5-1
アルテナ達は街の外へと続く道を歩いていた
「飛んだ方が早いのに」
トウリがぶつくさ言っている
「まぁまぁ、これもクエストの醍醐味ですから、それに他の冒険者に見つかったら大事になります」
「あ、タルタロスだ」
遠くの方で轟音がし、光沢が光るのが遠目からでもよく分かった、と言ってもアルテナもトウリも普通の目をしていないのでその距離は計り知れない。トウリが居なくなった事は外部に悟られ無いようにタルタロスを常に飛ばし、黒龍の鱗を身代わり人形に貼り付けておく事でうっすらとだがアレースと近いオーラを放っている、それに釣られてヘラクロスはタルタロスを狙ってくる算段だ
「向こうの方に飛んで行きますね」
「もう修理終わったんだね、まあ修理は名目で僕達は街をブラブラする言い訳にしてたんだけどね」
「最後の時ルクト様タルタロスを直してましたね」
「見ていたか」
アルテナはぴょんと跳ね拾った木の枝を道の向こうに指した
「いざゴブリン退治!」
それを見てトウリは手をかざした、するとアルテナの持っていた枝の先に花が咲いた
「うぇえ?」
その反応にトウリは笑った。トウリの頭の端で小さな声が聞こえたが、トウリが気付くことはなかった
【私が居ないのに楽しそうだね】
◇
目的の森に着いたが、ゴブリンの居た痕跡は無かった
「んー足跡すら無いのはおかしいですね」
「これだけ開けた場所にゴブリンが居るとは思えないな、基本木の影とか隠れやすい所を選ぶからね」
「もう一度依頼書を確認しましょう」
アルテナは人獣提携証明ペンダントを出し、画面を依頼書に変えた。依頼地の項目を押すと地図が開き、アルテナ達の居る所が赤く光っていた
「合ってますね」
その時草陰から何かが飛び出しトウリの頭を衝撃が走った、が、トウリはビクともしなかった
「ん?」
トウリは振り向きながらその影の首を掴んだ、盗賊の様だ
「グッうぇ」
盗賊は息が出来ないのか苦しんでいる、アルテナがポシェットからロープを出すと草陰から盗賊がゾロゾロと現れた
「君達人間じゃないな」
トウリがぐるりと盗賊達を見渡しながら言った
「トウリ様!おそらくゴブリン亜種です!人間の姿に化けるタイプです」
「え、なんで分かるの?」
「いえ、耳がそんな形してます」
トウリはそれを聞き握っている盗賊をよく見た、確かにゴブリンの特徴的な耳をしている。胸元にも何かマークが刻印されている
「ヘラクロスのマークが刻まれてる」
トウリの言葉に、アルテナはトウリが握っているゴブリンを見た
「何故ヘラクロスのマークが」
「とりあえず全員捕まえるか」
「はい!」
アルテナがクローを構えると、トウリはクルンと回った。するとアルテナ達の周りの土がえぐられ、落とし穴の様にゴブリン達が落ちて行った、その穴に握っていたゴブリンも放り投げた
「ふぇぇ」
アルテナは恐怖で足がすくんでいる
「ん?捕まえようよ、ロープ持ってたよね」
トウリはなんて事無い様に言うが、アルテナにとっては天変地異の様に突然の事だった。トウリはアルテナからロープを受け取ると、長さが足りないと思いそれをコピーペーストし複製して穴に入っていった。ひとつなぎに縛られたゴブリン達をトウリは宙を飛びながら穴の外へと運んだ
「あの、トウリ様、私も」
足がすくんでいるアルテナは穴の中央の地面でへたりこんでいた
「君の脚力ならこの穴飛べるよね?」
「足が動きません」
「え?」
◇
トウリはアルテナを回収した
「この穴危ないので埋めましょう」
「危ないかな?登れそうだけど」
「人間ならこの中で死にます」
「ん!埋めよう!」
トウリは手を水平に撫でると地面が元に戻った
「どういう原理なんですか一体」
「んー理屈とか化学では証明出来ないよね」
あっけらかんと凄い事を言っているとアルテナは呆れながら聞いていた。そこでゴブリン達に向き合った
「この中で喋れる者はいるか?」
トウリの問いかけにゴブリン達は睨みつけるだけだった
「じゃあ殺します」
アルテナがクローをブンブン回した、それをトウリは止めた
「まだ魔物の殺すの躊躇しますか?」
「いや、コイツら喋れるよ、なんでこんな姿してるのか聞いてからにしよう」
「なんで喋れるか分かるんですか?まだ魔物が喋れるか半信半疑なんですけど」
「僕らが喋ると耳が動くんだ、言葉を理解してる証拠だよ」
それを聞いてゴブリン達は苦い顔をした、そのうちの一体が顔を上げた
「ナニガキキタイ?」
「わ!喋った!」
アルテナは後ずさりした
「何故そんな姿をしている、答えづらいならそのヘラクロスのマークついてでも良い」
「ヘラクロス、イエナイ」
その瞬間ゴブリン達は舌を噛んで血を吐き、その場に倒れてしまった
「自殺?!」
「いや呪いだ、多分ヘラクロスの事について喋ろうとすると集団自殺する様に呪文が掛けられている」




