↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

69/143

♰♰♰  視聴覚室からの脱出  ♰♰♰



「ど、どうしよ~亮ちゃん!!」

「どうもこうも逃げるしかないっ!」


荒畑から取れる肉にもうありつけなくなったゾンビ達が飢えをおぎなう為に下にある丸々に太った食用豚に向かって階段を降りてきた。丸之内は逃げようとしたが、慌て過ぎた為に教壇にお腹が当たってしまい足元がおぼつかなくなってしまった。


体制を整えていたら、丸之内の目の前にはすでに1匹の男子生徒のゾンビが両手を丸之内へと伸ばしていた。丸之内は目の前が真っ白になっている間にゾンビは丸之内の頭を両手でがっしりと掴んだ。丸之内の頭には先程見てしまった元の原型を留めていない肉と骨だけとなった変わり果てた荒畑の姿がよぎった。あれは未来の自分の姿だ。丸之内はパニックと恐怖が津波のようにどっと襲い始めた。丸之内は本能のままに声をあげた。


「助けてぇぇぇえええ!亮ちゃあああああんっ!!!!!!」


その悲鳴が視聴覚室中に響き渡ると丸之内の頭を掴んだゾンビは気がつけば背後から何者かに押されて床に倒れていた。


「亮ちゃん!やっぱり助けに来てくれると思っていたよ!」


黒川は荒い呼吸を整えながら床に倒れているゾンビの足元にしゃがみ込んでいんた。床にうつ伏せになって倒れているゾンビは自分の身にいったい何が起きたのか理解できなかったが黒川も自分に何が起きたのかわからなかった。助けを呼ぶ丸之内の声を聴いた瞬間、黒川の潜在意識のスイッチが入って気がつけば丸之内の頭を掴んでいるゾンビの背中に背後から飛び体当たりを喰らわしていた。自分の意志ではなく、まるで外から不思議な力が黒川に手を貸してくれたかのようだった。


「わーお!まるで大脱走のスティーブン・マックイーンのよう飛び体当たり!」


みきはまるで映画を見ているかのように他人事であんぱんを食べ続けている。


「まだ終わったと思うなっ!奴らはまだいるぞっ!」


上社の声を聴いた黒川は気を張り詰め治した。


「そうだよな。一匹を倒したとしてもそれは対した問題じゃない。ゾンビはゴキブリのように何十数匹もいるしな・・・。」


いつの間にか現れてきた一匹の男子生徒ゾンビが手を伸ばして黒川へと向って来た。黒川は落ち着いて立ち上がるとスクリーンの裏にあるホワイトボードの下にある二つのイレーザーを両手に取り男子生徒ゾンビに向けて2つのイレーザーを投げつけた。すると見事にゾンビの額と肩に命中させた。


「クソっ!やっぱこんな物じゃあ倒れないか!」


イレーザー程の軽い物ではゾンビを倒すのにはいたらなかった。周りを見渡してみたが、他に投げられるような物はない。こんな時は神宮西が助けに来てくれるだろうと神宮西に目線をやった。


その通りに神宮西は黒川を助けに行こうと床にかがみ込んで落とした消火器を取ろうと手を伸ばした。その時、隣の机の上に一匹の男子生徒ゾンビが立っていた。ゾンビの足のとろさが返ってゾンビが近付いてくる足音が聴こえなかった。机の上に立っているゾンビは敵に背中を見せながら床にしゃがんでいる神宮西を襲おうとした。それに気付いた黒川が神宮西に警告した。


「神宮西っ!横だっ!机の上にゾンビがいるっっ!!」


神宮西の耳に黒川の声が届いて横を振り向いた時にはゾンビはすでに宙を飛び神宮西を襲った。神宮西は身構える余裕もなくゾンビに覆いかぶされてしまい床に倒れた。


「ああっ!もはや今まで助けてもらっていた神宮西に頼る事はできない!」


黒川は気が落ちしたが、頼っていた人が窮地に立たされた時、いかに自分が他人に頼ってばかりな事に気付かされた。


「そもそも今まで他人に頼りっぱなしなのがよくねぇ。自分を変えなねぇと。」


気持ちを切り替え黒川と丸之内はゆっくりと後ろに引き下がった。その後をゾンビが両手を伸ばして餌へと向かった。やがてゾンビがスクリーンの前までやって来た。すると引き下がっていた黒川の足が急に止まった。


「俺がお前から逃げたかと思ったか?」


黒川は自分の横にあるスクリーンの布の切れ端を両手で掴んだ。


「戦う為に下がっただけだ。」


そしてスクリーンの布を下に力強く引っ張ると壁に吊るしていた壁掛け用スクリーンを吊るしていた金具が壁から外れスクリーンの布がゾンビを覆いかぶすように落ちてきた。ゾンビはスクリーンの布の下敷きとなってあたふたしていた。



神宮西は自身の上にゾンビが覆い被された為に身動きが出来ずに戸惑っていた。神宮西の上にいるゾンビはその口を開いた。口の中は歯の白さが見えない程真っ赤に染まっていた。その血はさっきまで生きていた荒畑の血だ。それに気付いた神宮西は体を身振いした。ゾンビはすかさず神宮西の生白い首へと牙を向けた。やられる!!そう思った時、ゾンビは首ではなくて自分の横に倒れていた。


「さあ、逃げるのなら今のうちだ。」


神宮西の足元には消化器を手に持った上社が立っていた。上社は消化器で神宮西の上に覆いかぶさったゾンビの頭を殴り倒したのだ。上社がふと階段側を見るともう骨と髪の毛だけとなって食べる所がなくなった荒畑を放置したゾンビ達が机と通路の間や机の上に乗って下の段にある机へと降りながら大量の餌場である階段の下へと向かって降りてきていた。


人の姿をしていてもゾンビは理性ではなく本能のまま生きている野生動物のようだ。神宮西は上社から消化器を渡されるとさっそく消化器の煙を階段から降りようとしてきているゾンビ達に向けてかけた。その間に黒川と丸之内はスクリーンに覆いかぶされているゾンビの上を踏みつけてゾンビ達に消化器の煙をふきかけている神宮西の背後を通り過ぎて廊下へと脱出した。上社も続いて視聴覚室から出た。


「神宮西!早く!早く!」


神宮西は黒川の言葉を耳にし消火器の煙を撒き散らすのを止め全速力で廊下へ駆け込んで皆が待っている視聴覚室の外へと出た。ゾンビ達は消化器から出てくる煙から解放されるとすぐに餌がいる廊下へと追ってきた。


だが、神宮西が廊下へと出た途端、ドア付近で待っていた丸之内が素早くドアを閉め、上社が廊下に置いてある掃除道具入れから取り出したホウキを引き戸が開かないようにつっかえ棒変わりに置いた。

扉の向こう側からドアに激しくぶつかってくる音とドアを何度も引こうとする音がしたがドアはゾンビ達が外へ出る事を許さない。一難が過ぎ去ると黒川はふやけたポテトのように足を畳んで床にしゃがんだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。