14 ダンジョンでの日常 1
レベルは十分に上がった。洗脳に失敗しても大蜘蛛を倒せるくらいに。
「じゃあ精鋭組、上層に向けて出発!」
私は勇者と賢者と魔法使いと僧侶と戦士と引きこもりと大食いを連れて、墓がある空間から上に登る。
「あんまり先には行かないでね」
マップを確かめ地理感覚を養いながらなので進度は遅い。
初めはそこまで探検しないことに決めてあった。
まずは付近の地理状況を完璧に頭にたたきこまなくては。
30分ほど経過してから、敵が現れた。
(でかい)
今までの敵よりひと回り体が大きい。
2mはあるムカデに、私たちは立ち向かう。
「止まれ!」
まず私が洗脳を発動させ、敵を動けなくする。その後はみんなでフルボッコ。
レベルを上げたことにより、私の洗脳は強固な技になっていた。
攻撃してもまず反撃されない。大ムカデは動かなくなった。
次のネズミは厄介だった。3匹もいるのだ。
「止まりなさい」
ち、1匹逃した。もう一回かけようとするが、動きが早い。
生徒も善戦しているけれど、初めて見る上層の敵だ。強さにどんどん押されてしまった。
「暁君、お願い」
私は彼に頼み、引きこもりの扉を出してもらう。
「さすがに強いな」
「うん、ここがなかったらヤバかったよね」
リビングでくつろぎケガの手当もする。
十分に英気を養ってから外に出ると、いるのは固まったネズミが2匹だけだった。
もう1匹は逃げたみたい。
私たちは2匹の止めをしっかり刺し、経験値と素材を得る。
(まさか解体に慣れる日が来るとは‥)
まあまだ気持ちは悪いけれど、冒険者鈴木を筆頭にクラスの半分は獣の死骸を見ても動じなくなった。
和田さんが魔法で出してくれた水で血を洗い流し、臓物をぬき取る。
死骸がどんどん肉に変わった。
食事には困っていないけど、いつも同じ味では飽きるでしょ。
後藤君まで一緒に連れて来たのは食べられる食材を探すため。可食部であれば、一応は試すことにしていた。
「今日はここまでにしよう」
ネズミの処理をすませて帰途につく。
地図もあるから迷わず下層に戻れた。
上層への空洞は、土魔法でふさいでから拠点へ戻る。強い魔物に来られても困るから。
安全地帯に無事たどり着くとホッとしたよ。
「やっぱり空が見えるって安心するよね」
拠点に決めた地点の天井には半藤さんが描いた空が広がっている。半藤さんは脚立を使い、ミケランジェロがシスティナ礼拝堂で描いたように、天井を空の絵で埋めつくしてくれたのだ。
風魔法の高橋さんがスキル『新鮮な空気』を発動させているからもう外とほぼ区別がつかない。
生活は魔法で出した空間内でほぼすませられるから、付近の洞窟には畑を作ってみた。
小松菜とかビーツとか簡単な野菜のみだけど。
家が農家の園村さんが種や苗や肥料を出せるんだもの。使わない手は無いよね?
(異世界で植物を栽培って、バイオハザードおこさないように注意しなくちゃ)
今のところ異常繁殖する野菜はないから大丈夫だろう。
上層へ向かうための墓がある空間には前線基地を設置した。まあ冒険者鈴木が出したキャンプセットを並べているだけだけど。
広い空間だから天井いっぱいに空を描いてもらった。壁には木の絵も。
見た目はただのキャンプ場だね。
そして拠点との通路を舗装する。土魔法の園村さんはここでも活躍。
平らな道とそれ以外は間違えようがない。これで誰が移動しても迷わないね。
だからまあ‥ダンジョン内でかなり快適に過ごせるようになってしまった。
上層に行かない限り危険もないし、今は少人数での探索部隊をいくつも散開させている。
大食いの後藤君は調理スキルがドンドン上がった。ただ肉を焼いただけの料理も、私が作ったのよりおいしい。
「オレ、元の世界に戻ったら料理人目指します!」
1人の進路が確定したよ。良かった良かった。
上層階の探索が進む。
ボロボロの武器は職人ジョブの野上君がスキルで修復してくれていたのだが、彼のジョブが錬金術師に変わったことから新しい武器・防具も手に入る。
「新しい素材、じゃんじゃん持って来い!」
みんな牙とか爪とか変わった色の石を持ち帰るようになった。
そして野上君に影響されたのか矢島さんのジョブにも薬師が加わる。
薬を出し放題なのだから驚かないが。ただ『病める者 ランクA』が消えなかったのは矢島さんらしい。虚弱なのは変われないのだろう。
かわいそうに。
ジョブは変化するパターンと増えるパターンがある設定です。
ステータス画面ではプレイ時間が分まで表示されます。




