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♰♰♰ バレンタインデー撲滅委員会 ♰♰♰

ここは大都会の波に紛れ込んだ人知れぬ日本の某所。その地下深くに限られた人でしか入れない場所に秘密結社があった。中規模のミュージカル劇場ほどの会議場に正面には天井から床までの高さの大きな布が吊るされてある。その布にはナチスのハーケンクロイツのマークの上にギザギザの線で真っ二つに割れたハートが描かれてあった。その旗を正面にして円形になっている机には約30~40人もの人が輪になって椅子の上に座り何やら議論の真っ只中であった。


この限られた人でしか入る事ができない会議場に集まった人達は全身黒ずくめの服装をしていて黒の三角頭巾に目が見えるように穴が2つだけ開いていて、首から下はなぜか黒のスーツを着ている。この不気味な集団の中には下は単なるフリーターやニートから上は財団のトップ、政治家、弁護士、大学教師、有名人などの自分の正体をうかつに明かせない様々な事情がある者が集ってきていた。この秘密結社の結成は一説によると半世紀ほど前にさかのぼる。結成当時から地道に会員を集め続けて、ネットが普及した現在ではすでに日本を越え、海外まで会員を集め、もはや国家を揺るがすほどの権力をもったこの団体がなぜ今まで懲罰を受けずにすんでいるのかというのも会員の中には警察関係者、公安、公務員、政治家などもいてこの団体の驚異を今まで隠し続けていた。そしてこの秘密結社の中で選ばれた会員達は週に1回、この場所に集まってはある事について議論し続けていた。ちょうどこの秘密結社のシンボルである旗を背にして一人の会員が席を立ち、他の会員達に向けて演説をしていた。


「同胞諸君!長年に渡り我々を虐げてきた日々もついに明日で終わる!我々をもう負け組なんて呼ぶ者はもういない!」

演説を聴いていた会員達が「うぉおおおおおお!」と歓声の雄叫びを上げた。


「もう母親以外の女性からチョコを貰えなかった屈辱の日々も今日でやっと終わる!」


そう言った瞬間、中には泣き出す会員もいた。


「同胞諸君!来たるべき今日!バレンタインデーに終わりを告げ、2月14日には新しく我々の勝利の日としよう!」


演説していた会員が席を立ったままナチスの敬礼ポーズを取ってこう叫んだ。


「バレンタインデーを廃止せよ!」


すると他の会員達も次々と席を立ち、全員総立ちとなってシンボルの旗に向かってナチスの敬礼ポーズを取って同じ言葉を同時に叫び始めた。


「バレンタインデーを廃止せよ!」

「バレンタインデーを廃止せよ!」

「バレンタインデーを廃止せよ!」


不気味な雄叫びは大都会の空に紛れ、そして町に溶け込んで行った。まるで我々が知らない間に病原体が体に取り込み、我々が何気ない日常を送っているこの間にも病原体は我々の体内で不気味な静けさで繁殖し続け、いずれ我々を苦しませる身に迫まる危機はすでに我々が何気ない日常を送っている今この時にも起きているのだ。






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