♰♰♰ 放課後の教室 ♰♰♰
その頃、放課後になってもまだ教室にだらだらと残っている高畑が東山と本山が座って喋っている席へと向かい二人に尋ねた。
「なぁ、お前らは図書館が何処にあるか知っているか?」
「学校に図書館ってあったのか??」
本山が今、初めて知ったかのように驚いていた。
「お前、図書館がある事も知らないの?って俺もうちの学校に図書館があった事をさっき知ったばかりだ。」
東山も図書館の場所を知らなかった。
「けどどうして高畑は図書館の場所を知りたがるんだ?」
東山に尋ねられると高畑は非常に困ったような顔つきになった。
「なんか変な女にずっと付きまとわれていてさー、今日放課後に図書館に来て欲しいとか言われて・・・。」
「どうせチョコを貰いに行くんだろ?うらやましいなーモテ男は!」
本山が妬ましそうに高畑を見た。
「いや、もう二度と付きまとうなと言うために図書館へ行く。」
「羨ましい悩みだなっ。ま、いいさ。俺らはこれから高畑よりもいっーぱいチョコを貰いに行くからな。」
東山は立ち上がると前の席に座っている本山の肩を叩いた。
「まさか、生徒指導室に行って没収されたチョコを奪う気なのか!?」
高畑が訪ねると本山も席を立ちあがった。
「チョコを奪うんじゃない。元々俺らが貰う予定だったチョコを取りに行くだけだ。」
「そうそう、俺らは誰かさんと違ってバレンタインデーの負け組じゃないもんな!」
東山が遠回しに教室の中央の席に座っている黒川に嫌味を飛ばして本山と東山と高畑は教室から出て行った。こうして教室に残っているのは黒川だけとなった黒川は古典の時間に居眠りをした罰で居残り授業を命じられてまだ家に帰れずに教室に残ってうなっていた。
「なんてろくでもねー今年は人生で一番、最悪のバレンタインデーだ。自分の人生もぶっ壊わしたが、なんせ他人の人生までぶち壊したからな!ははは・・・・・・・・」
笑いがこみ上げてきた後でなぜか無償に虚しさを感じ涙が出てきた。黒川の今の精神状態は崩壊寸前であり、ネジが取れた後の壊れたおもちゃのようにぶっ壊れていた。
「黒川、お前相当ヤバイようだな・・・・」
教室に残っているのは自分だけかと思っていたらいきなり自分の名前を呼ばれて驚いた黒川が自分の名前を呼んだ先を見ると教室の前方のドアの前でドン引きした表情で黒川の事を見ている上社がいた。どうやら先程のひとり言をすべて聞かれてしまったらしい。上社はなぜか頭に変なヘルメットをかぶっていなかった。
「やあ、なんだ上社じゃないか!古典の先生でも落ち武者じゃなくてよかった!」
「落ち武者???」
「俺は今日一日で一週間分の不幸を使い果たしたのだ。だから、もうこれ以上最悪な事態なんて起きないよな?そうだよな。まだ、今日一日の幸福分を使い果たしていないから後に残るのはきっとハッピーに違いないっ!そう思うとやっと心から笑える!」
「黒川・・・今すぐ病院に行った方がいいぞ・・・」
「ところで上社。お前、帰ったのじゃなかったのか?」
「そうだったのだが教室にヘルメットを忘れてしまってだな。」
上社は片手をあげて変なヘルメットのない自分の頭をさした。
「お前がいつもつけている変なヘルメットを取りに来たのか!」
「変とはなんだ?変とは。あのヘルメットはこの世界に潜む悪霊と妨害電波からいつも僕を守ってくれている高性能防具なのだぞ。」
「はいはい、だれかーモルダーとスカリー捜査官を呼んでくれー。」
「そういえば君と丸之内君との間に何やら不協和音を感じるのだが、昼休みの間に君たちの中に何が起きたのだ?トイレで時空の裂け目と歪みに巻き込まれたのか?」
これ以上、上社のオカルトネタを長びかせない為にも黒川は話を無理やり遮らせた。
「コウちゃんの事なんて俺にはもうどうでもいい。あんな恩知らずの奴の事なんて。」
「ま、君達の間にあった事なんて今、この宇宙の広さに迫っている危機に比べたらごく最小なことであるから僕には興味がない事だ。」
上社が自分と丸之内の間にあった事について余計な探索をせずにオカルトに結びつけてくれたのは正直有難かった。
「ま、そう言う事にしといておくれ。ところでさ、上社。お前の後ろにいるのはお前の新しい宇宙人のお友達か?おもしろい奴だな。是非、俺に紹介してくれよ。」
「は?友達???何を言っているのだ?僕はここまで一人で来た。」
「は?じゃ、じゃあ、お前の後ろにいる奴はいったい誰だ?」
「後ろって・・・・」
上社は後ろを振り向いた。




