはダラダラしすぎのようだ。
「数人ずつ、列を組め。全員素振りを20回、数えたら最前列は後方に回り、後ろの列が前に出てまた20回素振りだ」
これは集団戦の練習だ。たぶん。
戦士系はみんな前衛が務まるようになるかもしれない。
魔法使い系もみんな接近戦の訓練をさせられた。
「先生、もう無理ですって」
「そうだね、じゃあここまで」
私もヘロヘロになったから、訓練は2時間くらいで終わらせた。
「な、短すぎるぞワタリ」
ロヴェンテさんは異議を立てるけど、この集団のトップは私。
「訓練は1日2時間で十分です。余力がある子は自主練で」
家事に畑仕事もあるから、それくらいが限界なんだよ。
ま、全体の戦力をアップさせてくれたのには感謝しているけど。
おかげでクラスの半分を前線に出せた。
以前に比べたら倍の人数だ。
私は後方で、補佐役の子たちと一緒に魔法をかけたり戦況を観察する。
『グギャアアア』
2mはある巨大イタチの群れに遭遇した時は肝が冷えた。
それが10匹くらいいる。
「強敵だ、1匹に対して必ず複数で戦え」
ロヴェンテさんの指示の元、前衛組が切りかかる。
「動きを止めなさい!」
私も洗脳スキルを乱発した。
「第1陣は下がって2陣と交代」
敵がひるんだスキをねらって前衛を交代させる。
ケガをした生徒は治療に回すが劣勢は挽回できていない。
「和田さんと高橋さん、前出られる?」
魔法組2人に私の考えを話し、敵が固まっている場所をねらわせた。
「炎よ、矢となって敵を焼きつくせ」
「風の渦よ竜巻を作れ」
2人が魔法を合わせたことにより、爆発的な炎がイタチたちを飲みこむ。
『ギイイイイイ』
形勢逆転だ。
「閃光剣!」
勇者坂本の剣が敵のボスを倒し、戦いは終わった。
「さすが上の敵は強いね。人数増やしておいて良かった」
私は以前からRPGで遊ぶ時、戦える人数に制限があるのが不満だった。
敵を倒してレベルを上げられるのであれば、勇者たちは軍団を形成すれば良いだろう。
以前からの不満が解消されて、ちょっとスッキリだ。
戦いの後は暁君の自宅に全員を収容して、休息と反省会。
引きこもりスキルは今やクラス全員での入室がギリ可能だ。静かに過ごすことが条件だけど。
「魔物が群れていた時は、逃げることも必要だぞ」
ロヴェンテさんの言葉にうなずく。
「そう言えば逃走スキル持っている子いたっけ?」
「ありますけど、レベル低いですよ」
足が早そうな子たちが手を上げるが、戦闘スキルに比べてレベルが上がっていなかった。
「これからはそっちものばさないとね」
絶対防御があるからって油断していたかも。
それからはまあまあの敵から逃げる練習をしたり、集団戦の戦法をネットで調べたりした。
集団で向かえば強敵にも通用するのは確かなので、少しずつ上階への探索も続けながら。
ま、今までとは怖さが段違いだから、探索は数日おきと消極的になったのはしょうがないよね。
イタチは群れません。現在、某ネズミとイタチが戦うアニメの再放送を見ていますので、出したくなっただけです。




