19 ダンジョンの構成
新メンバーのロヴェンテさんが加入したことで、私は情報収集にいそしむ。
この世界には冒険者ギルドがあり、私たちがいるのは古代世界のダンジョンらしい。
(冒険者ギルドなんて現実に存在できるのか?)
ゲームでは良くある冒険者ギルドだが、中世のヨーロッパには実在しない。
そもそも冒険者って職業じゃないし。
疑問はわくが、今必要な情報はこの地底洞窟の構造だ。
上から下りてきた人がいるのなら、私たちが地上に登れる日ももうすぐ来るはずだから。
「俺たちは、不用意に最奥へ降りてしまったんだ」
浮遊魔法を使って階層を貫く縦穴を降りたが、敵が強すぎて逃げるしかできなかったとか。
「本来なら縦穴の周囲に張りめぐされた通路のモンスターを倒しながら進むべきなのだが、つい出来心でな。レベルがたりなさすぎると気がついた時はもう遅くて」
修練不足で強キャラゾーンに足を踏み入れてしまったようだ。
「ところで、俺は敵から逃げている時、さらに崖を降りたはずだ」
今度はロヴェンテさんが私に質問する。
「ダンジョンは奥にもぐるほど強敵が現れると聞いていたが、ここの敵は君たちが倒したのか?」
「え、そうなんですか?」
私たちの経験だと、上層の方が敵は強大だ。
「もしかしたら‥ロヴェンテさんが落ちて来た場所の敵が最強なんじゃ」
大きな生き物は食料もそれだけ必要とする。私たちが初めに落とされた洞窟の奥深くは空気も薄かったし生き物も少なかった。
(深海の生態系と似ている状態なんだ)
海にはサメやクジラなど巨大な生物がいるが、光が届かない深海には大型の生物が少ないらしい。
「つまり、地上に出るまでとんでもない距離があるんですね」
ちんたら地図を作っているのが馬鹿らしくなる。
(最強レベルが倒せるようになったら、一気に地上を目指すか)
まあ、倒せるようになったら、の話だけど。
「う、うまい、なんだこの料理は」
ロヴェンテさんは私が出した幕の内弁当に感動している。
そりゃあんなマズいパンがある世界で幕の内弁当なんて食べたらそうなるでしょう。
「地底にこんな文明があったなんて」
「地底じゃなくて異世界ですよ」
私のお弁当スキルも上がって、東京駅に売っている駅弁が自在に出せるようになっていた。
漫喫の軽食もあるので、料理をするのは1日1回だけ。
サボったってかまわないけど、手作りじゃないと飽きるしね。
料理得意メンバーで持ち回りにしたから、ま、3日に1度作ればいいだけ。
異世界の人からしたら、私たちの食事は全部珍しいのだろう。毎食目を丸くしながら食べている。
「こ、これは王宮の食事か?」
週に1度のビュッフェをごちそうした時は涙まで流していた。
レベルアップにより内容も豪勢になったからね。
ローストビーフや刺身まで出現する。
ケガが治った冒険者には、探索に協力してもらう。
まだ迷いたくはないし、上層の強敵を倒しながら地図作りも進めた。
まあ私自身地図を見ながら迷路を踏破するのが好きなんだよね。
湧き水が染み出す岩や、魔力を回復できる巨大魔石などを発見しつつ、さらなる上層を目指す。
ロヴェンテさんが落ちて来た崖は高すぎてさすがに登れなかったが、もっと登れそうな崖は見つかった。
「あれなら10mくらいか」
三平方の定理を利用して高さを調べる。
手作りの大きな分度器が役に立ったよ。
園村さんの土魔法なら問題なく階段を作れるね。
もちろん、その先は予想通り敵が強くなっている。私は探索班の人数を増やすことにした。
キャラ名ロアルドをロヴェンテに変更しました。
意味は灼熱。
自称滅びの魔女としては酷暑を滅ぼしたいです‥




