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「冒険者になるんだ、ランクが付けられるらしい」
トウリはどこかソワソワし、落ち着かない様子だ
「んー冒険者になるとランクアップの試験も必要になってきますし、なによりギルドのある街に着いたらクエストを1つ行わないといけないので、私は旅人のまま、が」
そこまで言ってトウリを見ると、トウリの目の色が無くなり光を失っていた
「冒険者になりましょう!」
「いやしかし今の言い分だと」
「いえ!一度は冒険者も経験しなくては!さあ行きましょ!」
そう言って地図を見ながらギルドを探し、意気揚々とギルドに入って行った、扉の前でトウリは少し悩み、思い切って入って行った
◇
ギルドの受け付けでアルテナは淡々と冒険者申し込みをしていた、トウリは恐る恐るそこに近付いた
「そちらの方がもう1方ですね、え」
受け付け嬢がトウリを見て、少し固まった
「どこかで見た事ある様な」
トウリの中では髪を切って衣服を変え仮面も変えた事に少し自信があった、なにより素顔は誰も知らないの、だが受け付け嬢はなにかを嗅ぎ取っている
「絵本のアレース様で無いですか?」
アルテナが暴露した事にトウリの心臓は飛び出しそうだった
「そうそう!絵本のアレース様にそっくり」
興奮する受け付け嬢にアルテナは笑った
「どう見ても瓜二つですよね!よく言われます、でも別人なのがもどかしいとこですね」
「やっぱり別人かあ、ここだけの話ちょっと憧れてたんですよね」
「え?アレース様に?」
「厨二病なんです私ぃ」
「ちゅう?」
受け付け嬢はササッと冒険者申込用紙を出し、トウリに極丁寧に説明を始めた、トウリはパニックになり返事がうわずっていた
「ではランクを決める試験を受けて頂くので明日闘技場にいらしてください」
そこでアルテナはマズいと思った、何も知らないトウリなら軽い力でもSランクになってしまい、王宮限定のクエストしか回って来なくなる事を懸念した、そうしたらこの街から出られないだろう
「トウリ様トウリ様」
小声でトウリを呼ぶ
「試験でS級になってしまうと街から出られないので、ここで試験は放棄してF級を選択します、いいですね」
「え、試験受けてみたかったな」
残念そうなトウリを押しのけ、アルテナは試験放棄を伝えた
「あらー、最初からF級だと色々大変ですけど大丈夫ですか?」
「はい!よゆ、げふっ何とか出来ます!」
「そんなに自信満々で大丈夫ですかぁ?F級って雑用並な魔物しか出ませんよ?旅人がこなす様なちょっとしたクエストが大量にあるんですから」
「元旅人なので雑用くらい平気です」
「あっそ」
Fランクと聞いてから受け付け嬢の態度は明らかに変わったが、トウリへの対応は相変わらずだった
「あら、お名前のとこ空欄ですが」
トウリの書類を見て不思議がっていた
「あ、名前、どうしよう」
「えーと名無しではダメですか?」
アルテナが聞くと受け付け嬢は更に不機嫌になったが、丁寧にカードを出してくれた
「ここに名前が無いと次の街へ行く時の検問でその街に入れない可能性があります、適当で良いなら死者から名前を頂きますか?」
「死者から?」
「はい、死亡した場合リストから消され存在しなかった事になります、S級とか上級になると通用しませんがF級の人は沢山居るのでいちいち管理してたらパンクするのでそうしてるんですよ」
「パソコンとか不都合が出ないんですか?」
「今の時代のパソコンはそこまで高度じゃないですからね、あと千年くらいしないとそんな事気付かないと思いますよ」
千年は言い過ぎではと思ったが、その案に有難く乗る事にした。リストを見せて貰ったが、500ページ両面にビッシリと名前があった、トウリは最初はまじまじと見ていたが、流石に見切れないと思いパラパラと捲りだした
「あ、これ」
トウリが指差した名前に、トウリはジッと見つめていた。そこにはアデュマ・トウリと書かれていた
「え?たまたま?」
「多分僕と同じ出身だ」
コソコソと話していると、受け付け嬢は書類を勝手に書き出した
「え、なに勝手に書いてるんですか」
アルテナが驚いていると、受け付け嬢は嬉しそうに書類を見せてきた
「アレース様の元の名と同じなんて素敵ですね」
キラキラと光る様な笑顔に、2人は何も言えなくなってしまった
「その、書類、どうする」
「こうします」
アルテナが言いかけている途中で受け付け嬢は機械に書類を投入すると、機械からカードが出てきた、そこにはアルテナの名前とトウリの名前が書かれていた、トウリの名前はアデュマ・トウリでは無く元のままトウリと書かれていた。その事に2人とも頭を抱えた、そこにルクトからの声が聞こえた
【変装した意味無くなったねぇ】
おまけにルクトの大笑いまで聞こえ、2人はカードを見つめながら渋々ギルドを出た、ついでに教えて貰った宿屋のリストを見て、2人ともため息をついた




