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♰♰♰ 誰かウソだと言ってくれ ♰♰♰

黒川と上社が走っている廊下にはゾンビどころか虫さえもいなかった。余裕を感じた先頭を走っている黒川はだんだん心の緊張が解れてテンションが高くなった。


「なんだゾンビが全くいないじゃん!楽勝だ!楽勝ッ!!」


黒川は楽観的になり始めてきた一方で上社は顔色が青ざめていた。


「ゾンビは廊下以外にもいるぞ、黒川。」

「えっ?なんだって?」


黒川は急に不安になって廊下の先を見た。だが、廊下には依然と虫ひとつもいなかった。


「なんだよ~おどかしやがって~!」


すると黒川が走っている先にある教室の前方の扉から片足が飛び出して来た。黒川と上社は立ち止まって注意深く教室から出てくる人物を観察した。



ズボンではなく太ももから下の素足が見られるだけでこれは女子高生の足だと見抜いた。だが、女子高生がゾンビである事は見抜けなかった。廊下へと出た女子高生ゾンビは黒川と上社へと体を向いた。


「わ!わ!わ!どーすんだ???前にゾンビがいる!!」


黒川は後ろを振り向いて上社に訪ねた。上社は周りを見渡してみた。


「何かゾンビを倒せそうな武器になりそうな物はーっと・・・・」


教室と比べて廊下は武器になるような物は何もない。あるとしたら誰かが掃除をした後で放置したままの濡れ雑巾だけだった。そうこうしている間に女子高生ゾンビはゆっくりとした足取りで廊下を歩きながら黒川と上社に向かってくる。


「おっ!そういえば掃除道具箱があるじゃないか!」

「掃除道具箱?あそこまで取りに行くのか?」


掃除道具箱は女子高生ゾンビを追い越した廊下の突き当りにあった。


「武器を取りに行く前に僕らがゾンビに襲われる。仕方がない。横の教室に入れ。」


上社は教室の後ろの扉を開けると黒川と共に教室の中へと入って行った。教室は運がいい事に他のゾンビはいなかった。


女子高生ゾンビは2人の餌の後をゆっくりとした足取りで追って上社と黒川が入って行った教室の後ろのドアの前まで来ると教室の中を覗いた。だが、教室に入って行ったハズの黒川と上社の2人の姿が教室に見当たらなかった。


女子高生ゾンビが教室を隅々まで見渡して黒川と上社の2人を探している間に黒川と上社はもうすでに教室の真ん中の扉から廊下へと出ていた。黒川の手には椅子の2つの足を持ち、女子高生ゾンビに気づかれないようにそぉーと忍び足で廊下を歩きながら女子高生ゾンビの背後まで近づいていった。


そうとは知らずに女子高生ゾンビが教室へと足を踏み込んだその時、背後から黒川に椅子で頭を殴られた。女子高生ゾンビは教室の床に倒れると黒川は椅子を廊下に置いて一言あやまった。


「ゴメン。」


だが、悔やんでいる暇などなかった。一刻も早く放送室へと向かわなければならない為に二人は再び廊下を走り出した。


「ところでさー上社。お前いつも黙示録がどうのこうのって言うものだからてっきりこの世界の崩壊を上社は望んでいたのだと俺は思っていたよ。」

「黒川・・・お前は僕が毎日君たちに聴かせていた話をちゃんと聴いていなかっただろ。僕は毎日君らに黙示録が起こる事を警告し続けていたじゃないか。」

「え、そうだったの?だってオカルト好きって世界が崩壊するのをまるで望んでいるように言っている奴が多いじゃん。」

「世界の崩壊を望んでいるのは恐怖を仰いで信者を獲得したい宗教家と自分の人生がクソだから他人も自分と同じ落ちたクソに巻き込みたい似非オカルト愛好者だけだ。僕ら真性オカルトマニアと似非オカルト愛好者を一緒にしないでもらいたい。」


黒川達の日常が崩壊してから数分がたち日常会話ができる所まで回復した。なんら変わりのない当たり前で退屈な日常が有難く思えるなんて今日、この日まで知らなかった。黒川は廊下の突き当りにある角を右に曲がろうとしていた。


「うわっ!」


曲がろうとした角から1匹の大きな影が突如、黒川の前に現れた。黒川の背後にいる上社は前に黒川がいるせいで突如出てきた影の正体が一体なんなのかわからなかった。


「なんだ!???またゾンビなのか???」


黒川はその影に見に覚えがあった。


「ウソだと言ってくれよ・・・・」


戻った日常はゾンビと遭遇しなかったほんの数十秒しもたなかった。突如、廊下の角から現れた影は先程、教室で黒川達を襲ってきたゾンビ達にそっくりな顔をしていた黒川と上社の友達であり、人格者である高畑だった。





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