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外れスキルなどない! オタク担任は洗脳してでも生徒全員生還を目指す  作者: ノーネアユミ


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11/33

11 悩み

 地下に()じこめられている、と言うこと以外は生活の基盤(きばん)(ととの)ってきた。

 しかしそうなると新しい問題が生まれる。


「あんたのスキル、なんの役にも立たないじゃない」


 他人のスキルに対し陰口(かげぐち)が増えた。

 閉塞(へいそく)した空間に閉じこめられているのだ。みんなイライラしている。


(これはまずい)


 逃げようのない環境で、30人も人間がいて問題がおこらない方がおかしいのだ。

 私は心を鬼にして、洗脳(せんのう)スキルを発動させる。


「みんな、ストレスなんて忘れて。お(たが)いを思いやって(おだ)やかに(すご)ごして」


 ほとんどの顔からストレスが消えていった。


(このスキルヤバい)


 支配(しはい)階級(かいきゅう)とかが使ったらとんでもないことになりそうだ。

 今はどうしても必要だからかけるけどさ。


「ごめんねみんな、洗脳しちゃって」

「あ、別にいいっすよ。スッキリしましたし」


 それはうらやましい。


「先生、私のストレスも消してください」


 かからなかった数人も、1人ずつかければちゃんとかかる。


「うわ、マジできもちいい。ヤバい薬使ったら、こんな感じなのかな」


 マジか。

 ちなみに自分にはかけられないので、私自身には分からなかった。




 私は全員を3(ぱん)に分ける。探索班(たんさくはん)家事(かじ)班と休養(きゅうよう)班に。

 これならみんな3日に1度は休めるから。


「やっとマンガが読めるよ」


 江崎さんが本棚(ほんだな)から単行本(たんこうぼん)を引き出している。

 彼女のスキルで出しているのに、読む時間が少ないのは(もう)(わけ)なかった。



 探索班に地図作りは任せた。鈴木君がスキル『探索』を使えば、マップ画面が広がって見える範囲(はんい)が広がるし、大型の(けもの)の場所も表示(ひょうじ)される。

 虫や小型の獣は敵にならないからなのか、表示されなかった。



 地形が分かれば動ける範囲も広がる。


 みんな生き生きしているから、洗脳でスッキリ♪は毎日発動しなくても大丈夫かもしれない。


 レベルアップしてMPが増えたから、私は格安弁当を1日10個は出せるようになったし、仕立て屋の佐藤さんはスキルで出した服を工夫して、簡単な防具を作れるようになった。

 彼女のジョブに『防具屋』が加わっている。


 スキルだけじゃなくジョブもレベルアップで増やせるみたい。


「先生、(おれ)のスキルに合宿所(がっしゅくじょ)が出ました!」


 剣道部員の日暮君が大喜(おおよろこ)びで教えてくれてから、運動部員は次々と合宿所のスキルを獲得(かくとく)した。


 衣食住(いしょくじゅう)問題はほぼクリアじゃないか。


 娯楽(ごらく)も読書だけだったが、遊び人の江崎さんがゲーム機にソフトを出せるようになったから休養班は合宿所などでゲーム三昧(ざんまい)だ。


洞窟(どうくつ)から出られない以外はヌルゲーになったよね」


 帰れないし助けは来ないけれど、みんな(だれ)1人()けることなくここにいる。

 ご飯は食べられるしケガも病気も魔法や薬ですぐ(なお)る。


 異世界に送られたとしても上々(じょうじょう)であろう。




 ある日、探索組が崩落(ほうらく)現場を見つけた。

 高さ3階くらいの(がけ)から、モンスターが落ちて来たそうだ。


気絶(きぜつ)してたので楽に仕留(しと)められました」


 冒険者の鈴木君が持ち帰った光る(つの)(つめ)を見せてくれる。

 私も確認(かくにん)しに向かった。今は生徒に余裕(よゆう)があるので、私が1時間くらい(はな)れていても大丈夫だろう。


(のぼ)れそうにないねえ」


 とても(あかつき)家の脚立(きゃたつ)で登れる高さじゃなかった。

 土魔法の園村(そのむら)さんに階段を作ってもらおうとも思ったが、半分も行かない内にMPが消えたようだ。


上層階(じょうそうかい)に行ける方法はないのかな」


 (ねが)いは数日後にかなった。



「上層に向かえそうな場所があったのですが‥」


 いつもハキハキ坂本君が、言葉を(にご)している。


「そこに人間の(ほね)が落ちてたんです。たくさん」


 

 そこには人間が()らしていた形跡(けいせき)があった。

 ならしてある地面、水が()き出る泉、さびた食器。そしてボロボロの布をまとった人骨(じんこつ)が数体。


 ()り土にささる虫食いだらけの(くい)(はか)のようだ。


「多分、ここに落とされた人間はこれ以上先に進めなくて命を落としたんだろうね」



 広い空間の先には穴が上向きに()びている。角度はあるが、手をつけば登れそうだ。



(ここから先に進むかどうか)


 もちろん目的は地上。だけど未踏破(みとうは)の部分が大きい今、危険なルートを選んで良いのだろうか?


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