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♰♰♰ ゾンビだらけの大運動会② ♰♰♰

第一校舎の3階の音楽室ではコンバット・マーチが終盤に差し迫った時に男子吹奏楽部が吹くトランペットの音が妙に詰まっていて、まるでトイレが詰まっているような音が出てきた。周囲も演奏をし続けながら視線がトランペットを鳴らす男子吹奏楽部員に集中した。男子吹奏楽部員は恥ずかしくて焦りだし、元の音に戻そうとトランペットを必死に噴いた。だが勢いがあまりすぎてトランペットのベルから大量の血が吹きこぼれて周囲の吹奏楽部員たちに血が飛び散った。



音楽室中に『コンバット・マーチ』からいきなりヴェルディ作曲カラヤン指揮の『レクイエム』が流れ出た。



トランペット奏者の前で演奏したトロンボーン奏者の女子生徒は視界が血で汚されて驚きのあまりスライドを前に突き出し過ぎてしまい、前にいるフルートを演奏している女子生徒の後頭部にスライドが激突してしまいフルート奏者は床に倒れた。


シンバルを構えた男子生徒が音を鳴らすタイミングを緊張した面持ちで測っていたが、ふと、隣にいるドラムを叩いている男子生徒の様子がおかしいと横を振り向くとドラムを叩いている男子生徒が真っ青な顔をして目が白目を向いている。ドラム奏者がタイミングを取ってドラムを叩きながらシンバル奏者と目が合ってしまった。ドラム奏者がすぐにシンバル奏者へと襲ってきた。驚いたシンバル奏者はドラム奏者が目の前まで迫ってきたタイミングでドラム奏者の顔をシンバルで両側から挟んだ。シンバルが鳴り、ドラム奏者は後ろにあるドラムの上へと倒れてドラムが鳴った。


次々とゾンビ化する生徒達が出現して先程まで一緒に演奏していた仲間に襲いかかり、楽器の演奏以上に悲鳴が校舎の外まで響き渡り、音楽室は地獄のデスメタルコンサート会場へとなっていた。勿論、このデスメタルコンサートを指揮しているのはゾンビと化した男子生徒であった。


女子生徒ゾンビが床で這いつくばっている男子生徒の片足の足首を捕食していた。男子生徒は自身が捕食されながらも這いつくばり腕を伸ばして目の前にあるCDラジオのラジカセの停止ボタンを押すとカラヤン指揮の『レクイエム』がようやく止んで男子生徒も力尽きた。




 下の二階にある教室では囲碁将棋部が2名の対局者同士が向かい合って将棋の一局をしていた。男子生徒が攻めの一手を打つと対局者の男子生徒は相手の顔を見て様子を伺った。すると自分の対局者の顔は生気がなく、真っ青で目が白く、目の周りが黒くくぼんでまるで死人のように見えた。だが、対局者の男子生徒はメガネの位置を治しただけで次の一手を打った。



 囲碁将棋部がある場所から迎え合わせになる第2校舎の真下には家庭科教室があり、可愛らしいエプロンを身につけて三角巾を頭にかぶった家庭科部員達が楽しそうにお喋りに花を咲かせながらラム入りのバナナケーキを調理していた。その美味しそうな臭いは家庭科室から廊下まで漏れていた。


だが、バナナケーキ以外にも美味しそうな匂いを嗅ぎ付けてきたゾンビ達がぞろぞろと家庭科室に集まって来ていた。ゾンビ達はごちそうにありつけようと家庭科室の扉を開けた。


「きゃっー!」


最初にゾンビを目撃した家庭科部の女の子が手に持っていた皿をすべて床に落とした。皿は音をたてて全て割れてしまった。皿の割れた音を聴きつけて今まで調理をしていた家庭科部員達の視線が皿を落とした女の子へと注目した。家庭科室の両脇にある二箇所の出入り口のドアからぞろぞろと大量のゾンビ達が美味しそうな獲物の臭いに釣られて家庭科室に入ってきていた。


家庭科室にいるのはいかにも泥が足に飛び散っただけでもうろたえそうなか弱い女の子達ばかり、唯一エプロンをつけていた男子が一人混じっていたが体が細くて体をなよなよさせながら近くにいた女子家庭科部員の体の背後に隠れた。ゾンビ達は恰好の獲物にありつけたぞ。と、まだ食べ物を捕食したわけでもないのにもうすでに勝利の味を噛み締めていた。


すると家庭科室の中でメガネをかけ、体が痩せすぎていて、可愛いいとはけして言えない家庭科部の部長の女の子が包丁立てから一番重い包丁である中華包丁を選んで取り出した。その後ろにいた副部長の女の子は頭に巻いていた三角巾を片手で取った。そして手にまな板に置いてある人参を構えた。別の所では部員の女の子がコードレス電動ハンドミキサーにスイッチを入れた。その後ろでは女子部員がフライパンに油をたっぷりと入れると火力を最大に強くした。



ゾンビ達は目の前にある餌へと一斉に向かい出した。それを合図に化物と家庭科部の啖呵が切られた。



自分に向かってくるゾンビに副部長は脱いだ三角巾を投げつけた。三角巾はゾンビの顔に当たり、ゾンビは前が見えなくなった。その一瞬隙に部長が片手に持った中華包丁で顔に張り付いた三角巾ごとゾンビの顔をぐさりと刺した。


洗面台で皿洗いをしていた女子部員は水と洗剤の泡が入り混じっている洗面台の中に手を突っ込むと水の中に沈んでいる皿を取り出してまるでフリスピーのように投げて次々と迎え来るゾンビを一匹ずつ倒していった。


油がどっぷりと入ったフライパンを掴んだ女子部員に3匹のゾンビが同時に向かって来た。女子部員は容器に入っている水を油がいっぱいに入ったフライパンの中に入れるとフライパンから炎が上空を登る龍のように天井まで飛び出して来た。女子部員はフライパンを手に持つと自分に向かって来るゾンビ達に炎を吐き出すフライパンで焼き殴って倒して行った。


別の所では女子部員が片手に持っているハンドミキサーについている二本のビーダーを最大限の強さに回して自分に向かってくるゾンビの両鼻につき指した。ゾンビの顔は肉の細切れと化して近くのテーブルの上に置いてあった卵とみじん切りにした玉ねぎとパン粉が入っているボールの中に大量のゾンビのひき肉が入った。これをこねて焼けばゾンビのハンバーグが出来上がる。


他の場所では女子部員が卵を投げてゾンビの顔に卵があたり卵のからが割れて中身がゾンビの顔にかかった。そして二人目の家庭科部員が薄力粉をゾンビの顔に袋の中身をすべてかけるとゾンビの背後に回っていたもうひとりの女子部員がゾンビの首をわしずかみにし、ぐつぐつと油の熱湯が煮えたぎる鍋の中にゾンビの顔を押し付けた。そしてゾンビの顔を上にあげるとキューピー3分クッキングよりも早くゾンビの唐揚げが出来上がった。


別の場所では女子部員がゾンビに大根をまるで剣のように斬りつけた。この危機的事態に対して家庭科部員達は非常に好戦していた。




 学校の長い廊下では男女5人の生徒達が後ろから自分達を追ってくるゾンビの大軍からまるでゴジラから逃げ惑う東京の人々のように走って逃げていた。焦って走るあまり一人の女子生徒が足をつまずいて転んでしまった。残りの4人の生徒が倒れた女子生徒を助けようと後ろを振り向いたが、すでにおぞましいゾンビと化した生徒達が倒れた女子生徒の体のあちこちに噛み付いて捕食していた。


残る4人の生徒達はパニックになり、廊下中に叫び声やら悲鳴やらが響き渡って冬の静かな廊下がいっきに賑やかになった。だが、後ろから追いかけてくるゾンビの大群から逃げ惑う4人の生徒達の前に頭を下に向き背中を丸めて小型ゲーム機の画面とにらめっこをしてゾンビがいるこっちへと向かってくる一人の男子生徒がいた。三人の男子生徒達は逃げる事でせいいっぱいで男子生徒に構う余裕はなかった。見かねた一人の逃げ惑う男子生徒がゾンビの大軍に向かおうと自殺行為をする男子生徒に一言声を賭けた。


「そっちに向かっちゃダメだっ!ゾンビがいるっ!!」


男子生徒はゲーム機から目を離さずに歩きながら言った。


「ゾンビならちょうど今、僕が退治している最中だ。」


男子生徒はちょうど今、ゾンビを倒すゲームに夢中になっていた。


「もう勝手にやってろっ!」


警告をした男子生徒は先に逃げて行った男子生徒達の後を追っていった。男子生徒はゲーム機から目を離さないままぶつぶつと呟いた。


「僕は今、ゾンビから世界を救っている最中さ・・・いてっ!」


男子生徒は正面から何かにぶつかった。ようやく男子生徒はゲーム機から顔をあげた。


「あれれ?さっきゲームで倒したはずのゾンビが僕の目の前にいるぞ????そうかっ!わかったぞ!ようやく俺はゲームの世界に入ったんだ!!」


男子生徒が両手をあげて喜んでいる間に複数のゾンビ達は男子生徒へと牙を向けていった。




 美術室では教室の真ん中にまるでギリシャ彫刻のようなマッチョの肉体美を持った男性下着モデルを呼んで全裸でミケランジェロのダビデ像のようなポーズを取らせ、その周りを円で囲んだ女性部員達が椅子に座ってモデルのデッサンをしていた。美術部員の絵はケツの穴まですべて正直に描かれており、モデルの青白くて目が窪んでいて白目になっているおぞましいその表情まで正直に描かれていた。


 

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