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♰♰♰ 助けられた者の意思 ♰♰♰



 車の屋根の上ではゾンビラグビー部員が下の荷台にいる餌共にトマトを投げつけられたり、包丁やクライミングハンマーが飛んできたり、中には無駄毛取りまで飛んできたがこのゾンビは運転中の車の上に立っていても軽業師のようにうまくバランスを取れてことくごとく下にいる餌共々が投げていく物を避けた。


園芸フォークを高く上げた女子テニス部員がゾンビの足を引っ掻いてやろうとした。だが、ゾンビは園芸フォークの先が届かない後ろに避難されてしまった。


「ああ!どうすればいいの!!」


するとゾンビが後ろからいきなり肩を掴まれた。後ろを振り向くといつの間にか車の屋根の上に登った両手に人参を持った副部長に人参で頬を殴られていた。


 荷台の上で前では車の屋根の上にいるゾンビを追い出そうとしている派と後ろの堀田の首を掴んでいる原先生ゾンビを追い出す派と真っ二つに分かれていた。


ちょうど荷台の真ん中に座っていた真由の隣にいる夏樹は前にいるゾンビを追い出そうとつねに持ち歩いている鼻毛カッターを車の屋根の上にいるゾンビに投げつけていた。


麻子は他の皆と堀田の足を掴んで堀田の体をなんとか首の所まで荷台へと持ち上げていた。真由はというとどっちにつこうかと悩んでいた。悩んでいる内に時間だけが流れていきお尻に痛みが走っている事に気がついた。真由はお尻を浮かせてお尻の下にある物を手にとって自分の目の前に持ってきた。


「あれれ?何だコレ???」

「真由ッッ!!!ソレを私に渡して!!!」


麻子にいきなり怒鳴られても真由は間抜けた声した出てこなかった。


「へ?」


真由が手に持っている物は袋に入れられたままの新品でまだ開けられていないフック付きワイヤーだった。


「早くっ!!!」

「どうしてこんな物を必要にしているのだろう?けど、そう言えば私って考えるのが苦手だった!さっさとこんな物は麻子に渡しちゃお!」


そう言って麻子にフック付きワイヤーを投げ渡した。麻子は堀田の足を掴んでいない片方の手でフック突きワイヤーを手に取ると口でビニール袋を破り、中からフック付きワイヤー取り出すと堀田の首を掴んでいる原先生ゾンビのそばまで駆け寄り、原先生ゾンビ部員の頭にかぶっているダンボール箱の持ち手の穴にフックをかけようと試みた。


だが、餌の手が近づくと原先生ゾンビは頭にかぶっているダンボール箱で麻子の手に頭突きをしてきて失敗した。するといきなり麻子の隣から飛び出てきた傘の先が原先生ゾンビがかぶっているダンボール箱を突いた。


傘を手に持ったソフト部の子に言葉はないが麻子は感謝を笑みで伝えると原先生の頭突きが自分に向けられないうちに原先生ゾンビの頭にかぶっているダンボール箱の持ち手にフックを取り付けた。


「よしっ!!!」


麻子は次にフックについてあるワイヤーでできている紐を両手でしっかりと掴み、綱引きのように引っ張った。だが、麻子一人の力では原先生ゾンビの顔を動かすのだけでせいいっぱいだ。


麻子は自分の力に限界を感じ、手が真っ赤に染まって擦り傷ができもワイヤーを引っ張る手をやめなかった。それは堀田の為でもなく、原先生ゾンビを片付けたい心情でもない。


ここで諦めてしまうと以前のように諦め癖がついて大事な人達を失ってしまう取り返しの付かない事が起きてしまうのはもう嫌だった。


麻子は自分の体重よりも重い原先生ゾンビの重さを感じて苦痛で顔を真赤に染めたが両手に感じた重さが急に軽くなった。麻子は後ろを振り向くとそこに真由と車の屋根の上にいるゾンビは副部長に任せた夏樹がいた。真由と夏樹も麻子の後ろでワイヤーを引っ張った。


麻子は再び気力を取り戻すと3人の力でワイヤーを引っ張った。堀田の首を掴んでいる原先生ゾンビは得体の知れない力に引っ張られてしだいに堀田の首を掴む手が滑りだしていき爪だけでもいいから堀田の首をもがき引っ掻くようにしがみつこうとしたのだが、ずるずると頭が横に引きずられてやがて堀田の首を掴む手を離してしまい原先生ゾンビは地面に叩き落とされると今度は足だけではなく体全体が車にひきずられて服と皮が破れ、肉が地面に引きづられて背骨が見えるようにまでなると麻子達はワイヤーを手放した。


堀田は解放されると空気を一気に吸い込んでいきなり上半身を上がらせると目を真っ赤に染めて大粒の涙を流すと赤ちゃんのようにハイハイをしてエプロンをつけている家庭科部の女の子達によって行くと家庭科部の一人の女の子の腕にしがみついてまるで怖い映画を見た後で彼氏にしがみつく女子高生のような甘えた声を出して言った。


「こわかったよぉ~」



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