♰♰♰ 救世主は図書館の本 ♰♰♰
図書館では王子様に遭遇したはずの中村みきが王子様に両肩を掴まれ、王子様の唇がみきに接近し、ついに子供の頃から待ちに待った王子様とのロマンスのシーンがこようとしたいたのだが、みきの待ちかねていた王子様は顔が痩けていて、青白い顔をしていて、腐った匂いがしているゾンビだった。
「あなた一体だれなのよぉ~!?そんなブサイクな顔をしている人はみきの王子様なワケないっー!何処へ行ったのよ~!?みきの王子様は~!」
みきの戯言を無視してゾンビのするどい牙が再びみきの唇へと向かってきた。まったくロマンスのかけらもない口付けだ。みきは腹から叫び声をあげた。
「きゃあああああああああ!!!!レイプされるぅぅぅぅうううう!!!!」
みきはゾンビに向かって頭突きを何度も繰り返しゾンビの頭にくらわし、トドメの一発を喰らわしてゾンビは床に倒れた。みきはその隙に逃げ出そうと後ろを振り返った。
「きゃあ!」
だが、みきの後ろにももう一匹の男子生徒のゾンビがいたのだ。
「ちょっともうっ!なんなのよ!あなた達っ!また次々とみきの事をレイプしに来たのね!?美人には不幸がつきものだからしょうがないだろうけどっ!」
みきは周囲を見渡して逃げられる隙がないか探した。だが、一人しか通れないような狭い図書館の通路では前にゾンビが、後ろにも床から上半身を立ち上がらせたゾンビに挟まれ、右と左には壁と本棚に挟まれている。八方塞がりのみきに逃げ場はなく、新たに現れたゾンビが両腕を上げてみきに近づいてきた。
「どーしよ~!何処に逃げればいいの!?このままだとキャー!犯されるぅぅ~!!!何処かに逃げ道は!?逃げ道はないのっっっ!?・・・・いや、道ながなければ新たに道を作ればいっか!みきちゃんマジ天才ッ!!」
みきは高畑にあげるハズの予定だったチョコの入った紙袋を新たに現れてきたゾンビの顔面めがけて投げつけると、その隙に横にある本棚へとよじ登った。このまま順調に上まで登って反対側の本棚から下へと下がって床に降りれさえすればゾンビから逃げ切れる。だが、みきはなぜか本棚の真ん中の辺りで登るのを止めてしまった。
「ちょっと待って、今のこのゾンビを倒した状況っていいねボダンを稼ぐ絶好のチャンスじゃない?」
みきは胸ポケットに入っているスマホを片手で取り出すとさっそく自撮りを始めた。みきは自分をいかに可愛く見せようと目を全開に見開いて可愛い笑顔を納得するまで何十個も考えているポーズを試していた。その間にみきのスマホは下にいた新たに現れたゾンビがみきを追っかけて本棚によじ登っていたのを正確に写していたのだが、自分の顔しか見えていないみきにはスマホに写った光景にまったく気付いていなかった。
そしてみきがようやく納得する表情を決めるとスマホのシャッターを押した。そして自分がどう可愛く写っているか確認しようとスマホの画面を見た。しかし、スマホの画面にはみきの後ろで本棚によじ登っているゾンビの姿が映っていた。
「ぎゃああああ!!!!!」
ゾンビがいきなりみきの片足を掴んだ為にみきは驚いてスマホを床に落としてしまった。床に落ちたスマホの画面に映っているのは恐怖で顔がひきつっている殺される時の安っぽいホラー女優のようなみきの表情だった。
「何なのよ~!もうっ!!私はこの地球上で一番偉い人なのよっ!この星のプリンセスなのっ!親戚にMi6とCIAがいるのだからっ!私を襲ったら知り合いのFBIの人があなた達の家族の事まで絶対に許さないのだからっ!」
みきは空いている方の片足でゾンビの手を踏みつけ、蹴り落とそうし、必死に足をばたつかせて抵抗しているのにも関わらず、ゾンビは目の前の餌を手放さなかった。そうこうしているうちにみきに頭突きを喰らわされて倒れていたゾンビも本棚によじ登りだしてみきの開いている方の片足を掴もうとしていた。
「ね、ねぇ?もうそろそろここら辺でヒロインがピンチの時には必ず助けに来てくれる王子様が出て来てもいいハズよね?なんでこないの?みきはこの世界のヒロインのハズなのに!・・・・ぎゃああ!!!!!!!!!」
みきはついにもう一人のゾンビに片足を捕まれてしまい両足がゾンビに掴まれるという絶望的な状態に陥った。
「ぎゃーーーーー!!!」
二匹のゾンビに足を引っ張られると本棚にしがみついている命綱である両手がだんだんすべって来た。この手を離せば地獄へと一気に落とさられる。
「どーするべき?助けてくれる王子様を待つべき?死ぬのを覚悟するべき????」
手が下へと滑っていきついに指だけで本棚を掴んでいた。みきは恐怖から目を逸らそうと目をつぶった。だが、暗闇の中を探しても希望は見つからなかった。だから、みきは希望を探す為に目を開いた。
「それとも・・・・・戦うべき?」
目を見開くと希望は目の前にあった。下でみきの右足を掴んでいるゾンビはついに身動きが捕れなくなったみきの足首に牙を向け初めた。あと一ミリでゾンビの牙がみきの薄い皮膚を切り裂こうとしたその時、頭上から何か物が落ちてきてゾンビの頭にみごと命中し、ゾンビはみきの足首を掴む手を離した。ゾンビは真上を見上げた。
すると、上から雪崩のように大量の本が落ちて来るではないか。ゾンビの頭上に大量の本の雪崩が直撃してゾンビは床に倒れて大量の本に埋もれた。絶体絶命の窮地からみきを助けたのは本棚に何年も埋もれていた怨念がたまっている大量の本だった。何年も掃除をサボり続けてきたホコリがたまっているせいかホコリが宙を舞ってはいるが、みきは歓喜の雄叫びをあげた。
「ついにみきちゃんが何十年も読まれていない本の使い道を編みだしてやった!!」
次の瞬間、何者かがみきの左肩に触れた。みきは触れられた左肩を見た。
「ちょっと!いきなり何触っているの???」
顔の横にはみきと同じ高さまで本棚によじ登ってきたもう一匹のゾンビがいた。
「きゃあああああああ!!!!!!!!!!!」
みきは慌てて本棚に置いてある本を一冊、手に取るとゾンビの頭をめがけて殴りつけた。ゾンビは本で殴られたせいで頭がクラクラしたが、まだ本棚を掴む手を離してはいなかった。ゾンビがよろめいているその隙にみきは逃げだそうとさらに本棚の上に昇ろうとした。だが、すぐに正気に戻ったゾンビに制服のスカートの裾を捉まれて引っ張られた。みきがせっかくスカートで隠していたお腹の贅肉がスカートを引っ張られた事によってスカートの外へとはみ出てしまった。
「ちょっと!この変態ッ!!!」
みきは先程のように本棚に置いてある本を掴むとゾンビにめがけて本を投げようとしたのだが、その時、みきが乗っている本棚が前後にぐらついた。木製の本棚のキィキィと鈍い不愉快な音を奏でた。みきの心配事がまた一つ増えた。
「うそぉ!?みきが昨日、正月に買いだめしておいたお餅を食べ過ぎたせいなの?」
本棚はみきと二匹のゾンビによじ登られ、みきが本棚に置いてあった本を投げすぎたせいで、今まで重り代わりだった本が殆どなくなってしまい、古臭い木製の本棚はぐらつき、ついに重心がかかるみきの後ろの方へと倒れようとしていた。
「きゃあああああああ!!!!!!!!!」




