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♰♰♰ 救世主はすっぽん ♰♰♰

ゾンビ達は突如、目の前に現れてきた新たな餌に興味を引かないワケがなかった。


名城に一番近いゾンビが真っ先に名城に襲い掛かった。名城は素早く床にしゃがみこむと足元の床に落ちていたスッポンを手に取り、自分に迫ってくるゾンビの顎にめがけて下から左打ちにメジャーリーガーのような豪快フルスィングを当てた。ゾンビは後ろに吹き飛ばされて倒れた。


だが、そうしている間にもう1匹のゾンビが忍んで名城の背中へと周り、背後から両手を伸ばして名城を襲いにかかった。名城はフルスイングをした体勢のまま体を左周りにくるっと一回転させて背後から名城を襲いかかろうとしたゾンビの襲撃をさけると今度は名城がゾンビの背後側に周った。名城は片足をひょぃっと軽く持ち上げてゾンビの背中を蹴った。背中を蹴られたゾンビの目の前には先程、名城がトイレの個室の中から出た時のドアがまだ開きっぱなしでゾンビはトイレのドアに激突して体が横に倒れてトイレの便座の中に顔を突っ込んだ。


堀田とザコ二等兵らがまばたきをする間もなく名城はゾンビを4匹も倒していた。すると今度はゾンビが二人同時に名城に襲ってきた。その片方のゾンビは女子生徒だった。


「顔が化粧でごまかせないほど悲惨になっているけど、あのスカートの短さが似合う美脚なら美人だったに違いない。」


と女子生徒がゾンビになってしまった事を悔みつつも名城は突如自分が入っていたトイレにまた入った。先程、トイレの便座に顔を突っ込んだゾンビはどうやら便座の中から顔を取れなくなって苦戦しているようだ。


名城がトイレの中からある物を取り出して出てくると二人のゾンビに向けてある物を男子生徒の方のゾンビの顔に目掛けて投げつけた。それはまるでシルクの様な輝きをした天女が空を飛ぶ為に使う羽衣のようにしなやかに舞ったトイレットペッパーだった。顔にトイレットペッパーが命中した男子生徒のゾンビが少し躊躇している隙を狙って、名城は自身の目の前に迫ってきた女子高生ゾンビの顔にスッポンのラバーカップの部分をぶつけた。すると奇跡的なくらいラバーカップが女子高生ゾンビの顔に見事にはまった。


だが、休むヒマなんてない。トイレットペーパーごときじゃ男子生徒のゾンビはすぐに立ち直ってしまう。名城はトイレットペーパーをぶつけた男子生徒のゾンビの胸倉を片手で掴むと横に引っ張り、隣にあった立ちション用のトイレの角にゾンビの頭をぶつけさせた。


トイレに集まってきたゾンビはこれで全員倒された。名城は何事もなかったような足取りで女子高生ゾンビの顔に張り付いたスッポンの棒を片手で握ると女子高生の顔とスッポンを引き離そうとした。


「・・・・・。」


だが、取れない。片足で女子高生の腹を押し、両手でスッポンの棒を掴んで強引に引っ張ってみたものの女子高生の顔がスッポンに引き寄せられるだけだ。


「どれだけスッポンにハマりやすい顔なんだ?」


名城の顔に初めて焦りの表情が見えた。そうこうしている間に名城に倒されたゾンビ達が次々と立ち上がりつつあった。スッポンと格闘中の名城を襲おうと横から忍び寄ったゾンビが今度こそはと足を一歩踏めば伸ばした手が名城の首筋に触れる所まで来た。


その時、名城がいきなりスッポンの棒を握ったまま向きを変えた。棒を持つ名城に引っ張られスッポンのラバーカップが顔にくっついたままの女子高生ゾンビも横に引っ張られた。そして、横から名城を襲おうとしたゾンビはラバーカップが顔にくっついた女子高生ゾンビとぶつかって名城はスッポン棒を離してしまい二人のゾンビは床に倒れた。


だが、また立ち上がってきているゾンビ達がいる。名城はすぐさまトイレの掃除道具入れまで行くと黒川のように使える武器はないかと扉を開けた。大量のピラミッドのように積んであるトイレットペッパーの前に置いてあるトイレ用洗剤を掴むとラバーカップが顔についた女子高生の顔の上に大量にトイレ用洗剤を塗りたくった。


そして力を込めて引っ張ると液体が顔とラバーカップの間に染み込んで滑りやすくなり、ラバーカップがようやく女子高生ゾンビの顔から離れてくれた。女子高生ゾンビの顔はまるで梅干しを食べた後のすっぱそうな顔をしたしわくちゃなお婆ちゃんのような顔になってしまった。名城はあっさりとトイレ掃除を終わらせた。堀田はゾンビ達がもう自分達に危害を加えないだろうと確信して名城に称賛を浴びせた。


「さすが名城さんっ!俺は名城さんなら倒してくれると信じていましたっ!」


名城が片手の指で自分の頭を指して言った。


「俺がすごいじゃない。お前らが頭を働かしていないだけだ。」

「えっ?頭って使えるの???」


堀田の横にいるザコ二等兵の一人が真顔で堀田に訪ねた。その時だった。名城の足が何かにきつく縛られた感じがしたのは。嫌な予感がして名城は自身の足元を見た。先程、ラバーカップが顔から取れた女子高生のゾンビが床にはいつくばって名城の片足を両手で抑えていた。名城は自分の足を掴むゾンビの手を追い払おうとスッポンを高く持ち上げたその時、横から何者かにタックルを喰らわされてバランスを崩した名城はゾンビと共に床に倒れてしまった。



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