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♰♰♰ ゾンビだらけの大運動会 ♰♰♰


 窓から運動場が見える第1校舎3階の廊下の端にある音楽室で吹奏楽部が楽しく演奏をしている『コンバット・マーチ』が運動場の外にも響いていた。凍える真冬の風と張り合うように運動場では部活動を始めたばかりの生徒達のうら若い声が響いていた。


「はーい!各自でボールを取ってー」


サッカー部の主将に言われた通りに部員達が次々と籠の周りに集まって中に入っているサッカーボールを手に取って地面にボールを置くとボールを蹴りながらグラウンドを走って行った。しだいに籠の中からボールを取りにやって来る人が減っていき、そして最後にボールを取ろうとした生徒が籠の中に手を突っ込んだ。


「今池、今日の後片付け当番はお前だからなー。」

「えっー??」


突如、主将の声に反応してしまい籠の中から目を逸らしてボールらしき物を取ってしまった。そして無意識にいつものように手に取ったボールを地面へと落とした。今池がボールを蹴ろうと足元を見た瞬間、ボールと目があったのだ。いや、ボールだと思っていたが、それはボールではない。男の生首と目を通いわせていた。生首は白目を向いて口はなにか食べ物を求めてパクパク蠢めいていた。


「うわぁあああああああああっっっっ!!!!!!!!!」


今池は生首を空高く蹴っ飛ばした。生首は青空で広がる宙を天高く舞った。


グラウンドではラグビー部員達が走りながら後ろへとパス練習をしていた。部員の一人が走りながらラグビーボールを受け取ったが、ボールなのにやわらかい肌触りを不思議に感じ自分が今持っているはずのラグビーボールを見たら自分の手に持っているのはラグビーボールではなく、男の生首であった。


「なんだこれ!??パスッ!!!!」


隣を走っていたラグビー部員はパスされた物が生首だと知らずにラグビーボールだと思い込み全速力で駆け走った。目の前には妙な顔をした敵役のラグビー部員や陸上部に野球部にサッカー部たちやらその他大勢で目の前に立ちふさがり、トライを阻止しようとラグビーボールを手に持っている彼に向って走ってきている。



彼は今、思い出していた。ラグビー部に入って早二年。レギュラーになれずとも涙を飲み込み、努力をし続け、三年生が引退した後でようやく自分がレギュラーになり、あと数ヶ月で自身の引退試合が迫っていた。それまで僕は全速力で走り続けるつもりだ。


トライを阻止しようとする敵を次々とかわしながら足で地面を蹴るたびに黄金の砂埃が宙を舞う。流れる汗はダイヤモンド。そしてラグビー部員は生首をゴールへと接地させる為に飛魚のように飛び込んでいった。それはまさに神風特攻隊のような見事な特攻ぶりだった。



「アイキャントラァァァァァーーーーイぃぃぃぃぃ?????」



宙を浮かんだその時、初めて両手に持っている物がボールではなく生首をゴールに着地させていた事に気がついた時には自分が追い抜いていたはずの敵が集団で自分を追っかけに来ていた。ラグビー部員の汗と努力に費やした勝利の栄光もわずかな間だけに終わった。


その頃、野球部ではピッチャーが打者を三振にさせてアウトを取り、次の打者が打席に向かうのを心に闘神を燃えさせながら待っていた。次の打者はなぜか片足飛びをして打席までやってきた。不思議に思ったピッチャーは目を凝らして見た。次の打者が片足のままバットを構えたその時、ピッチャーの眼に信じられない光景が目に入った。次のバッターはバットではなく、自身の片足をバッドのように構えて打席に立っていた。


「あれはまぎれもなく一本足打法ッッ!!!!」


ピッチャーはボールを一球も投げる事もなく反対方向へと一目散に走って逃げて行った。ピッチャーの女房役であるキャッチャーが立ち上がって逃げたピッチャーに向かって吠えた。


「おいっ!ピッチャーが逃げてどうする!!俺が投げてもいいのか?」


すると目の前にいるバッターが自分の片足を握って素振りをしている姿を見たキャッチャーはその場で失神した。


ピッチャーが走り過ぎて行った所では陸上部の女子が涙を流しながら後ろで両足首が首の上に置かれてあり、首が180度曲がっている女子生徒の化物に二本の手だけで猛スピードで追っかけられているのを走って逃げていた。


「なんなのよ!もうっ~~~!!!」


化物はついに陸上部の女子に追いついた。だが、なぜか化物は陸上部の女子を襲わずにそのまま抜き去って陸上部が走るコースの軌道を走って先にゴールした。



所変わって殺伐した運動場から近い校舎の前にある花壇で活動している園芸部が運動部とは違った和やかな空気で植物の葉の手入れをしていた。汚れてもいい体操服を来た丸坊主の男子生徒の園芸部員が時の流れをまったく気にしていないゆっくりとした口調で言った。


「今日は一段と運動部は声をあげて威勢がいいですねー。」


運動部ではあちこちで悲鳴や雄叫び声が響いていた。


「引退試合が迫っていますもんね。皆、気合が入っていますねー。」


同じく体操着を来た園芸部の女子生徒は園芸用の帽子に腕カバーをつけて植物の葉の手入れをする為にガーデニングはさみが必要だった。だが、足元に置いたはずのガーデニング用はさみがどっか消えてしまった。


「あれれ?何処へ言ったのでしょう?私のガーデニングはさみ。」


すると横から生白い手首が出て探していたガーデニングを手に持っていた。


「あらあら、ありがとう。」


女子生徒は探していたガーデニングはさみを見つけてくれた人にお礼を言おうと顔を横に向けた。すると花壇の土の中から芽のように出ている手がガーデニングはさみを掴んでいた。園芸部の女子生徒はゆっくりと気絶していった。


 

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