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「お師匠?」
アルテナに近付いていくモリスを牽制しようとトウリもスピードを上げるが、それより早くモリスがアルテナをキャッチしてしまった
「アルテナ!傷が残ってしまったのかい!あの時のあの傷が」
その時モリスはあの瞬間を思い出したのか光悦とした顔になった
「お師匠!いえ、なんて呼んだら良いのか分かりませんが」
「俺は君の師匠のままだよ、アルテナ」
「私は、貴方を殺す為に修行して来ました、今!ここで!試させて下さい!」
アルテナの熱意に、モリスは顔を曇らせた。アルテナはクローをモリスの腕に叩き込み、回し蹴りをした、空中なので風に煽られ上手く決まらず、モリスに距離を置かれてしまった、その距離を埋めようと、アルテナはクローから炎の拳を出しモリスの顔を打った。モリスはゆっくりアルテナを見て、見下ろしていた
「俺に攻撃したのか?聖騎士団団長モリス・クレイと知っていてか!その愚かさ思い知らせてやる!」
そこへトウリが到着しアルテナを回収した
「おお、おお、団長さん、もう聖騎士団は辞めたんじゃ無かったのかい?」
トウリのその言葉にモリスは己の発言に驚いていた
「今、アルテナになんて事を」
モリスは自身に怯えていた
「こんな俺が嫌で、アルテナに償おうと思っていたのに、俺は変わっていなかったのか」
モリスの言葉にトウリは毎日見ている夢を思い出した、毎日窓を叩いている夢だ、アルテナは何かを考えている様な顔をしている、知っているジャンヌとモリスを同一に見て良いのかも考えているかもしれない
「今日はここまでにしよう」
モリスはそう言って元来た空路を戻って行った。トウリはアルテナの背中に羽を着けた
「わっ!わっ!」
突然の安定にアルテナは順応出来ずくるくると回った
「ちょっと待っていてくれ、タルタロスが落ちたら元も子も無い」
そう言ってトウリはタルタロスに戻り、タルタロスの周りに張り付いているロボット達を蹴落として行った。煙の出ていたタルタロスの屋根部分にルクトが立っていて、手をかざし煙を止めた
「トウリ!タルタロスは大丈夫だ、気にせず行きなさい」
ルクトの言葉にトウリは頭を抱えだした
「ぐ!ルクトの声が二重に聞こえて気持ち悪い!」
「気持ち悪いとはなんだ!気持ち悪いとは!」
◇
アルテナとトウリは少し離れた位置に降り立った
「お師匠と居た時はタルタロスが恐ろしく見えましたが、今見ると大きなお城の様です」
上空を飛ぶタルタロスを見て、窓から天使達が手を振っているのが見えた、アルテナはそれに答え手を振った
「城か、確かに牢獄にしては大きいな」
離れていくタルタロスにトウリはため息をついた、自身の両腕を見て手枷がついていない事を確認した
「腕が軽いのが不思議だ」
「もう破壊神ではありませんからね」
アルテナもトウリの腕を見た、長年手枷を付けていたせいか傷跡が残っている、それはまるで見えない手枷の様だ。アルテナは後ろ向きに小さく跳ね、しっぽを回した
「では参りましょうぞ!」
「アルテナ」
トウリは真剣な顔をしている
「大昔に魔族が生まれた時、聖騎士団は聖書に基づき魔族を悪として討伐を行ってきた歴史がある、アルテナの家族が襲われたのも何か理由があるのかもしれない、それは本人に聞かなきゃ分からないが、それだけは胸の端にでも留めておいてくれ」
「聖書。それは命を奪う理由になるのですか?」
「さあね、でも僕が生まれた時代では聖書は誰かを助ける為の物だった、何千年も経って今は改悪されているかもしれない、その辺は詳しくないから分からないけどね」
「私には無縁です」
「さ、まずは村か街を探すか」
「調べていたのですがこの近くに街もダンジョンもある様なので、街で宿を取ってからダンジョンでお金稼ぎしましょう」
「ダンジョンか、噂では聞いていたが初めてだな」
「楽しいですよ!魔物を倒してお宝ザクザクです!」
アルテナの言葉にトウリは驚愕した表情でアルテナの事を見ている、そこでトウリが魔物庇護派なのを思い出した
「魔物はなぜダンジョンにいるんだ」
トウリは口に手を当てながら尋ねた
「えーと、そこに住んでるから」
「と、言うことは、人の家に勝手に入って住民を襲って金品を強奪しているのか」
「えーと、魔物も人間から金品を奪っているので、そのー」
「強盗の家なら強盗しても良いと言うことか?」
アルテナは頭をくしゃくしゃの掻きむしり何かを閃いた
「いつか!いつか行きましょ!そのうちに!」
「なにか誤魔化したかい?」
「いえ!街はあっちです!」
アルテナは胸元から人獣提携証明ペンダントを出し、画面を変え地図を出しながら大きな道を選んだ
◇
夕方には街に着く事が出来た
「ではまず宿を探しましょう、ギルドに行けばおすすめの宿屋を教えてくれます」
「ギルドか、やりたかった事があるんだ」
「やりたかったこと?」




