↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

80/143

♰♰♰  生きとったんかいワレ!!  ♰♰♰


黒川が制止させようとした声が金山先生に届くよりも早く金山先生は黒川に向けてチャッカマンの点火スイッチとスプレーのポンプを押した。黒川はかばうようにザコ二等兵の前へと出た。地獄のような熱さを覚悟した。だが、これは熱いというよりも冷たい。ひょっとして死んだ時の体温か??頭から何か冷たい物が当たる。いったい何だ?黒川は上を見上げた。大量の雨が突然振ってきた。


「雨???なぜだ?ここは室内だぞ??」


黒川は金山先生を見た。金山先生は水に打たれて髪も服もびしょ濡れだった。両手に持ったスプレーとチャッカマンも水に打たれて点火せずに消火してしまった。起き上がった堀田が化物でも見たのかのような悍ましい叫び声をあげた。


「ンゲェーッ!!名城っ!生きていたのかっーーー!!!」


名城は理科室にいないはずだ。皆の視線が突如堀田が見ている先へと集まった。黒川達が入ってきた理科室の扉の近くの机の上に名城が立っていた。片手に持った火のついていないライターを天井のスプリンクラーに近づかせ、かったるそうにまぶたを半分閉じてせっかくセットした髪も水浸しになり、まるで海に潜った後で海藻が顔に張り付いているかのようだ。


皆の視線がすっかり名城に釘付けになった。だが、その隙に金山先生は机の上に置いてあったバッドを気付かれないようにそっと手に取ると一番近い黒川へと狂ったような雄叫びをあげながらバッドを上にあげて突進した。黒川は自分がよそ見をしている間に目の前にバットを持った金山先生が自分に突進しに来ている事に気付き、慌てて両手を☓印のように身構えたが、もう間に合わない事を覚悟した。


だが、先にうつ伏せになって床に倒れたのは黒川ではなく金山先生の方だった。金山先生の頭の近くにはトイレのスッポンとバットが床の上落ちていた。皆が金山先生に注意していない中で名城だけは金山先生からずっと目を逸らさずに足元に置いたトイレのスッポンの柄を掴むと金山先生に向けて金山先生に命中させたのだ。


床に倒れた金山先生は尚も立ち上がろうと床に手をついて上半身をあげて顔もあげようとした。だが、目の前に現れたのはスッポンのラバーカップの部分だった。更に顔をあげるとスッポンの柄を掴んだ黒川が目の前に立っていた。


「さぁ、さっさとここから出てもらおうか。」


ついに黒川と金山先生の立場が逆転していた。


「お前ら、教師に対して生意気な態度を取ってただじゃ済まされないぞ!」

「はいはい、ごちゃごちゃとムダな話が長い人の話なんて誰も聴いてないつーの。」

「教育委員会とお前らの親御さんに報告してやるからな!その後でお前らはゾンビになった方がマシに思える程の地獄の授業をさせてやる!!」


気がつけば金山先生は生き残った生徒達に囲まれていた。黒川達が来るまでは大人しく武器を机の上に置いて先生の言う通りに従った生徒達が今や自分に向けて包丁やらだいこんやら武器を自分に向けていた。金山先生はよれよれと老いぼれたように立ち上がると理科室にいる生徒達全員に向けてお別れの言葉を吐いた。


「お前ら、ガキだけで生きていけると思うな!大人でさえこの世界で生きてこられないのだからなっ!」


金山先生は何やら呪いをかけたような文句を生徒達に吐く背を向けて理科室の外へと一目散に走っていった。その途中で椅子にぶつかって体制をくずし転けそうになったが、振り返ることもなくせっせと扉を開けて理科室の外へと出ていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。