15 恒例のあの回と再度の引っ越し
異世界転移・転生のテンプレートと言えば‥
暁家の冷蔵庫に食材がたっぷり現れるようになったので、私は決意した。
「とうとう‥アレを作ります」
「あれ? ‥まさかアレですか!」
「そう。これです」
私が取り出したのはカレールウの箱。
キッチンの戸棚にあったのだよ。
「うわ、やった、手伝います」
キッチンには米の備蓄も登場したので、大量に米をとぎ、たくことも可能に。
野菜と肉を切りまくってお鍋で炒め、煮こんだあとに入れるのはみんな大好きネブラスカ*カレー。
犯罪的な香りに、全員やられた。
「くう、やっぱりこの味だよね」
私もう得意料理はカレーって言おう。うん、それで十分。
「うま、うっま」
「異世界来てまだ最初の洞窟も抜け出せていないのにカレー食べられるって、超贅沢」
「カレーライスって合法でしたっけ?」
だよね。
しかし、カレーには大きな問題があった。
みんな、あっという間に食べ終わってしまうのだ!
「ワタセン、おかわり~」
瞳をウルウルさせて頼まれても、ない物はない。
「これ以上は漫喫のカップラーメンカレー味で我慢して」
「そんな殺生な」
ストレス値が高いのだろう。漫喫の戸棚からスナック菓子が消えた。
「せめてこっちでカレーが頼めればいいのに」
江崎さんもぼやいている。
「レベルを上げれば品数増えるかもよ」
私がアドバイスをしてあげたのに、彼女は嫌そうな顔をしていた。
「それってまたレベル上げに行かなきゃいけないじゃないですか」
「ちょっと怖い思いをするのと、カレー食べ放題をあきらめるのと、どっちが大変だと思っているの!」
「ちょっとじゃないじゃん!」
まあ周りの子たちの目が光り出したから、江崎さんの強制レベル上げはもう決定したも同じだがな!
そして3カ月が経過した。
「先生、さらに上層へ向かえそうな通路が見つかりました!」
探索組の報告で、再度の拠点移動を検討する。
畑と青空を手放すのは惜しいが、全員のレベルがまったく上がらなくなっていたのだ。
レベル上げのため、安全空間から出てもいいかもしれない。
通路は平たんではないから上がったり下がったりする。
私も同行したことがあるゾーンを過ぎ、マップでしか見たことのない通路にすすむ。
新しい通路は、確実に上層に向かっていた。
「この先の敵がでかくて強くて、逃げ帰るだけで精一杯だったんです」
勇者の坂本君情報だから確かだろう。
強敵ゾーンへつながる通路はより上層に向かっている。つまりこの付近はまだ対処できる獣しか出ない。
「よし、今度はこの層に引っ越そう」
私たちは居住可能な空間を探した。
前よりは狭いが、上層階への距離がちょうど良い空洞を2か所も発見する。
「先生、ちょっといいですか?」
どちらにするか迷っていたら半藤さんが手を上げた。
「片方に青空を描いて、もう一方には星空が描きたいです」
「はい採用」
そっか、両方拠点にすればいいんだね。
土魔法の園村さんが空間を平らにならす。
「私たちも壁に絵が描きたいです」
絵の得意な子は半藤さん以外にもいる。
平面になった壁に風景画が増えた。半藤さんが絵具を出せるので、2か所の拠点の間はかわいいイラストで飾られる。
土魔法の園村さんは良く通る通路一帯を舗装してくれた。
それなりに虫や獣は現れるけど、今のみんなには問題ない。
私だってかなり強くなったのだ。
直接の攻撃が弱い子もいるが、彼らは2つの拠点から1人では離れない。
10日もたつ頃には舗装ゾーンには敵が現れなくなった。




