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♰♰♰ 理科室へ・・・② ♰♰♰

みきの耳に障る甲高い声がさらにヒートアップした。


「ちょっと!どーするのよぉ~あのゴリラ女が手に持っている消火器がないとみきが死んじゃうじゃない!あら、やだ!私、死ぬの?こんな所で?まだ若くてこんなに可愛いのに?勿体無いっ!やだ!やだ!やぁだぁあああ~!私、死にたくなぁいぃっっ!!」


丸之内と上社と黒川はみきの甲高い声に耐えきれずに自分の耳を塞いだ。丸之内はみきの雄叫びにかき消されないように大声で上社と黒川に話しかけた。


「あの子が動物園にいるサルのようにうるさく騒いでいるというのに一向に理科室のドアが開かないなんていくらなんでもおかしい。ドアについているガラスから理科室の中の照明の光が廊下の外まで漏れている事がなによりも中に人がいる証拠だ。理科室の中にいる生存者達は僕達の事を助ける気がないか????」

「いや、もしかしたらそれよりも最悪な事態が起こっているのかも・・・」


上社が口に出すのも恐ろしい予感を声に出しづらそうにしていた。


「周りくどい事はやめにして何が言いたいのかはっきりしろ。もう、最悪な事態はとっくに起こっている!」


黒川は2時間前までは最悪な事態は起こる前まで知らされずに先延ばしにして欲しい先延ばし派だったが、この場が戦場に変わると最悪な事態が起こる前に早く教えて欲しかった。


「もし理科室の中にゾンビがいたとしたら?理科室の中にいる生存者達はゾンビの餌になったか、ゾンビに変えられたから僕たちの声に反応しないのかも・・・・・」


黒川は冷静になろうと心がけて質問をした。


「つまり・・・扉は開けない方がいいかもしれない。というワケだな?」

「中にいるゾンビの餌になりたくなければね・・・」

「もぅー!!理科室の中に入った方がいいのか悪いのかどっち~!!」


みきが泣き顔で黒川達に尋ねてきた。黒川と丸之内と上社も入るべきか入らない方がいいのか判断が決めかねていた時、背後から神宮西の声がした。


「中に入って確かめればいいだけじゃん。」


後ろを振り向くと神宮西が使えなくなった消火器を高く振り上げていた。


「・・・・そっか、神宮西は消化器の別の使い方もあったっけ。」


何も言われなくても皆、神宮西に道を譲った。神宮西は振り上げた消火器をドアの長方形のガラスの部分におもいっきりぶっつけた。ガラスは粉々に砕けた。理科室と廊下を隔てている壁にやっと穴が出来た。神宮西は素早くガラスが割れた穴の所から手を通し、中から鍵を開けようとしていた。これで理科室に入れる・・・誰もがそう思った。


「うわぁあああああああああああああ!!!!!!!!!」


いきなり叫び声を聞いた黒川は後ろを振り向いた。一番後ろにいた上社が一匹のゾンビに背後から両肩を掴まれていた。他のゾンビ達も黒川達に近づいて来ている。


「何、とろとろしているのよ!みきが死んじゃう前に早く開けてよっ!早くっ!」


みきは神宮西の肩を何度も叩き、かえって鍵を開けてくれている神宮西をイラつかせて、わざと神宮西の邪魔をしているとしか思えなかった。


「借りるぞ。」


神宮西からの返事を待たずに黒川が消火器を手に取ると上社の所へと行き、上社の両肩を掴むゾンビの顔面に向かって消火器で殴った。ゾンビは上社の両肩を掴む手を離し、後ろに倒れた。

だが、一匹を倒しただけでは悪夢は終わらない。もう一匹のゾンビが正面から黒川の頭を掴もうとうしてきた。黒川はすかさず消火器の底の部分を自分に向かってくるゾンビの顔面に目掛けてぶつけた。ゾンビの顔が丸い底の形がくっきり出来るほどに鼻も唇も潰れた。


だが、黒川の順調な流れは終わるのが速い。ラグビー部ゾンビに横からタックルを喰らわされて腰を掴まれた。黒川は消火器を高く持ち上げて自身の脇腹にあるゾンビの頭に目掛けて消火器の底でゾンビが離れるまで何度も殴りつけた。その間に別のゾンビが丸之内の元へと向かった。


黒川は腰に張り付いたゾンビを自分の体から引き離すとすぐに丸之内の元へ向かった。丸之内は後ろへと引き下がり、ゾンビは丸之内の後を追う。だが、いきなりゾンビの背後から自分の髪が何者かに掴まれて後頭部が下へと引っ張られた。ゾンビの後頭部には黒川の膝蹴りが待っていた。ゾンビはその場に倒れた。


黒川は一端、呼吸を整えていた。消化器の中身はないとはいえこんなに重たいとは。神宮西はこんな重たい物を持って愚痴もこぼさずに今まで自分達をずっと助けてくれていたのだなと思うと、他人任せにしようとする自分を許せなかった。ふと、自分の隣に誰かの激し息遣いを感じて目だけで横を見るとまた新たなゾンビが黒川の横に現れた。



黒川に休む暇なんてない。それが永遠に続くかのように思えてきた。


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