↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

79/143

♰♰♰  理科室は地獄だった④  ♰♰♰

黒川の頬に血が付いた金山先生のバットの先が突かれていた。バットの先で黒川の頬をグリグリと押しつけている。バットの先はまるで死体安置所のような冷たさだった。正義ぶってかっこつけてもいつも無駄だったじゃないか?痛いのは嫌だろう?恥をかきたくないだろう?いいか、今までよーく頑張った。だが、ここでが引き時だ。・・・と黒川の理性はそう言っているが。


「やってみろよ。」


黒川の挑発に答えようと金山先生はバットを構えた。


「そうか、武器も準備もせずに突っかかるのは馬鹿だと教えてあげようじゃないか!」


金山先生のバットが空を切る音がした。堀田は机の下へと逃げた。神宮西は目をぎゅっとつむった。そしてみきはコッペパンを口に含んだ。


「武器ならある。」


次の瞬間、黒川は横にある机の上に置いてある三角フラスコを手に取ると、その先を机に叩き割らせた。割れた三角フラスコのガラスの破片がキラキラと輝いて黒川と金山先生の周りを踊るように飛散る中で神宮西の目が開いた。


黒川の頭にバットが当たる寸前の所で金山先生の手が止まっていた。金山先生のバットを持つ手がかすかに震えている。金山先生は瞳だけで自分の首元を見た。金山先生の首の皮一枚にキラッと光る先の尖った物が触れていた。黒川は手を伸ばして割れた三角フラスコを金山先生の首元へと向けていた。


金山先生のバットは止まったがいつ黒川の頭にバットを振るうのか分からない。いや、もし金山先生がバットを振るって体を少し前に出せば黒川が突き刺している三角フラスコに自分の首が突き刺さる。だから、金山先生は下手な真似はできないだろう。だから、大丈夫だ。俺がコイツを離さないかぎり・・・・・・・。


「黒川。」


金山先生は黒川の行動にはさぞ驚いたが、すぐ気を取り直して黒川を睨みつけた。


「お前の威勢のよさは褒めてやる。でも、どうしていつも勝てないのだと思う?」


さあね、俺が知りたい。


「威勢のよさはあっても肝心な覚悟は持ってないのだよ。」


・・・・・・図星だ。金山先生が無防備にも自分の首を一歩前に進んで近づいて来た。思わず後ずさりをしたくなるのをかかとに力を込めてぐっと踏ん張った。金山先生の表情がほらね。と黒川の事を見据えているかのような笑みを浮かべた。


「お前には無理だね。そいつで俺を刺せやしない。だが、俺にはお前を刺す覚悟がある。」


気がつけば割れた三角フラスコを握る手が震えていた。正直、逃げだしたい。でも、引いちゃ駄目だ。引いたら悪魔が思い通りになる世界を作ってしまう。


割れた三角フラスコを握りしめる手をギュっと強めた。そのせいで先ほど三角フラスコを割った時に飛んだガラスの破片が黒川の手に突き刺さって出来た傷に余計、傷口を広めて血が大量にあふれ出た。血は腕をつたい、床にしたたり落ちていた。だが、今の黒川はそんな事に気づかないほど全神経を目の前にいる敵だけに向けていた。


「いや、今の俺は自分でもどうなるかわからない。」


黒川も自分で信じられないくらい今の状況に興奮している。もしかしたら心の底のどこかではこうなることを望んでいたのかもしれない。この暴力性は突然、芽生えたのじゃない。眠っていたものを呼び起こしただけなのだ。ともかく一度ついた火はもう消せやしない。こうなったらもう、どっちかが引くか、果てるまでだ。


例え自分がどうなったとしても絶対、目だけは逸らすな。お互いに引き下がれず、事態が進まない場合は第三者に頼る以外なかった。金山先生が理科室の隅で固まっている生徒達に命令を出した。


「何をぼさっと突っ立っている!?このトロマめっ!先生がピンチなんだぞっ!さっさと黒川に反撃して先生を助けにこんかっ!」


堀田が金山先生の言葉に素直に従おうと慌てて机の下から這い上がり、机の上に置いてあったモップやらバケツやらを手に持って黒川に攻撃しようと武器を上にあげた。だが、いきなりポカン!っと背後から物で頭を叩かれた音がすると堀田は床に倒れた。倒れた堀田がいた場所の後ろには理科室の机の椅子を手に持った麻子が現れた。


「ええいっ!どいつもこいつも先生の言う事を聴けんのかっ!?お前らは先生の言う事を効かなければ何もできないガキだったくせにっ!」


理科室の隅にいる生徒達は金山先生の声に今や恐怖も示さなかった。みきが最初にはっきりとNOを貫き通した時から徐々にこの場の空気が変わりつつある。黒川がここにいる皆の要求を言った。


「何も出来ないのはどっちの方だ?先生。さっさとその物騒な物を机に置いてくれ。」


この時点で黒川は金山先生を理科室から追い出すという発想はまだなかった。金山先生も自分が助かる道はこれしかないと唇を噛みしめるしかなかった。


「・・・・・よし、いいだろう。」


金山先生がそっと机の上に金属バットを置くのを見た黒川はほっと一安心して割れた三角フラスコを握る手を緩めた。すると金山先生はいきなり背後にいるザコ二等兵の背中の裾を掴むとザコ二等兵を黒川に向けて押した。黒川の体にザコ二等兵が倒れてきた。


その僅かな隙に金山先生は机の一番上にある引き出しを引いてチャッカマンを取り出し椅子の上に置きっぱなしの女の子のかばんの中に手を突っ込んでかばんの中から汗の匂いを消すスプレーを取り出してスプレーの前にチャッカマンを持ち出して構えた。


「生かしておいても意味が無いお前らクズ共を生かしておいてやったのも外にいる化物をよける弾除けくらいには役立つだろうと思ったからだ!だが、先生に逆らってばかりのお前らはもう全員用済みだ!この炎でお前ら全員を焼き尽くしてやる!!」

「やめろっー!!!」

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。