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♰♰♰ まだまだいる! ♰♰♰



 トラックのタイヤが地面に落ちたゾンビを踏み潰すたびに荷台の上にいる生徒達はまるで波に押し寄せられたように自分達の体が宙に舞い上がって不安定だったが、やがて不安定の波も去って落ち着いていくと荷台にいる生徒達にようやく安堵してもいいという安心感が湧いてきた。真由は麻子と夏樹の顔を見て共に勝利の喜びを分かち合おうとした。


「もう、ゾンビはいない。これであとは校門を抜けるだけだね!!」


麻子と夏樹の顔にも久方ぶりに笑顔が戻った。堀田はようやくうつ伏せにしていた顔をゆっくりと上へとあげた。すると運転席の屋根の上に人のような足が見えた。徐々に目線を上にあげていくとラグビー部のユニフォームが見えた。いや、あれは人の足ではない。


「ゾンビの足だっ!!!車の屋根にゾンビがまだいるぞ!!!!」


副部長は後ろが何やら想像しいので助手席の窓を再び下ろし外へと顔を出して荷台を見ると、荷台にいる皆は堀田が指す先を見ているものだから副部長も一体何が起こっているのか確かめようと堀田が指している自分が今、座っている頭上にある車の屋根の上を見た。


運転席の上に人間の足が見えた。視線を更に上げると運転席の上に鼻が削ぎ落とされて死んだ顔をしているゾンビラグビー部員が立っていた。副部長は一旦、車内に顔を戻し外で何が起きているのか状況がまだわからない部長と豊田に向かって言った。


「この上に奴がいる。」

「なんてしぶといんだっ!思わず感心してしまうほどだ。」

「ゴールまであと残りわずかなのに!」


トラックはゴールである校門まで迫ってきていた。


「ここを抜け出すまでにどうしても厄介な古いお荷物を下ろして皆といきたい。」


副部長はそう言うと顔を窓の外に出して屋根の上にいるゾンビに目を向けた。屋根の上にいるゾンビの顔にいきなり網がかぶせられた。荷台で陸上部の女子が池のゴミ取り用の網で鯉のフンをすくいあげるかのようにゾンビの顔に網をかけて棒を引っぱってゾンビを車から外へと追い出そうとした。


夏樹や将棋部の少年も一緒に棒を引っ張っるのに協力したが、ゾンビも棒を掴むとお互いに引っ張りあって網と棒が分裂して取れてしまい、陸上部の女の子と夏樹と将棋部の少年は後ろへと尻もちをついてしまった。





荷台に新たな悲鳴が聴こえてきた。今度は荷台の前からではなく後ろからだ。


「うわあああああ!!!!!誰かたすけてえぇぇぇぇぇ!!!!!」


再び堀田の叫び声を聞いて生徒達は荷台の後ろへと向いた。堀田はまるで何者かに後ろから引っ張られているかのように後あおりに背中がくっついて、荷台の外に出ている首を両手で抑えて足をじたばたと動かし、目に涙を浮かべ鼻をすすりながら仲間に助けを求めてきた。


堀田の隣にいた亜美はなんで堀田が苦しそうにもがいているのか最初はわからなかったが、堀田が両手で首を抑えている所に堀田の首を掴んでいる二つの手が見えた。


後あおりから後ろを見ると堀田の首を掴んでいるのは頭にダンボール箱をかぶった原先生ゾンビがいた。堀田の隣にいた亜美の彼氏の一宮も堀田の首が原先生ゾンビに掴まれている事に気づき原先生ゾンビの手を堀田の首から引き離そうと引っぱった。


「くそっ!釘で固定されたかのように離さねぇ!」


堀田の首を掴んでいる原先生ゾンビは車に引きずられて両足が地面にこすれて足の肉が細々にちぎれていても堀田の首をけして離そうとはしない。亜美はこの原先生ゾンビは諦めがわるそうだなと判断して一宮の制服の袖を引っ張った。


「ねぇ、堀田を原先生ごとトラックから追い出すのはどう?」

「そんなのダメに決まっているでしょ!!!」


亜美はとても残念そうな顔をしていた。原先生ゾンビに首を掴まれた堀田は息をつまらせて顔がだんだん青白くなっていき口から泡を噴いていた。


「ううっ・・・・!たすけ・・・・」


堀田の目は上を向いており、意識がだんだん遠のいていた。もう、堀田に残された時間は少ない。亜美はめんどくさそうに舌打ちをしたが先程、トラックに積まれてある廃棄物を捨てる時に後あおりの掛金ハンドルをはずして後あおりを降ろした事を思い出した。亜美はさっそく後あおりの右端に行くと後あおりの掛金ハンドルを取った。そして反対側に近い一宮に向けて言った。


「そっちの掛金ハンドルをはずして!!」


亜美の声にすぐ反応した一宮は左側の後あおりの掛金ハンドルを外すと亜美は「えいっ!」と声をだして重い後あおりを思いっきし外へと蹴っ飛ばした。


後あおりが後ろに逸れると後あおりの後ろにいた原先生ゾンビの体が後あおりに押されて体が下に降りたが、原先生ゾンビの手は堀田の首をけして離そうとしなかった為に背中を支える後あおりがなくなった堀田は原先生ゾンビに引きづられるように上半身が後ろの外へと逸れてしまった。


「しまった!」


亜美と一宮は後あおりの掛金ハンドルを外すことに夢中になっているあまり堀田を支える事をすっかり忘れていた。だが、亜美と一宮の間にいきなり一本の傘が割り込んできた。


そして傘の柄が堀田の首の襟元の中へと掴んだ。後ろを振り向くとそこに傘を持ったソフト部の子がいた。ひとまず安心したいがまだだ。原先生ゾンビの体が更に下に降りて膝が地面にこすれて肉が削りおとされて骨まで見えてきた。堀田はふと目だけで横を見ると真下に高速で動くコンクリートの地面が見えた。


「わっー!!!誰でもいいから早くぅぅぅーーー助けてー!!!」



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